お一人様 ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 59     yaeko さんへ

さとう三千魚

 
 

ひとり
生まれて

ひとり
死んでゆく

庭には
千日紅が

咲いていた

紅く
咲いていた

わたし
千日紅

抱いていくよ

 
 

***memo.

2024年1月8日(日)、
浜松「八月の鯨」にて、
「 無一物野郎の詩、乃至 無詩!」として作った59個めの詩です。

タイトル ”お一人様”
好きな花 ”千日紅”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

また旅だより 65

 

尾仲浩二

 
 

ひさしぶりに熱をだしてしまった。
ゴールデン街でたくさんの人たちと会った翌日から。
なんだか喉がイヤな感じだなと思ってドイツで買ったトローチを舐めていた。
朝方40度超えで、やってしまったかと発熱外来を予約した。
結果はコロナもインフルエンザも陰性。
でもキツくて酒は飲めないし、咳き込んでいるので人には合わない方がいい。
ゴールデン街では正月恒例の展示をやっている。
ギャラリー街道では昨年行った台湾の報告展も。
残念ながら家でおとなしくしているしかない。
なぜなら今週釜山へいくから。
釜山でも展示が始まっているのだ。
そこでは牡蠣も待っているのだ。
なのでもう四晩も酒抜きだ。

2024年1月 14日 東京中野の自宅にて

 

 

 

 

太陽はいつも遅刻する

 

加藤 閑

 
 

銀河系で割れない卵並べてゐる

冬すみれ生の原寸として咲けり

海までは凩でゐたいと風が言ふ

鯨の死太陽はいつも遅刻する

蝋梅やわたしの中に棲む白痴

雪の夜の眠らぬ孔雀渇きあり

寒星のささめきを消し漆研ぐ

磐座(いはくら)を訪ねて雪の徒とならむ

歯凍らせ弥終(いやはて)にこの種断たんとす

白鳥の王家の系譜おほかたは夜

 

 

 

帶着明晚的醉意,
明日の晩の酔いを身に帯びて

 

Sanmu CHEN / 陳式森

 
 

帶着明晚的醉意,
敲打鍛練鳥鳴,
黑色的血在準備晨曦。
那些離開的人
我並不知曉他們的名字;
磨滅的星雲、
再來的死難者,他們!
看異鄉茫茫,
暮色是怎樣遺落黃金?
暴政的細雨罩蝕大地,
證物遲緩的眼神呈堂時芬芳可嗅
當你收攏淚珠,倒敘的花朵
新的一年就開始填補哀愁,
有如蠢人無辜的祈禱,
一閉眼就只見夜色,
殘渣,物是人非⋯⋯
我希望你沉睡如在獄中;
如在丁香的夜晚;
如同黑紙的芯片;
拂去星光,對黑夜負責。
我的燈火呀!已經深宵了,
讓我如兇器的碎片
逢兇握險,跟左慈走入羊群
離開你的夢中。

噫!
帶著以後的醉意煅打星星的芒角
書店以熄燈關門。
夜晚的骨頭更加黑暗。

 
2024年1月14日寨城南

 
    .
 

帶着明晚的醉意,
 明日の晩の酔いを身に帯びて、
敲打鍛練鳥鳴,
 鳥の鳴き声を打ち鍛え、
黑色的血在準備晨曦。
 黒い血が夜明けを準備している。
那些離開的人
 離れ去った人々
我並不知曉他們的名字;
 私はその者たちの名を知りはしない;
磨滅的星雲、
 すり減った星雲、
再來的死難者,他們!
 ふたたび現れた犠牲者、彼らは!
看異鄉茫茫,
 眼前の異国の地は茫漠として、
暮色是怎樣遺落黃金?
 暮色はどんなふうに黄金を無くしたのか?
暴政的細雨罩蝕大地,
 圧政の霧雨が大地を蝕み、
證物遲緩的眼神呈堂時芬芳可嗅
 物証の緩慢な眼差しが差しだされる時には香しい匂いがする
當你收攏淚珠,倒敘的花朵
 きみが涙を拭うとき、よみがえり語る花々
新的一年就開始填補哀愁,
 新しい一年がまた哀愁を満たし始め、
有如蠢人無辜的祈禱,
 まるで愚か者の罪のない祈りのように、
一閉眼就只見夜色,
 ひとたび目を閉じれば夜の色ばかり、
殘渣,物是人非⋯⋯
 残りかすだ、景色はそのままに人は変わった……
我希望你沉睡如在獄中;
 きみには牢屋の中のような眠りについてほしい;
如在丁香的夜晚;
 ライラックの夜にあるように;
如同黑紙的芯片;
 黒い紙のチップのように;
拂去星光,對黑夜負責。
 星の光を拭い去り、暗夜に責めを負う。
我的燈火呀!已經深宵了,
 わが灯よ!すっかり夜も更けた、
讓我如兇器的碎片
 私を凶器の破片のようにして
逢兇握險,跟左慈走入羊群
 危難に立ち向かい、左慈について羊の群に入り
         *左慈:『三国演義』の登場人物。方術をつかう仙人。
離開你的夢中。
 きみの夢から抜けだそう。
噫!
 おお!
帶著以後的醉意煅打星星的芒角
 この先の酔いを身に帯びて、星の光芒を鍛え打ち
書店以熄燈關門。
 本屋は明かりを消して店を閉める。
夜晚的骨頭更加黑暗。
 夜中の骨はいっそう暗い。

 
2024年1月14日寨城南
 2024年1月14日砦の街の南で

 
 

日本語訳:みやこ鳥