田作

 

工藤冬里

 
 

脱ぎ捨てる力がないまま
折れた首をエアコンに晒している
死ぬ前に食べたい太肉
人を贈り物にして
睡りを返礼とする
釘に食事を食事に田作を
建てられずに折れた首の
いつか食べられる気配を睡る
写本の夢を睡り
晦日のスーパーを睡る
一飛びに明けてほしい
屋根瓦の日々は崩れ落ち
永遠にhappy new year1969と叫び続ける釘を
雲の隙間から眺める
(見られていることの方が見ている主体を上回っている)

 

 

 

#poetry #rock musician

茜色の空をみる

 

さとう三千魚

 
 

遅く起きて
ぼんやりしていた

ソファから桑原正彦の岸辺の絵をみてた

それから
旅のクルマの蓄電池を確認して

女のクルマを洗った
玄関のドアまわりを掃除した

正月飾りを掛けた

午後の窓辺には
雀たちが来ていた

それから
海を見に行った

マリーナ横には釣り人たちがいた
笑っていた

帰ったら
山際の空が茜色に染まってた

茜色はすぐに消えて
空は灰色になっていった

西の空に金星が光っている
高橋アキの弾くケージのサティのための曲を繰り返し聴いている

 

 

 

#poetry #no poetry,no life