りぶらりお

 
 

さとう三千魚

 

"花たちへ"を届けた

りぶらりおに
届けた

クルマで
行った

ニール・ヤングを聴いて行った

りぶらりおは
ライブラリーの語源なのかな

りぶらりおでは
店主の

アサイさんと
話した

尾崎幸さんの花の絵の個展のこと
中里和人さんの小屋の写真のこと

など
話した

りぶらりおの傍らに
小川は

流れていた

小川の向こうに
波トタンの家があった

りぶらりおもむかしは
波トタンで

包まれていたのだと
アサイさんは言った

いまは波トタンのまわりを新建材で包んでいる

帰りも
クルマで

ニール・ヤングを聴いてた
ニール・ヤングの声は

やわらかい

波トタンのよう
裏返ったりする

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

體内

 

工藤冬里

 
 

目を閉じる癖儚んでせめて背をぴいんと伸ばしてみたりしてゐる

「目を閉じて首を左に傾けた」今では右に傾いた君

目を閉じる癖を見られてはならぬシャッター街のやうな體内

がんセンター売店としてセブンありウィッグ三体売られてゐたり

隅石の上の柱の體内は粗(ほぼ)白蟻に喰はれてゐたり

 

 

 

 

#poetry #rock musician

一片雪花,因為自身的沉重

 

Sanmu CHEN / 陳式森

 
 

一片雪花,因為自身的沉重

一片雪花
冷灰的雪原。鐵的。

通向月亮的軌道
已經休息。

呼吸之間
松尾芭蕉起身迷途。

這一刻,我們並不能
選擇。突然巴赫。

明寂的空氣𥚃,臨近生死的星辰
我們已不再談論。

因為必須的雪開始落下,
我們遙遠的血液亦重新落淚。

2026年1月21 ~23日 秋田.東京.

 
 

 

 

 

人数分

 

辻 和人

 
 

人数分だ
45個
駅までバスで15分
まず床屋に寄って髪さっぱり
まだまだ暑い9月の半ば
短くなった髪が強い風にぱらぱらっ揺れる
残り少なくなった育休の日々もぱらぱらっ揺れる
あと6日だもんね
休んでいる間穴を埋めてくれた職場のみんなに
ありがとう、ありがとう、したい
やっぱお菓子だ
デパート入って見て回る
半年も休んだからちょっと食べでがあるものを渡したいんだけど
このモナカおいしそうだけど持ちが悪いな
このプチケーキ嵩張るから持ってくの大変だな
時間ばっかりぱらぱらっ過ぎる
その時
おっ、このマドレーヌいいぞ
貝殻の形にふっくら盛り上がってハチミツたっぷり
1個300円
高すぎず安すぎず
15個入りのを3箱で決まり
人数分
45個
45の口に
コミヤミヤの泣き声とこかずとんのあくび
ばらばらっ放り込まれる
泣いたコミヤミヤ抱っこして歩くミヤミヤママの踵と
こかずとんのウンチ片付けるかずとんパパの指も
ばらばらっ放り込まれる
お会計してバス停まで歩く
まだまだ暑い9月に
抱えた紙袋はずっしり重い
ずっしりずっしり
その先に
復帰するぼくに「お帰り」を言ってくれる
45の口があるんだ

 

 

 

ぶどう園

 

廿楽順治

 
 

ぶどう園に来た若いひとを
ころしてしまった

(旅びとだったのだ)

この旅の記憶を頭石として
隅に置いた

「わたしたちの目には不思議に見える」

ほどなくわたしたちも
ころされるだろう

ぶどう園はゆれている

その譬えは
もうぶどうの陰にかえしなさい
旅はおわった

声は
石のように
ふるえておればよい