michio sato について

つり人です。 休みの日にはひとりで海にボートで浮かんでいます。 魚はたまに釣れますが、 糸を垂らしているのはもっとわけのわからないものを探しているのです。 ほぼ毎日、さとう三千魚の詩と毎月15日にゲストの作品を掲載します。

鉄塔

 

道 ケージ

 
 

鉄塔を眺め
眺め眺めて

暮らしは過ぎ
また過ぎ行き

朝の光
宙で切れた梯子に
胸うたれ

夜ごと 
知らないものに
追いやられ

黒ずんだものを鉄塔に干す
突き刺して
曲がり角の自販機がまぶしい

鉛色の空に
鉄塔と電線が消える
見えない塔の
その余りの巨大さにうかれる
 
白々とした構築、寒々しい骨
隙間だらけのオマエに慰安を感じている

鉄塔の見える朝
見えなかった蜜柑
を見て曲がる
 
洗濯物が鉄塔越しに見え
勢いを付けながら
もう一つ曲がるのだよ

 

 

 

core・核心 芯

 

Michio Sato

 
 

why
Am i sad

do not know

Satie’s
Elegy

listen

Many times
listen

You’re dead

Nothing left
To me

Coral tree’s flowers are blooming in the seaside park

Swaying in the wind

 

 

*タイトルは、twitterの「楽しい英単語」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

corona will tear us apart again

 

工藤冬里

 
 

ハーモロディクスによってそれぞれの五線譜に従った全音
或いは半音ずれた平行移動は食料不足によるものではない
食糧はエジプトのネズミ返しの倉庫に余っている
犠牲にしたのはルート音である
食器と布巾を別にし喜びを平行移動の隔たりへ分断する
歌唱を刻々と構成する厳密な数値展開はいかにも大切である
外側の二つの抓みを五秒かけて左右逆に戻す認トレ
梅雨空の裏側は炎天である
未納めた筈の最後の平家蛍が二つ
寒くはないけど死にたい
zoomのユニゾンの不可避のタイムラグは後期ルネサンスに始まったチェンバーミュージックが私たちから永久に分断されたことを示す
それぞれ自分の録画ボタンを押し自分を蔵に入れる
新しいコマンドメントがジグザグの線の平行移動に分割される
ライブは二度と行えない
台所のマリンバが蛞蝓返しになっているので食器はそこで乾かす
食器は
別々に置く
 

動かなくなる独楽に力をねじ込むのは至難の技で
太陽自身にもどうにもなりませんでした
自分のアルシーヴのための時間を捨てないと
回してもらえません
でも捨てるものがはっきりしてないと捨てられませんよね
それが命だと気付いて
死ぬまでに命を捨てないといけません
そうしないと回りません

私たちは予想することができなかったので死にます
私たちはこの飢饉を予想することができなかったのでこのままでは肥満で餓死します
種籾も食べてしまったのでもう個人情報と自分の体しか売るものがありません
全て売り物にして奴隷になりますから
命に破産法を適用してください
事業にではなく命に持続化給付金をください
エジプトの奴隷にはなりたくないので
貨幣にその額をチャージしてください
貨幣の概念そのものに持続化給付金を振り込んでください
この国家が大きな顔をするからです
恥知らずな国家が増長します
キャンディをくれたのはタヴァーリシチ(同志)スターリンと言わせたように

 

 

 

#poetry #rock musician

harsh・過酷な (手触りなどが)不快な

 

Michio Sato

 
 

Midnight

Rain
Hitting the window glass

Window glass
Rain drops

There is darkness
I can’t see outside the window

Wind shakes the window frame

I was just looking for texture

The feel of the world
I feel you

this morning
Cloth mask reached the post

 

 

*タイトルは、twitterの「楽しい英単語」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

体の梅雨

 

工藤冬里

 
 

ハイバーネットは地下鉄ノーザンラインの終点である
バーネット村は二軒に一軒がパブだった
とオリバーツイストにあった
ような気がする
多くのパブには未だにクラス別に二つの入り口がある
僕は両階級以下らしく
通っていたカレッジの
ハイロードを隔てたYe Old Mitre Inneという
ディケンズよりさらに二世紀は古いパブのカウンターで
よくいるエイミーワインハウス(実際近くに住んでいた)みたいな子の
あなたは入ることは出来ない
という聞き取れない労働者階級訛りの早口を
無視してまた注文すると
no way
と言われた
陶芸科の先生に話すと怒って
信じられない今から一緒に行こうと言いだすが
そういうカウンターの熱量も
バランスが良すぎて怖い
ニック・ドレイクにノーザンラインという歌詞があった
のでしばらく住んだのだったが(俺は町の寄生虫という曲)
車から水鉄砲で水をかけられた時は酔っ払っていたので笑ってしまった
一緒に歩いていた人(人種と階級忘れた)に
よく怒らないねと呆れられたが
ニューヨークで銃で脅されるほうが確かに
分かりやすいし生きてるって感じがするよね
と応えたのは覚えている
思い出すことは奮い起こさせることである
知っていることを校長先生が繰り返すのはそのためだ
教え諭すとは思い出させることと同義で
忘れるから繰り返さなければならない
取り乱さないためにも思い出させる必要がある
世界の情況は二週間単位で劇的に推移しているから
以前のreminderがいまやっと時宜に適うものになっているということもよくある
詩の万古不易にも今は体の梅雨を通さねばならないのだ
そのreminderを自分と同期させる必要がある
ヒゲの未亡人みたいに自分と結婚してはいけないが
自分で自分に思い出させる必要がある
鶴橋でヘイトスピーチをする中学生みたいな追い込まれ方をしているエイミーワインハウス似の女の子
扇形の狭い勾配の棚田を世界とするデジタル・ハードコアの少年たち
罪の中で遠くへ航行する寄生虫がノーザンラインの階段を下りていく(Nick Drake “Parasite”)
アルシーブは記録ではなく諭しなのだ

 

 

 

#poetry #rock musician

六月的俳 九首

 

Sanmu CHEN / 陳式森

 
 


所有的音節
在你名字的季節
我駐足不前


回聲,再一次
等奧登詩中的鹿
靜靜地入雲……


零碎的殘骸
關於未來的懷念
如指骨一般


輕微的痛楚
昏暗的光陰動刀
折斷了寂寥


一再地潦草
詩爲你心跡賦格
擦傷了薑花


猶豫的樂譜
莫扎特降E大調
麋鹿,我的心


餘下的緘默
在深處風暴深處
最暗涌,不期。


萋萋失芳草
第二個天空,忽焉!
忽焉萬千劫。


堅硬的淚水
……這些日後的硝煙
敲打著金鐘!

.

 

・翻訳はこちらで
https://www.deepl.com/translator

 

 

 

drift・漂流 吹き溜まり

 

Michio Sato

 
 

Morning
The woman went out

today

Almost
In the house

The flower of Nandin by the window have begun to bloom

Lots of white small flowers
Has begun to bloom

It bloomed in the foliage

When i was young

I have read the novel “The Old Man and the Sea”

A cat was walking
in front of the fallen old man

 

 

*タイトルは、twitterの「楽しい英単語」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

social distance

 

工藤冬里

 
 

遠く離れた人もいるけど
自分の体の足と目の痛点はそれよりもっと離れている
だから距離は問題ではない
行替えの段差のみが隔たりを形作る
covid-19 sentenceの行替えには二メートル必要だ
行替え療法はアマビエなんかよりも効く
ではやってみよう
刑は一行に対して一センチ、一行に対して一センチとする
ここで本当に赤塚不二夫とか筒井康隆みたいに二百行空けてもいいが
世の中は田植えである
朝五時に池の水門を開いて放流するので今日を逃したら水を確保できない
詩の実験などやっている暇はない
それより
放流によって流された亀が必ず道を歩いているから
彼らを池に戻さねばならない
大家は家賃よりそのことを気にしているのだ
蛍には昨日さよならした
田植えが始まれば居なくなるのだ
すっからかんワインを持ってきてくれたカメラ君と海野君とサキちゃんと橋の上から見た
今はそういう季節なのだ

 

 

 

#poetry #rock musician