草 ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 19     chieko 様へ

さとう三千魚

 
 

旅にでて
草のうえに

眠ることがなかった

ヒトは
いつか

草のうえに
眠るだろう

若いころ
旅の重さという映画をみた

女がひとり
四国を歩いて旅する

映画だった

女は
いつか

野の草のうえに
眠るだろう

藪椿の
紅い花を抱いて

眠るだろう

 

 

memo.

2022年10月2日(日)、静岡駅北口地下広場で行ったひとりイベント、
「 無一物野郎の詩、乃至 無詩!」第五回 で作った詩です。

あらかじめメールで、
お名前とタイトル、好きな花の名前を伺い、詩を体現しプリント、押印し、お送りしました。

タイトル ”草”
花の名前 ”藪椿”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

無一物野郎と、詩と無詩と

 

さとう三千魚

 
 

大風は
過ぎていった

風はない

緑は
揺れない

散髪した

野郎が
いる

そこには何もない

一昨年の
正月

志郎康さんは書いてる

“詩って書いちゃって、” *
“どうなるんだい。” *

そして

“それゆけ、ポエム。” *
“それゆけ、ポエム。” *

二度
繰り返している

志郎康さんは
詩のないところにいった

大風のあと

詩のないところにいく
そこに志郎康さんがいる

桑原正彦がいる
死者たちがいる

そこには何もない
そこには全部がある

つげ義春の峠の犬もいる

五郎ちゃん!
五郎ちゃん!

そこに
いた

無い詩を書く
無い詩を生きる

ふっ


息を

吐いてみる

 
 

* 鈴木志郎康の詩「詩」より引用しました。

「詩」
https://beachwind-lib.net/?p=21192
 

 

 

#poetry #no poetry,no life

光の中で

 

さとう三千魚

 
 

大風は
過ぎていった

窓の外の緑が揺れている

きみは
いつか

“光だね”といった

電話で
いった

志郎康さんも
“光で生きのびた。” *

そう
書いてる

“生きのびることが、” *
“生きのびることが、” *

と二度
繰り返している

そこには闇があったのだと思います

いまも
闇はある

闇のなかで乳房に触れる

光を
探している

 
 

* 鈴木志郎康「赤ちゃん」より引用しました。

 「赤ちゃん」
https://beachwind-lib.net/?p=21235

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

あたかも今朝の ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 18     megumi 様へ

さとう三千魚

 
 

白も
あるけど

淡い桃色もあります

瀬戸内の
島を

渡ってきた

川口の
アパートで育った

工場の煙突が見えた

ぬかるんでた
裁縫が上手だった

母と
旅もした

いまは
丹波にいます

ひとり
男が

佇っていました

あたかも今朝
硬い蕾

ひらいた
秋明菊の花が咲いた

 

 

memo.

2022年9月12日(月)、自宅にて、
「 無一物野郎の詩、乃至 無詩!」として作った詩です。

お名前とタイトル、好きな花の名前を伺い、その場で詩を体現しプリント、押印し、お送りしました。

タイトル ”あたかも今朝の”
花の名前 ”秋明菊”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

夏の終わりに ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 17     koichi 様へ

さとう三千魚

 
 

おわった
のか

おわったのかな

朝顔
咲いていたな

青かった
青かったな

虫の声
聴こえて

いた
眠るまえに

きみの
声を

聴いたことがある

いまも
聴いている

 

 

memo.

2022年9月4日(日)、静岡駅北口地下広場で行ったひとりイベント、
「 無一物野郎の詩、乃至 無詩!」第四回 で作った詩です。

お客さまにお名前とタイトル、好きな花の名前を伺い、その場で詩を体現しプリント、押印し、捧げました。

タイトル ”夏の終わりに”
花の名前 ”朝顔、青い”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

また泣いてしまったょ ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 16     kyoko 様へ

さとう三千魚

 
 

たわむれていた

はじめは
じゃれて

いた

男と
女が

いた

水辺にいた
寝そべっていた

駅があり
駅舎があり

戦争があった

草原があり
雪の草原があり

ひまわりの草原があり

女も
男も

年老いていった

ひまわり
揺れていた

 

 

memo.

2022年8月29日(月)、自宅にて、
「 無一物野郎の詩、乃至 無詩!」として作った詩です。

お名前とタイトル、好きな花の名前を伺い、その場で詩を体現しプリント、押印し、お送りしました。

タイトル ”また泣いてしまったょ”
花の名前 ”ひまわり”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

とても難しい ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 15     yuko 様へ

さとう三千魚

 
 

食べる
歯をみがく

歩く
生きる

わたしを見る
子ども

わたしの
子ども

いない
子ども

生きる

ポピーが好き
赤いポピーが好き

揺れていたね

ポピー
難しいね

とても
生きる

 

 

memo.

2022年8月22日(月)、自宅にて、
「 無一物野郎の詩、乃至 無詩!」として作った詩です。

お名前とタイトル、好きな花の名前を伺い、その場で詩を体現しプリント、押印し、お送りしました。

タイトル ”とても難しい”
花の名前 ”ポピー”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

お芋を煮る ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 14     motoko 様へ

さとう三千魚

 

 

おさとうと
おしょうゆだけ

入れた

お芋を
煮た

母から教えてもらった

父は
よく働いた

夏に
ひとり

青森の恐山に行ったことがあった
八重のドクダミが白く咲いていた

わたしのなかに
咲いていた

咲いた

 

 

memo.

2022年8月15日(土)、自宅にて、
「 無一物野郎の詩、乃至 無詩!」として作った詩です。

お名前とタイトル、好きな花の名前を伺い、その場で詩を体現しプリント、押印し、お送りしました。

タイトル ”お芋を煮る”
花の名前 ”八重のドクダミ”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

白と黒 ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 13     yuri 様へ

さとう三千魚

 

 

白と黒の世界に
生まれた

わたし

ひかり
待ってた

あまい香り
した

オレンジの

花粉
こぼれた

白い花
カサブランカ

こぼれた
ひかり見てた

 

 

memo.

2022年8月6日(土)、自宅にて、
「 無一物野郎の詩、乃至 無詩!」として作った詩です。

お名前とタイトル、好きな花の名前を伺い、その場で詩を体現しプリント、押印し、お送りしました。

タイトル ”白と黒”
花の名前 ”カサブランカ”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

明かりについて *

 

さとう三千魚

 
 

“ひかりだね”

きみは言った
電話の向こうで言った

小舟で
夜明け前の

青黒い海に漕ぎだしたことがあるかい

沖に出ると
空は

透明の薄い青になり
太陽が

水平線から昇ってくる

ひかりが
海原にひかりの道をつくる

無数の
ひかりが

凪いだ
海の波間に輝くのを

見たことが
あるかい

またたくんだ
ひかりは

ランプの明かりじゃない

ひかりは
無数のひかりが

またたくんだ

 
 

* 高橋悠治のCD「サティ・ピアノ曲集 02 諧謔の時代」”自動描写” より

 

 

 

#poetry #no poetry,no life