三月はワルツ

 

原田淳子

 
 

 

三月はワルツ

春の嵐に
虎の哀しみを撹拌させる

溶けてバターになるまで
アン・ドゥ・トロワ

生・死・不明

愛が
妬いた刃をむけさせる
雨を弾にかえる
殺し殺される恐怖を
脅迫で語る勿れ
殺戮に善悪はない

命の対価で失うのは
小麦粉だけではないでしょう

仔猫が埋められたというその固い庭に
山鳩の屋根から種をばら撒いた

永絶された未来
一次元のスケートリンクで四回転半

夜更けの地震
土砂降りの雨
季節が身震いして
三月、シフォンの陽光が
花を照らす

バターになるまで
哀しみを撹拌させる

 

 

 

 

松田朋春

 
 

戦地だから
地面が揺れているのであった
地震ではなく
わたしが割れていて
知りたいことは既に
その辺に転がっていて
個室があいたりしまったり
一刻も早く
全てが終わって
ほしいです
私は
ここにとどまって
助けて
助けて
助けるだけです
おわるもの 
おわるとき
仏教がなぜ
途方もない
時間の尺度で
考えたかわかった
目の前でおこっていることが
真実の
影のようなものだと
思うしかなかった
今日は何曜日なのか
何日なのか
戦争がはじまってどれだけたったのか
弱いものは
土地とからだに留まり
世界を見つめて
こんなんじゃなかったんですよ
鳩の群れを見るように
ミサイルの着弾を横目に見て
散歩したり
買い物をしたり色々しています
兵器の音が区別できるようになった
ここには癌の子供たちがいて
大切に大切に守って来た命を
爆弾が根こそぎさらっていくので
泣いてるのです
最終的なものが
ふらふら歩いてる
美しいものは弱い
それでも赤ん坊のように
批評している
雪のようにその場限り
空を覆う

 

 

 

あそぶということ

 

さとう三千魚

 
 

みなさんとあえて

よかったです

しろくませんせいとよばれて
うれしかったです


みなさんが
おやつをたべたり

あそぶのをみていて
しあわせになりました

おとなになると
みんなわすれてしまうのですが

あそぶことのなかには
とてもたいせつなことがあるとおもいます

たいせつをひとつだけみつけて
ずっとずっともちつづけることができたら

みなさんは
とても

しあわせになれるとおもいます

 

2021年3月15日に書かれた過去詩です。

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

Hitchhiking in Antarctica

 

工藤冬里

 
 

El que aguante hasta el fin será salvado

Este reino hará añicos y pondrá fin a todos esos reinos

川を渡るとき、きみが水にのまれることはない

ウリ坊が走っていてかわいいが最近大三島で猪骨ラーメンを食べたので美味しそうだなとも思った

砂原と柾木頑張ってんじゃん

ラフな漆喰は下から塗った方がいい。瓦とおんなじ理屈だ。ただ俺は自分のために装飾をしたことがない。
生活を楽しむなんてことは永遠にありえない。俺はpopだ。でも水谷みたいなやり方はしない。
基地があるのにプラズマとか両立しないだろ。エゼキエルじゃあるまいし。

江上さんとこでやるんで徐々にアゲていってる
life is my oyster とか if I had a gun とか
https://open.spotify.com/album/7faOMCAPAHZrJ9tEX2I8zt

浪に群れ飛ぶカモメさえ
no desconocemos sus tácticas
今年は梅を見てない、と梅を見ながら思う

その区域はぶどうとキウイ園を中心に四角く区切られ、北側に大家の家屋、畑の中には風呂トイレなしの二棟、外に接する両端にはアパートが食い込んでいた。西側のアパートの一階には砂に字を書く若夫婦が住んでいた。神様の名前はらうむ様といいます、と彼らは言う。コソボ空爆の頃で、このような蛮行をらうむ様が許す筈はない、と憤るので、ヨハネ14:16を見せると「助け手」を黒マジックで囲み、やっぱり、と喜ぶ。なんとか聖水というので点てた茶を振舞われたが嚥下せず飲むふりをする。全巻に対する敬意が無いと判ったので、それからはreturn visitは行(オコナ)っていない。園の中の別の戸口で、出てきたヒッピーの隣人に、断られて立ち去る時に、「今日は、晴れてますね」と言ってみたことがあった。彼女に顔が戻って、空が湿った土に堕ちてきたのが分かった。捨てられた猫が仔を産むので大家は殺して埋めているという噂が立っていた。その所為か、区画全体が薄暗かった。隣人たちは、出入りの際、キウイの太り具合を触って確かめていたが、僕は盗ったことはない。一日中アルトの練習をしている山梨の男も住んでいた。ピアノのコードが間違っていると、サックスが壊れる、と真顔で言う。ソプラノだったら捻じ曲がらずに献身できたかもしれない。勿論別棟にはソプラノの男もいた。三センチくらい積もった埃が舞い上がらないように、息を潜めて生活していたので、完成されすぎており、欠落を意識するところまではいかなかった。何をしていいか分からない男もいたが、食養を極める方向に進んだ。乾純とはまったく会話がなかったが、最近になって急に個展の連絡とかくれるようになった。など。

3月11日
Debemos soportar las debilidades de los que no son Fuertes

温暖化から気候変動に変わった時点で反石油ビジネスであることが露呈したわけですからチェルノブイリ攻撃は「それはこういうことか」的な居直りだと思います。
乱暴に言えばベイトソンや音響派は〈共存〉の環境ビジネスを準備していたことになります

3月12日
サメの後始末
予告編
https://youtu.be/Q6IrorTvt_w

自分が罹災するまでは増えていると言ってもニュースだけだ
当時の都知事が天罰だと言ったその災いは
潜る時お辞儀する国民の
娘核に置き換わった結界を意味していた
おのれが悪いと断定された温室の中で
大ドブきゅうりの後始末のように無駄
零下でも裸足の下駄に生き残るための指示が与えられた
鳥や獣を作ったことまでも悔やんだ
このマチの過ち
生き延びるための指示がトランス脂肪酸だけとか条件を満たしてない
アナニアスはフェストとアルビノスの端境期にヤコブを殺す権限があった
兄貴

 

 

 

#poetry #rock musician

にくいため

 

道 ケージ

 
 

憎しみを煮詰めると悲しみができた
悲しみを蒸すと春雨だった
悔しみを茹で上げ筋を抜く
楽しみの唐揚げは二度揚げしない
慈しみを刻んで匂いをかぐ

そうめん
にくいためで一生を過ごす
からすみほうばり
きゅうときゅうっと
おにしめ
だきしめ
血抜き
ちんする
皮むいてむいて
むいてむいて
たるたる
ソース添え
そば
どん

 

 

 

傷之俳 3月
悲傷の五七五 3月

 

Sanmu CHEN / 陳式森

 
 

西博寮海峽
正午,憤怒己暗淡
青銅無消息

復:撫摸眼淚
重傷銅沉默不歌
潜航吧……翼骨

不羈的翱翔
渴望於群星之上
突然被呼喚

恢恢海天間
誰在問順從的血
不確的流向

僅僅是個謎
美酒隱藏了盜賊
我不曾留意

 
    .
 

西博寮海峽
 西博寮の海峡の
正午,憤怒己暗淡
 真昼どき、憤怒はもはやぼんやりとかすんで
青銅無消息
 青銅は何事も伝えない

復:撫摸眼淚
 またも、涙をぬぐい
重傷銅沉默不歌
 幾度も傷ついた銅は、沈黙して歌わない
潜航吧……翼骨 
 潜航しろ……翼の骨

不羈的翱翔
 思うさまの飛翔は
渴望於群星之上
 群れる星々の上方で
突然被呼喚
 唐突な呼びかけを渇望している

恢恢海天間
 広々とした海と空の間で
誰在問順從的血
 従順な血の流れゆく
不確的流向
 不確かな行方を 誰が尋ねようとしているのか

僅僅是個謎
 たかがちっぽけな謎にすぎないのだ
美酒隱藏了盜賊
 うま酒が 盗賊の姿をくらませてしまったことなど
我不曾留意
 私は気にかけたこともない

 

日本語訳:ぐるーぷ・とりつ

 

 

 

 

ちょっと先にぶんぶん

 

駿河昌樹

 
 

ひとのことを
それはいいとか
あれはよくないとか
そんなふうに判定するモードに入ってくる感じがすると
いやだな
と思う

こういうモードが間違っているのは
ちゃんと
理論立てて説明できると思う
めんどうだし
時間がかかるから
しないだけで

ひとりで
くまのプーさんみたいに
野山の道を
のんびり歩いていて
ちょっと先に
ぶんぶん
ハチがむれて飛んでいるのを
見たとする

それを
いいとか
わるいとか
判定しないよね
そおっと
迂回していくだけのこと

いいも
わるいも
ないんだよね

 

 

 

なみのね

 

小関千恵

 
 

 

海を見つめることも
空を見上げることも
この存在をくりぬいて
鳥じゃないけどわたしだって
そこでやっとひとつになって

ねえねえ、ねえねえねえ ねえねえ …

声が漏れてきて
何かを消そうと出てるやつだって
いつもそうして
何かを消そうとして出てるやつだったって
わたし生まれてない波だけど
わたし生まれて消した波だった
わたし生まれていたのにいないことにして溢れでた波だった
消そうとして叫ぶ!
消そうとして叫ぶ!

はね はね ゆめ
ハネはね 跳ねて うね きえる
空中に
透明に
光に もっと光に

切る 切る 空を切る
起きていたい 眩しくて
伸びていたい 風の中
寒くない
消していたい

次へ行きたい
次へ行きたい

どこにも無い そのまま
このまま 発ってゆく
なみのね 止まらない
じっとしても 動いてる
叫ばなくても 溢れてる
色違う
風変わる
明けてゆく

いつのなみだ
いまのなみだ
波はいつでも立っている
消してみせるさ そんな海
呑まれてみよう あんな波
出会うだけ
命が波をすり抜けて
ごろんと海辺に転がって
心は天の岸を打つ   タイコ!

海のまんまの明日になる
ひとつもおんなじのがない
ぶつかり合う 消えてゆく
産んで産んで 産みまくる
消して消して 消しまくる
あしたまた 揺れてる
揺れ合う
触れ合う

 
ねえ

ねえねえ、ねえねえねえ  …

ねえねえ 
 

 どうして
ひとは

身体中を

「ことば」のなかへ
飛び込ませるの

溢れてるよ

溢れてるよ

 

 

 

Masters of War

 

工藤冬里

 
 

イッヌ
doggo

これがウクライナだ

Felices ustedes cuando la gente los odie

ゼレンスキーがEU加盟申請書に署名

https://www.instagram.com/p/CalXkERPj6-/

https://www.instagram.com/p/CaHw2Fev4xO/

プーチンプンカンプ
ウラン食いな
ヤンパルクイナ
ダスゲマイネチンプンカンプーチン

Hasta ha puesto la eternidad en el corazón de ellos

クマのプーちん

クマのプー河野太郎
プーチキンの詩の缶詰
裏は地味な印半纏
浦和地味ロックセンター
地味る
ウラジみがある
プーチン整形
裏地見る羅紗
浮く京成スカイライナー
ロッシーとナッシー

キエー
万古不易エフ
展覧会の絵の最後はキエフの焼肉大門
キーはF

キエフさんキーウィになってフッと消え

ウッキー
ウキウキ
紀尾井町

ハローシカロシアジア

はんたいうんどうワッショイ
ラッセララッセラ
ラシャーンローランド

新造人間キャシャーン
クローン人間ロシャーン

だらしない生き方が広まって世の中が変化しても
自然は変わらず恵みを与えてくれています
自然のどんな点に感謝できると思いますか
脳をハムみたいに切ってみると、無理な三段論法の連続だ

ロシア生協主体のオルタナティブ・グローバル路線の幻
プーチン母のロシア生協が敗戦後まず娼婦として槍玉に上げられることになる、無理矢理脳裏に上る、と言った方が近い。




youtu.be/JEmI_FT4YHU

はらはらしながら
なんとかしなきゃ
中味ごと真っ黒に焦げてしまった
全ての無駄な数字のように
弾は地に落ちたが
ガードレールのない隘路を進むと
騒ぎ立てる頭上の烏の
エリアとしてのcommonに迷い込んだ
説明なしに高次元を持ち出し自分を埒外に置くメタ野郎に北の王を唄ってみせた
死ぬ日がどんどん近づいてる

同じものを食べてもある人は不平を述べ
ある人は感謝する

DOGbowl EAT DOGbowl | tori kudo (bandcamp.com)


Monacoっぽい
https://youtu.be/QFD0tbpK85k

あ、ワンコだわ、かわいい。。



https://www.facebook.com/100000034939354/videos/pcb.5233761876634925/646707856443933

https://www.instagram.com/stories/void_kasai/2787800391550961387/
https://www.instagram.com/p/Cas5ZFJPtyx/
https://www.instagram.com/p/CavnYLHP52G/

El que aguante hasta el fin será salvado

「神秘的なバリケード」を気に入ってくれていたノエミさんですが、クープランでクマが出てくる曲を見つけて喜んでいたと思ったら、今回はクラヴサン曲集第三巻の鳥のやつを弾いて歌っています。彼女が作ったとしか思えないほど同化しており、見事な達成と言えるでしょう。
https://noemienours.bandcamp.com/album/the-birch-tryptic-untitled-chaconnes
https://note.com/kagefumimaru/n/n4ba8b68d76fc

 

 

 

#poetry #rock musician

餉々戦記 (ごわっごわしなっときんぴら篇)

 

薦田愛

 
 

春の入口で旧い家にこもる
雪ではないのに
さむいと言いねむいといって ふつか
あるくことを怠るととたんに
ふさぐ身とこころ
あたまがはたらかない今夜なにつくろうレシピのコピー繰っても検索しても決まらない
日ごろ緩慢な所作もひときわとどこおり
うちがわはげしくゆれちぢかんでいる

ちょうど休みだったつれあいユウキが
見かねてか もどかしくてか
「寒いからシチューでもつくろうか
 バゲットにワインも買ってこよう」
まごうことなきこれは助け舟
かぶさる緩慢の笠をぐいっとずらし
わあありがとうあったまるね
ああ安堵
シチューやカレーは
ルウを買ってきて時々つくってくれる
クリームシチュー ビーフシチュー バターチキンカレー
野菜たっぷりポークカレー
ほかにも鶏のフォーや炒飯、オムライス
そう
私がつくらないものをユウキが
ユウキがつくらないものを私が
それぞれ
食べたくても出てこないものをつくっているというわけ(たぶん)
今夜はクリームシチューというので鶏もも肉を出しておくと
ユウキはささっと洗って切りフライパンで煮込み
バゲットあぶる準備もととのえリビングのヒーターをいれる
あっいつの間にサラダまで
スライスオニオンに水菜ざくざくプチトマト
しんからあったまって満腹まんぷく
すると次の日
ふしぎに食べたくなるんだ
きんぴら
生の野菜はあんなに食べたのにね
土のなかに根を張るとりどりの
しょくもつせんいに飢えているのかな

野菜室の底から土ごぼう今日のは太め
そよっと揺れそうに細いのより頼もしい
頼もうたのもうなんてさごぼうって
野武士って感じだな
丈を半分くらいにカットしてあるのや短めの品種のが扱いやすい
蛇口をひねってつつつっと水したたらせ
馬手ににぎった土まみれに弓手の包丁の背をすべらせ
ずず ずっ すっ すすっ
濃ぉい土いろのなかからあらわれるひとすじの白
つっ
鼻へ来るにおい
木の根そのもののいっぽんが
香ばしくて
ごそごそ すすっ
こそぐと 鼻
こそばゆい
持ち替えもちかえ向きを変え位置を変え
剥き身の白まな板にのせ
三分割いや四分割ぐっと乗り出して押し切り
ならべてみるなんてふぞろい
まあ炒めちゃうしね混ぜちゃうしね
ほそく長い笹がきはうまくできないから
千六本ていうのかな
ぐぐぐいがっがったん
とんとんとととととん
たっかたったっと
遅れがちなタップとはいえこれは
包丁の切れ味のせいじゃない
とんとんとっとん ととん
んんっと
押し切る引き切るいえ刻む
まな板と包丁の組み合わせはちょうどいい
スライサーなんて指削いじゃいそうだし
ぽいぽいっ
刻むはしからボウルの水へ
あ、と溶けだす飴いろ
さあにんじん切ろう今日のは
丹波の有機栽培のB品割れ目はあるけど色は濃いめ
洗って剝いて切って刻んで
あれちょっと多すぎたかな
刻むとふえる道理と感覚がいまもってわからないキッチン七不思議
今日はブロッコリーの茎も剝いて刻んで
さつまいももと思ったけど
きんぴらにするものってどうしてかっ
たい かったいのか
さつまいもはいいやと押しのけ
ざざっ
ざるへごぼうのボウルをかえし
オレンジに焦げ茶すこうしうすみどりの山みっつ
ええい
ごま油の香りたつフライパンに投入

ふふん
きんぴらってきざむのかったい
固いけど
段取りわろきわらわわたくしにはやたら手間だけれど
洗ってこそいで洗って剝いて刻んで刻んで
かじかむ指がこわばっても
まっぴらだなんて
これっぽっちもおもわない
いや
おもわないでもないかな
でもなんだか
こんなに好きだったかなきんぴら
そうそうそういえば
きんぴらって歌舞伎にも出てくるんだ
それもひとの名前
まさかり担いだ金太郎こと坂田公時の子どもで
坂田兵庫之介公平っていう
武張ったっていうのかな強そうな扮装に荒々しいせりふ
客席からやんやの喝采だったんだって
幕末明治の黙阿弥さんが *1
旧い芝居の様子を劇中劇に仕立てて作品にしてるんだ
こんなふうに

  公平 やっとことっちゃアうんとこな。(中略)
  御前へつん出た公平が刻み坊主の手料理も、刃物は馴れた人物の
  包丁が間に大俎、これから七里けっぱいの悪魔払いに灰神楽、揚
  げる油もいためつけ、湯漬のさいにしてやるから、辛き目笊の兜
  鉢、これでも冠ってうしゃアがれ。 *2

金太郎の子どもで武術にすぐれ
強そうだがら精がつくごぼうの料理にきんぴらってつけたんだって
江戸のむかしのネーミングが残ってるなんてね
そうそう子どものころ流行ったピンキーとキラーズ
あれはきんぴらに関係あるのかな 
あるわけないか
きんぴらにてんぷら
ぴらとかぷらとか
油がパッと撥ねるからかな
あっ
ちょっと焦げちゃったかな
フライパンのふちからこぼれるくらいの山が
もうずいぶん低い
ごわっごわがしなっしなになったから
あわせておいた減塩醤油小さじ二杯にみりん小さじ二杯
てんさい糖小さじ一杯半をざっざざあっ
じじじいっじゃあっ
おいしいおと
このごろ少ぅしずつ
レシピみないでできるようになってきたよ
すりごまと七味もスタンバイ
今日は入れなかったけど蓮根入れる時は
孔に菜箸突っ込んじゃうから木べらのほうが使いやすいとか
ほかのメニューと味が重なっちゃうと気づいたら
カレー粉入れて目先(舌先?)変えればいいとか
なんとなくだけれどね
三年曲がりなりにもね
初心わすれるほど経ってないけれど
要領すこしもよくなっていないけれど
おいしいゴールに辿り着く道のりが
少しだけみえるようになってきたのかな

「あ、いい匂い。なんだろう
 きんぴら? いいね
 しかしたくさんつくったね」
そうなんだよね せっせと切って
ごぼうにくらべてにんじん少なめかなって追加したら多すぎちゃった
でも食べちゃうし常備菜だし
豚肉とかぶのオイスターソース炒めとふた品
麦味噌の椀を添えて
ごわっごわのちしなっしなひらひらり
鉢に山盛りのきんぴらを
リビングのテーブルに運ぼう

 
 

*1 黙阿弥さん 河竹黙阿弥。幕末から明治期に活躍した歌舞伎狂言作者。
*2 坂田兵庫之介公平のせりふ。出典は『名作歌舞伎全集 第十二巻 河竹黙阿弥集第三』(東京創元社刊 六版)所収「極附幡随長兵衛」。江戸初期の芝居小屋(劇場)で、旗本が町奴に因縁をつける場面の直前、演じられる劇中劇のもの。