佐々木 眞
土崩
昼ごろ
ソファーに
モコは
眠っていた
眼が開いていた
重いリュックを背負い駅に向かった
途中でランタナのオレンジ色の花をみた
それから電車を待ち
電車に乗り
電車を降りて
高速バスに乗った
高速バスからは灰色の海をみた
暗い緑の山々をみた
通過していった
光っていた
明るい色に憧れて、息づいて
身を焦がし、生きている
夢を見ている時間は足りない
時に羽虫が己が身を焦がして、
陶酔の中、死んでゆく
幸せとは敵のようだ
私たちは、七つの明るい色を見ている、
あなたが、こう言う
「不思議だね、七つの色しか見えないんだ。」
誰か、これ以上の色を見た人はいるだろうか
陶然と、見とれるうちに、
時間がやってくる
終わりに近づけば近づくほど
赤々といよいよ燃え上がり
赤い蝋燭が溶けてしまう頃
ジッという音ともにまた暗闇に戻る
明るい色に憧れる夢は、
常に私たちに、終わりを教えている
僕らが居る時間は、本当に少ない
鮮やかな色が、言いようのない色に
褪せてゆくまで
ベッドに寄り添いながら
あなたは居る
鮮やかにあなたを明るい色が照らす
最後の炎が鮮やかに輝く瞬間まで