Hitoha Nao
なにも変わることがなかった日にも
風がやって来て
さざ波と
ちいさな光が
水面で遊んだ
雲がでて
光は翳り
それから また
風が来た
すこしだけ
わたしは揺れて
なにも変わらないと思った
空空空0子供らの声がする
空空空0すぐそばで
空空空0石投げをしているらしい
さざ波が
わたしを揺らした
光は
水面から
わたしの中に
風を運んだ
すこしだけ
わたしは揺れて
それから
ロープを切った
昨日
目覚めた
クリーニングに
ワイシャツを
出し
モコと
海にいった
海には風が吹いてた
帰って
サラダを
馬のように食べた
夕方
モコと散歩した
電線に燕が
一羽止まってた
鳥の声を真似て話しかけると燕は
首を傾げて
チキチキと応えてくれた
Light Up 真夜中にトイレに起きた時
押し入れの前 半畳ほどの 湿気の強い いぐさの上に
家族か 仲間か 分らない
蛞蝓(ナメクジ)が 5匹 はねをのばしていた
≪おおっ くつろいでおりますなあ≫
という 勝手なわたしの イメージ
≪手足がなくても はね、ってある≫
何処に 家を構えたものやら
新築パーティーか 懇親会か
いぐさの上に 楽し気に這い回ったような 銀のぬめり、Silver Road
通り雨が 真夜中にあったような 幾筋ものかがやく路、Silver Road
(Praise Song)※1
Silver Road, Silver Road, Oh, Silver Road・・・・・・・・・・・・・・・・・
綺麗なお茶を飲もうと想って飲んだ 宇治茶が 就寝中に小便にかわり
≪さあ、放尿だ──!≫と
きめた 矢先の 出来事だ
Light Up 光のもと 蛞蝓(ナメクジ)が一斉にうねり
きゅうっと まるまったりして それが けなげで
一匹ずつ ティッシュで包んだが 潰せない─・・・・
植物を喰い 寄生虫を持つと いうことで
害虫の ひとつとして 指定されてるけど
殻のない 巻貝じゃないの 殺したくない
にゅうっ、と つのが 旋回してる
Light Up 光の風に 触角だけを頼りにして 出来事を知る
蜚蠊(ゴキブリ) は 逃げ足が速いからいいさ
さすが 億単位の年月を生き抜いてきた輩
お元気で!! と エールを送ってれば ОK
なんだか 生まれかたって 不公平だよね
なんだか とっても 心に霧雨が ふるよ
うちから すずらん通りを辿って 7、8分
総武線・平井駅 北口 駅前の公園の植込みの辺に 朝、
いつも 一匹の茶トラの 地域猫がいてさ
或るご婦人を中心に ご飯をもらっててね
片耳に 桜の花びらの形の 切込みがある
猫さんで それが地域猫の印なんですって
「かにかまぼこ」が大好物のようなんです
急ぎつつ写真を撮るけど食うか寝てるかで
なかなか 仲よしには なれないんですね
ご婦人に「名前はなんていうんですか」と
きいたところ 「わたしはねミィちゃんよ
他の人は知らないけど」・・・・ふうん。それで わたしは、
貫禄ある地域猫の茶トラを「さくら」と呼ぶことにしました
かなり老齢かもしれず毛並みに艶がなくあまり動き回らない
雨の日にはグレーの毛布を頭巾のように被せてもらい夜には
見かけることはない行方は分からないけど護られてはいます
わたしもご飯をあげたくて西友で値下げ品
「かにかまぼこ」を買っておいたけど休日
小腹がすいておやつに自分で食べちゃった
写真を撮るのが趣味になり 空や道や花や
ひとや動物をこのんで 撮るようになって
わざわざ猫や雀がいそうな道を巡ってます
だから、他人から見たら
町内をよく ふらふらしてる おっさんかも しれないです
雨の降る寒い日にグレーの毛布に覆われた
まるい塊が 植込みの奥にぽつんと「いた」
≪あれ、さくらじゃないか 雨が滲みて≫
その日、連れて帰りたくなったけど でも
この猫は皆の「ねこ」 地域猫の「さくら」
車に轢かれる野良猫より幸せなんだろうと
わたしは踵を返してアパートに向かい出し
ぼうっと横断歩道で信号待ちをしていたら
バイクが水滴散らし路上に銀の轍を残した
(Praise Song)
Silver Road, Silver Road, Oh, Silver Road・・・・・・・・・・・・・・・・・
路上に銀の轍を残していった
Silver Road, Silver Road, Oh, Silver Road・・・・・・・・・・・・・・・・・
Light Up また 或る真夜中に トイレに起きた時のこと
やはり また おるのですわ
光のもと 蛞蝓(ナメクジ)族が それは楽し気に
はねをのばしていたのが
急転直下 一斉にうねり
きゅうっと まるまったりするのもいれば
パーティー会場が 突如
≪戦場≫と化したもんで
てらてらしたぬめりを畳に残しながら蠕動運動を始めたり──、
でも その移動の遅さときたら
特筆ものなんですよねえ
捕まえてティッシュに包もうとするわたしの手の動きに
比べたら もう
圧倒的に 不利、そのもの なんだ
どんなに頑張っても敗けちゃうんだ
わたしは たまたま 別の生き物に 生まれて来ただけで
判断一つで どうにでもできちゃう
ティッシュで包んだとしてもそれは
彼らを燃やせるゴミに出す事だった
手足はない、口はきけない彼らとは
顔を合わせ対話というものが無理だ
ただ一方的に やられてしまうのさ
けれども、
わたしがいつも座っているパソコン
前のクッションの間近に銀のぬめり
が 生々しく 残っていたのを見つけ、
蛞蝓(ナメクジ)って丸まったり銀の
路を残したりしながらその動きを
ことば化してるんじゃないかなあ
って、考え込んで しまったわけ。
もしかして─・・・・なかよしになろうと 交渉にきたのでは!?
蛞蝓(ナメクジ゙)って お利口なんだよ
わたしの就寝中を 選んで 現れる
誰にも何にも 迷惑をかけていない
≪いつまでも いても いいよ──≫
蛞蝓(ナメクジ)の 世界観、知りたい
Silver Roadは きれいな通り雨だよ
(Praise Song)
Silver Road, Silver Road, Oh, Silver Road・・・・・・・・・・・・・・・・・
わたしが蛞蝓(ナメクジ) なら戦場で真っ先に死ぬね
Silver Road, Silver Road, Oh, Silver Road・・・・・・・・・・・・・・・・・
だって、生まれてからずっと かけっこビリだもの
蝸牛(カタツムリ)は殻があるそれで
子どもたちの 手のひらの 人気者
地域猫「さくら」も町内平和の徴 ※2
ところがだよ──・・・・・
蛞蝓(ナメクジ)って冷暗湿地を徘徊
するだけで元朝青龍並みのヒール
あいされる者とあいされない者がいるってことは
皆でそれを産んじゃうって事だな
蛞蝓(ナメクジ)は わたしがもう何回も焼却炉に送り込み
生きたまんまで どういう手も打てず 死んでいったんだ
そう、・・・・・・・・・・・・・・「ガス室」送りにすごく似ている
Silver Road, Silver Road, Oh, Silver Road・・・・・・・・・・・・・・・・・
幾筋ものかがやく路、──・・・・・それって きれいな
通り雨に 過ぎなかったと いうのにね、──・・・・・
※1手拍子を伴う、ゴスペルの冒頭のセクション。アフリカ黒人は
空0≪家畜≫として輸入されたと聞く。「自分で自分の肩をたたくような/
空0マクシム 菅原克己より」を、そんなとき思い出す。
※2「さくら」は、その後、すがたを消しました。
役者でもないのに
舞台で頭の中が真っ白になり
セリフが出てこない
なんて夢を
見たことがある
ある高名な詩人は
自分の詩集を開くと
ことごとく真っ白だった
なんて夢を
見たのだそうだ
詩を書いていて
書いても
書いても
真っ白
なんて夢は
まだ
見ていない
修業が足りんな
役者のほうが
向いていたかもしれない
夢の中のぼくは
舞台を動きまわり
真っ白な頭の中から
とにかく何か言葉をひねり出して
喋り続けた
そんな夢は
久しく見ていない
現では
詩が
書き出されもせず
真っ白のまま
*第二連 詩人=鈴木志郎康さん
空0浜風文庫に発表の詩「びっくり仰天、ありがとうっす。」のエピソード
ソレソレ
ソレソレ
神前での結婚の儀って奴は
ソレソレ
緊張感漲るものだったぜ
神主さん、巫女さん、迫力あったぜ
ふぅー、たまげたぜ
でももう終わりだぜ
これから披露宴始まるぜ
こっから先は人間様の世界だから気が楽だぜ
オハッ
オハッ
光線君、体を束状にしてぐにょうんぐにょうん凹ませて頷いている
お目々ぐりんぐりん
新婦の化粧直しも終わったようだ
おっと
耳の後には式の時にはつけていなかった
大きな真っ赤なお花が!
口紅の色も違うし他にもいろいろ細工がしてありそう
式からそのまんまの新郎とは大違いだぜ
それでいいんだぜ
よし、では人間様のイベントにGO
だぜだぜ
ソレソレ
ソレソレ
晴れやかな音楽とともに新郎新婦ご入場
親族一同も式の緊張が取れてにこやかなお顔
拍手で迎えられてテレくさいけど我慢我慢
ミヤコさんの高校時代のお友だちで映画監督のOさんが
ビデオ撮ってくれてる
ありがたいぜ
ふらーっふらーっ
お目々ぐりんぐりんの光線君
カメラの上を鯉のぼりみたいにふらーっふらーっ力強くたなびいて
おめでたさに花を添えてくれてるぜ
ソレソレ
披露宴はなるべく司会者に任せないで自分たちでやろうと決めたんだ
新郎新婦の紹介は互いでやるんだぜ
ソレソレ
「……ミヤコさんは、常に自分の意見を持ち、また相手の言うことをきちんと聞く、その両面がとてもすばらしいと思いました。一緒に暮らし始めて、甘えん坊なところがあることがわかり、そこもかわいいと思いました。……。」
「……和人さんは、多くの書物を読むなど知的な面を持つとともに、少年のような心を持ち続けている方だと感じております。また、大変優しく暖かい心を持っている方です……。」
ふぅーっ、2人とも用意してきた紹介文をつっかえずに読めたぜ
ふぅーっ、何事も練習だぜ
レーンシュー、レンシュッ、シュッ
お目々ぐりんぐりんさせて
ソレソレ
なぜか光線君も得意そう
ソレソレ
えーっと
この後、鏡開きをやって乾杯、それから宴会へ
お色直し後はマイクリレーで親族一人一人からひと言いただくって趣向だぜ
ミヤコさんのアイディアだぜ、手作り感が醸し出されるぜ
さっすがミヤコさん
その前に親族代表のカタシおじさんの挨拶だぜ
カタシおじさんは今年で92歳
頭は薄くなったけど足取りは確かでいつも背筋がすっと伸びてる
切手収集の趣味が昂じて切手販売の仕事に携わり
今やこの道の権威の「切手のおじさん」
「肥前国の明治時代の郵便印の研究」で大きな賞を幾つも受賞してるんだぜ
それはそれは
気が遠くなるような
お目々がぐりんぐりんしちゃいそうな
大・大・大研究
小さい頃、ぼくが吹けば飛ぶような「切手コレクション」帳を自慢げに見せたら
丁寧にチェックしてくれて
中の1枚を「これはまあまあいい切手だ」とほめてくれたりしたんだぜ
嬉しかったぜーぜー
おっと挨拶始まるぜ
「和人君、ミヤコさん、
このたびはご結婚おめでとうございます。
和人君の叔父のカタシと申します。
このようなおめでたい席で挨拶を述べさせていただくことを、
大変嬉しく思っております。」
いやー、こちらこそ今日は本当にありがとうございます
おじさん、感謝だぜ
「辻家ですが174年続いておりまして、
私が11代目になるのですが、
先祖に鍋島藩の役人の辻演年(ツジエンネン)という人がおりまして……。」
174年、そつぁ知らなかったぜ
「最近、佐賀の新聞の記事でも紹介されました。
今日はここにコピーを持ってきております。」
って
そんな小さな紙切れ振り回されたって誰も見られないぜ
おじさんの手のひらひらーっに反応した光線君
ふらふらーっ、螺旋状に体を巻いて覗きこもうとするが果たせず
への字型の眉みたいなのを作って
困った顔を演出してみせてくれてるぜ
「演年は技術者でありまして、
有明海の干拓工事を43年にもわたって手掛けたのであります。
当時の干拓と言ったらそれはもう一大事業でございました。
演年が考えだした『石積み法』という堤防の築き方が実に画期的なもので……。」
偉い人だったんだなー
ちっとも知らなかったぜー
で、それとぼくらの結婚がどういう関係が?
「また、長崎に赴いて砲台を築く仕事も請け負いました。
当時、長崎には外国の船がたびたび渡航し防衛強化の必要があったのですな。
演年は砲術家の本島藤太夫と協力しまして……。」
話は続くぜ
どこまでも
だんだん不安になってきたぜ
困惑した空気が会場に漂い始めたぜ
12時も過ぎてお腹もすいてきた頃だぜ
ちっちゃい子たちは
おじさんの気迫に押されてむずかる余裕もなく口ぽかんだぜ
ミヤコさんの眉、微かにぴくぴくしてるぜ
でも、来客の中の最長老だから誰も止められないぜ
光線君、突然関係ないよっという素振りを見せ始めて
ふらーっふらーっ、天井を右から左へ
今後は左から右へ
ふらーっふらーっ、意味もなく流れてるぜ
シラーン、シラーン、シラーン
ずるいぜ、光線君
「……演年は晩年になって、
自分の仕事を文章に書き残すということをやっております。
達筆な漢文で書かれているのですが、これが大変見事な名文でございまして、
文章家としても一流であったわけです。
ところで、新郎の和人君は詩を書いておりまして、
『真空行動』という詩集を出しております。
ここには猫ちゃんのことがとても細かく面白く書かれている。
辻家の文才はここに引き継がれていると痛感したのであります。」
おおっ、ここにつながったか!
おじさん、ぼくの詩読んでくれてたのか!
「ミヤコさん並びに鈴木のお家の皆様、
こんな辻家でありますが、どうぞ末永く仲良くおつきあいいただけたらと存じます。
最後にもう一度、和人君、ミヤコさん、ご結婚おめでとうございます。」
お、終わった
終わったぜ
どうなることかと思ったけど
オワッター、オワッター
光線君、いつのまにかおじさんの側にいて
おじさんが頭を下げるのと同じタイミングで
ふらーっふらーっ、体を折り曲げてるぜ
ほっとした空気が広がるぜ
パチパチパチパチパチ
ソレソレ
ソレソレ
しっかし、おじさん
鈴木家の皆さんに辻の家のことをわかってもらおうと
一生懸命だったんだな
誇れる先祖のことを図書館に行って一生懸命調べたんだな
それにそれに
ぼくの詩も一生懸命読んでくれたんだな
現代詩なんか読む機会もなかっただろうに
ファミちゃん、レドちゃん
君たちとの大事な思い出もちゃんと読んでくれた
さすが「切手のおじさん」
ソレソレ
ソレソレ
おじさん、おじさん
おじさんが切手のことなら何でも知ってる「切手のおじさん」になれたのは
調べる手間を決して省かなかったからなんだなあ
新宿切手センターにあるおじさんの店は
「平和スタンプ」っていうんだぜ
日本が2度と戦争をしないようにっていう願いがこめられているんだぜ
武家出身だからこそ平和のありがたみが身に染みてるって聞いたぜ
その店に90歳を超えた今でも毎日顔出してるっていうぜ
駅までは自転車を走らせて皆から危ないって言われてもやめないんだぜ
ちょっとくらい長くなっても
辻家のことをわかってもらうために先祖の話をしないわけにはいかないんだぜ
ありがとう、ありがとう
だぜだぜー!
ソレソレ
ソレソレ
よっこいしょ
大きな木槌を持って
ミヤコさんと2人、息を合わせながら樽の蓋を
バチーン
鏡開きでござーい
広がる馥郁たる清酒の香り
お、お前
酒樽の上にぽっと現われたる
裃つけた巨大な半身
お、お主
ながーい顎鬚に、きりりと結んだ口元
遠くを見つめるような澄み切った眼差し
お、お主
演年さん?
目をぐりんぐりんさせた光線君
いきなり体を平べったくして床にぺたっと這いつくばって
土下座の真似かよ?
蓋を割った後は木槌を2人で持ち上げて
皆様とカメラに向かってにこにこするのが流儀なんだけど
晴れ渡るようなミヤコさんの笑顔に比べて
ぼくの笑顔がひきつってるのは
お、お主
演年さんのせい、だぜだぜ
子孫に命じていたっていう堤防の補修、できなくてすいません
でもでも
詩は書いてるぜ、本気で書いてるぜ
この人ぼくの伴侶だぜ
ずーっと一緒に本気で暮らすんだぜ
ソレ、乾杯の時間だぜ
ソレソレ、アーソレソレ
演年さんも杯を取ってくれ
光線君がふらふらーっと体の端っこを杯の形にして切り離し
演年さんに握らせる
演年さん、不思議そうに杯を見つめていたが
「それでは、かんぱーい。」
ぐいと飲み干した!
人間様の世界も奥が深いぜ
ソレソレ
ソレソレ
連日連夜の大震災でショックを受けたくまモンが、エコノミークラス症候群になってクマっているというので、仲良しの鉄腕アトムが駆けつけました。
「くまモン、そがん青か顔してどがんかしたと?」*1
くまモンは、鉄腕アトムが慣れない熊本弁を使ってくれたことに感激しながら
「どがんもこがんも、朝から晩まで余震が続いて眠れんけん、どがんしようもなかと」
と、よわよわしい声で答えました。*2
「くまモン、いま困っていることはなに? なにか欲しいものある?」
「ぼくのエコノミークラス症候群は、だいぶ良うなった。ばってん、ともかく余震が怖か。
一日も早よおさまってほしか」*3
「わかった。帰ったらお茶の水博士と相談してみるよ。でもあんまり期待しないでね」
「そらよかばい。よろしく頼んだもん」*4
「で、いますぐ欲しいものはなに?」
「えーと、えーと、水、下着、紙おむつ、それと生理用品があったらうれしかね」
「わかった。大至急持ってくる」
くまモンとかたく指切りゲンマンした鉄腕アトムは、たちまち大空高く飛び去りました。
「気をつけていってはいよ!」*5
その翌日、くまモンが市の避難センターでラジオ体操をしていると、バリバリバリと物凄い音がして、運動場に巨大な人型ロボットが舞い降りてきました。
見れば、鉄人28号ではありませんか!
鉄人28号の胸の扉がゆっくり開くと、その中から両手にいっぱいのお土産を持った鉄腕アトムと、ドラえもんと、のび太と、しずかちゃんと、なんとなんと六つ子が現われました。
くまモンは「びっくりモン」とうなったきり、目を白黒させています。
鉄腕アトムは、
「遅くなったね、くまモン。ぼくのお友達のみんなも連れて来たよ。ぼくと金田正太郎君と鉄人28号は、壊れたおうちやお城を直して、怪我したひとたちをどんどん助けるぞ!」
と叫ぶやいなや、アッというまに鉄人28号と熊本城めがけて飛んで行きました。
「はじめまして、くまモン。ぼく、ドラえもん。こちらはのび太君としずかちゃん。毎日テレビを見ていて大変なことになっったなあ。どうしよう。なにかできることがないかなあ、と思っていたんだけど、アトム君が一緒に熊本行こう!というもんだから、やってきたモン」
くまモンは、ドラえもんとがっつり握手をしながら、
「はじめましてだモーン。うれしか、うれしか!」
と喜びの声をあげました。
すると、そんな2人を六つ子がワワッと取り囲んだので、あたりは急に騒がしくなりました。
おそ松「はい、くまモン。これが天然水の入ったボトルだよ。いっぱいあるよ」
くまモン「ありがトマトー!」
一松「エコノミークラス症候群には、やぱり水がいいってさ」
十四松「それと、せっせと足を動かさなきゃだめだって」
トド松「はい、これが下着だよ。GUなんだけど、いいよね」
カラ松「ついでに、ぼくの大好きなお肉も持って来たよ」
チョロ松「こっちは、ハーバード大学特製の紙おむつだよ」
しずか「ほら、お待ちかねのナプキン類よ」
のび太「さあ、これからぼくたちは、熊本復興のボランティアとしてがんがん働くぞ!」
すると、くまモンは、
「シャキーン! ワオー、くまモン、サプライズ! うれしか、うれしか! みんな、ありがとう。ぼくも今日から百万馬力でぐあんばるぞお!」
と叫びながら元気よく飛びあがり、みんなと一緒に「くまモンもん」の歌を高らかにうたったのでした。
注
*1「くまモン、朝っぱらから顔色が悪いぞ。どうしたんだい」
*2「どうもこうも、朝から晩まで余震が続いて眠れないからどうしようもないんだよ」
*3「ぼくのエコノミークラス症候群はだいぶ良くなったけれど、ともかく余震が怖い。一日も早くおさまってほしいんだ」
*4「それはいいね。よろしくお願いします」
*5「気をつけて行ってきてね!」
お断り この詩の熊本弁は、熊本出身の友人、田中聖一さんの協力と助言のもとに佐々木が作成いたしました。田中さんのご協力に厚くお礼申しあげます。
今月も足りない
思いっきり
お金を使ってみたい
と思うけど
いつも
そうして
いるんだった
あるだけ
全部
ありったけを
思いっきり
詩を
待って
朝になった
ひとつ
ことばを置いてみる
詩はあるか
知らない
空は明るい
薄い青空に
白い月が浮かんでる
雀が鳴いてる
昨日
突堤のみえる公園で
磯ヒヨドリが飛ぶのをみた
翼をひろげ
空中に止まっていた
無い声で
鳴いていた
久しぶりにポカポカ陽気につつまれた今日。
今だと言わんばかりにベランダに布団を干すことにした。
おもいっきり陽の光を浴びてふっかふかになってほしい。
幸せとは何なのか。
幸せとはなんだと思うのか。
最近ある人に聞かれた。
そのときはとっさのことで上手く答えられず「わからない。」としか言えなかった。
ある新聞記事の特集でこんなことが書いてあった。
世界には色んな人種、宗教、文化、考え方、食べ物があるけれど、不幸だと感じることは共通して「孤独であること」なんだそうだ。
孤独と感じる状態に陥るとものすごく心が寂しくなるのだそうだ。
確かにぽっかり穴があいたような気持ちに苛まれるのかもしれない。
だとするなば、その反対である幸せとは…。
自分のことを理解してくれる人の存在が在ることなのではないだろうか。
何か隠しながら付き合う人ではなくて、全てをさらけ出して信頼できる人の存在。
そんな人と面と向かって話す。
そんな人と食事を共にする。
そんな人とスポーツをする。
なんだっていい。
そんな人の存在が一人でもいることが幸せなんだと思う。
25才、春、この時点でわたしはそう考える。