ついにこの容れ物には入らなかった精神

 

工藤冬里

 
 

は骨壺に入っている
コツウォルズに一緒に行ったとか
ほんなこつね
いつかトラムには乗っていた
居た居た居た居た
居たと署名したらその時点の生を再生し続ける
独立宣言や日本国憲法と同じように
全ての書類には神がサインすることが想定されなければその有効性はlaunchされない
骨壺の中に入っているのはマナのレシピと骨訴訟証
山本土壺という篠崎順子にドツボ!!と発語される同輩がいた
晩年は俳句に凝っていた
骨壺に入れる一つの言葉は他の全ての言葉との違いを指し示すだけだが
コロナのように際限のない土壺移り
 

 

 

#poetry #rock musician

You may as well start at once.
君はすぐに出発するほうがよい。 *

 

さとう三千魚

 
 

yesterday night

I saw the moon

the moon was not a full moon
it was a little lacking

this morning

along the river
I saw the goldenrod flowers shining

I saw the wide leaves of Yulan magnolia turn brown
I saw the red fruits of a nandin

in autumn
the ear of rice was shining golden

farmer burns straw

smell
I sniffed

I was watching aquatic plants sway at the bottom of the river

was there
the man was standing

You may as well start at once *

 
 

昨日の夜

月を
見た

月は満月ではなかった
すこし

欠けていた

今朝

川沿いの
背高あわだちそうの花の輝くのを見た

白木蓮の葉のひろい葉の茶色くなるのを見た
南天の赤い実を見た

秋には
稲穂が黄金に輝いていた

農夫が藁を焚く

匂いを
嗅いだ

川の水底の水草の揺れるのを見ていた

そこにいた
その男は佇っていた

君はすぐに出発するほうがよい *

 

 

* twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

簡単な部屋の名付けられていない二色が全てを決定していく

 

工藤冬里

 
 

取りまとめてカラカラと
何の見切り発車か
デスティネーションはとうに過ぎて
スクワットを笑って三十回
時間を売って
デスティネーションに戻ろうと
留守電のようにカラカラと
空のリールのように操業する
針の長短
徒刑まで何マイル
ついにこの容れ物には入らなかった精神

 

 

 

#poetry #rock musician

I shall stay here for the present.
私は当分のあいだここに滞在するでしょう。 *

 

さとう三千魚

 
 

screaming
I was hearing

I heard it in the kitchen
was moaning

that is
no way

I didn’t know I was

that person was also screaming

it was Francis Bacon’s cry

he is a villain

at the bottom of the sea
was shaking

at the bottom of the sea
was a swaying man

oh oh oh
oh

uoh uoh uoh uoh uoooh

was screaming

the tide
was flowing

aquatic plants were shaking at the bottom of the water

small fishes

they were shaking their hips and swimming

I shall stay here for the present *

 
 

叫び声が
聴こえていた

台所で聴こえた
呻いてた

それが
まさか

自分だとは知らなかった

その人も
叫んでいた

ベーコンの叫びだった

悪人
だろう

海の底で
揺れてた

海の底で
揺れる男だった

おおう
おお

うお うお うお うお うおおお

叫んでいた

潮が
流れていた

水底で水草が揺れていた

小魚たち

腰を振って
泳いでいた

私は当分のあいだここに滞在するでしょう *

 

 

* twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

胃が痛くなりそうな気がする

 

工藤冬里

 
 

白髪はほとんど光
死んだ男との繋ぎ目が黒を潜って顔になる
親達は叫ぶ赤子に戻り
流線は収斂する
シナイの地下水は豊富でなければならない
戦況について
身近な国の国境を越える色がまだ名付けられていない
いよっ大統領
着ることは中身を外に出すこと
パンジー刑事
反故にする
衣服を着せて体の欠点を隠す
頁のカモメ
柿色のコンパネに光が当たり
身分証明に完璧な接着剤
簡単な部屋の
名付けられていない二色が
全てを決定していく

 

 

 

#poetry #rock musician

He is living from hand to mouth.
彼はその日暮らしをしている。 *

 

さとう三千魚

 
 

for breakfast
make onion miso soup

cut vegetables
make a salad

give the woman a salad
see off the woman

hang out the laundry
go to take out the trash with the dog Moko

with moco
by car

go to see the sea
was calm

something sways and moves on the bottom of the flat sea

at the bottom of the sea
there is a swaying man

the man is swaying

a man is holding a woman
woman’s skin

warm

He is living from hand to mouth *

 
 

朝食に
玉葱の

味噌汁を作る

野菜を切り
サラダを作る

サラダは女に持たせる
女を

見送る

洗濯物を干す
犬のモコとゴミ出しに行く

モコと
車で

海を
見に行く

凪いでいた

平らな海の底に揺れて動くものがある

海の底に
揺れる

男がいる

男は
揺れている

女を

抱いている
女の肌

温かい

彼はその日暮らしをしている *

 

 

* twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

Situationist
International

 

工藤冬里

 
 

ジジェクの「パンデミック」はその冒頭から間違っている
マグダレーネに言った「我に触れるな」(J20:17)は風船のように空中に昇っていったりはしないから大丈夫だよ、という意味である
ジジェクはここを、相手に触れることの出来ない感染拡大状況に適用する
そしてヘーゲルの若書きを引用し、触れられないなら見つめ合え、とアジテートするのだ
そのあとジジェクは

ここで大木さんから電話が入る
今自分はネオ・シチュアシオニストで、映像は繋ぎ目が大事なのに大手メディアはその微細を分かってない、原発事故やコロナよりSNSの方が問題だと言う。
僕は映像を 観るとは善悪に晒されるということだ、と説明する。
その後

胃が痛くなりそうな気がする

 

 

 

#poetry #rock musician

My watch is out of order.
私の時計は狂っている。 *

 

さとう三千魚

 
 

put moco in the passenger seat
driven to the beach

this morning

the sky
it was sunny

the west mountains
standing in blue-green

in the sea
the whitebait ship was floating

many times
many times

it’s the sight I saw

I was there
I’ll be back there

you were standing
nothing left

My watch is out of order *

 
 

モコを
助手席に乗せて

浜辺まで

ドライブした

今朝

空は
晴れていた

西の山は
青緑に佇っていた

海には
しらす船が浮かんでいた

なんども
何度も

見た光景だ

そこにいた
そこに帰る

きみは佇っていた
何も残らなかった

私の時計は狂っている *

 

 

* twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

羊羹を切らずに食べる男

 

工藤冬里

 
 

石のパンを
疑念を抱きながら剥かずに
養老のコースターの
レイヴンズクロフトの紋章
一二軍団を渓谷に呼ばない代わりに
杭から下りてこいと動画で叫ばせる
FBの動画はみな誰かにやらせる復讐譚だ
一二階から飛び降りてヒョウタンツギ
誰が助けるか見てみよう
日の丸パリサイチェーンが天カスのシーニュで自尊心を満たそうとする
財布すぐにゲットできる
企業が王にしようとして押し寄せ
矢張り何とかIKEAのソファーベッドにしようとか
都合の良い時神戸に行くと見抜いた
毎回名神を使った
忍者の草とは耐えることではなく各々の背高への反応の仕方を意味する
内臓は立っている
立ったまま眠ってなんかいない
顔だけが二次元である
キャンパス上の(突起の)陰影のみが立体である
(油絵は斜め横から照らしてナンボだ)
山止たつひこから四〇年コマのまわりに矢の時間が立っている
ジャンプを縦に貫くマンガの線
家を持たなくて良かった
猫は
口から肛門に流れる線が膨らんでいるだけだ
その基はうわついた魚の線
宇和島の聴覚イメージは常に逆さになった伊達の黒である
背高泡立草の列がもはやウェーブを送っている
優雅な悩みなどない
近藤等則のIMAは今できることを考え続けることによって得られた線の処世の術であり
今できないことを考え続けることを(マイルスのように) やめてしまっている
(からだめだ)
今敢えて絵を描くということの意味を問うてきてください
絵を描くことは問われるが映画を作ることは問われない
では絵で映画を描けばいい
ということなのではないか
ドエグ的情況とは
文谷はパースペクティブを アニメの線で覆い、ドイグは写真を映画で覆った
(ということか)

 

 

 

#poetry #rock musician

食っちゃおうか

 

辻 和人

 
 

2枚の柔らかな薄ピンクの皮膚
唇だ
そこに薄グレーの細長い奴
ぺろっと横たわる
夜中いびきかいたらお互いうるさいからね
それに喉乾燥して風邪ひきやすくなるからね
寝る時口にテープ貼ることにしない?
ミヤミヤが決めて、かずとんも実行した
呼吸苦しいかな
大丈夫
すーっ、鼻呼吸に移行
眠くなってきた

薄グレーの細長い奴
ぱっちり目覚める
2枚の薄ピンクの間で
伸び縮み伸び縮み
裏返りそうになって
キャッ、キャッ
いびき、食っちゃおうか
いびき、食っちゃおうよ
くっす、くっす
やがてやがて
とおーくでアラーム鳴る
ミヤミヤとかずとん
一緒に唇からテープ剥がし
よく眠れた?
眠れたよ
顔洗って
薄ピンク2枚ぱっちり活動始めると
屑籠の見えない底では
伸び縮み伸び縮み、はもうしないけど
キャッ、キャッ
くっす、くっす、くっす