工藤冬里
投げられない
委ねられない
転がせない
手をつないで歩いているわけではない
右手を差し伸べられて
引き上げられるだけだ
#poetry #rock musician
投げられない
委ねられない
転がせない
手をつないで歩いているわけではない
右手を差し伸べられて
引き上げられるだけだ
#poetry #rock musician
yesterday
that person
died
that person was a photographer
that person was a tuna sailor
that person was a truck driver
in the precincts of a temple in Asakusa
the person took a picture of a person
“A man who learned to sing tanka at Aomori Prison” and **
“Young man who walked from afar” **
I can’t forget those portraits
there
was there
wrap human life in light
that person made a person stand
at the bottom of the light
the river was flowing
that person took a picture of a nearby person
the people nearby were those who walked from afar
・
What is he like *
昨日
そのヒトは
逝った
そのヒトは写真家だった
マグロ船船員だった
トラックの運転手だった
浅草の寺の境内で
そのヒトは人の写真を撮った
“青森刑務所で短歌を詠むことを覚えた男”と **
“遠くから歩いて来たという青年”の **
写真が
忘れられない
そこに
いた
人の生を光に包んで
佇たせた
光の底に
川が流れていた
そのヒトは近くの人を撮った
近くの人は遠くから歩いてきた人たちだった
・
彼はどのような人ですか *
* twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.
** 鬼海弘雄「世間のひと」(筑摩書房)より写真のキャプションを引用しました.
#poetry #no poetry,no life
雨の新青梅
赤の信号の目
街道kd東京tk
薙ぎ倒される二三区の子音たちが
公園で阿弥陀に組み立てられている
上り下りする者たちの
ここは約束の地ではない という声が
イヤホンしてない方の耳にドップラーで混ざるが
脇目も振らず走り抜ける
青梅と新青梅はどちらが荒んでいるか競い合いながら交差して入れ替わるが
死んだ西東京のために
雨の日に自転車で飛ばすのは新青梅でなければならなくなった
赤い公園 西東京
https://www.uta-net.com/song/204846/
#poetry #rock musician
横須賀は大滝町のキシモト歯科へ行ったら、エレベーターや階段で上昇することを拒否して、ひたすら下降するのが趣味だという、ヨシモトなんとかいう老人が、おらっちの隣で治療を受けながら、
「歯垢が試行だ!」
とかなんとか、訳の分からないことを言いながら、おらっちを挑発してくるのよ。
ほんでもって頭に来たおらっちが、
「あんたはんは、チェコの国民的英雄でもある詩人、パブロ・ネルーダみたく、直喩より隠喩を使いこなせる詩人の方が高級だ、と主張しとるようやね。
しゃあけんど「雨が降る」を「空が泣く」、「ライオン」の代わりに「百獣の王」、タンポポを「ライオンの歯=dent de lion」と言い換えて、鼻高々になるのが、ほんまもんの詩人なんかいな?」
と啖呵を切ると、この時点からヨシモト翁に転向したヨシモト老人は、不機嫌そうな顔で私を睨みつけて、
「それはわしの『詩学叙説』の誤読じゃ。
若造め、お前はマチュウ書を読んだことはないのか、マチュウ書を。
その13章35節には、詩篇78章2節から引用されたイエスの言葉が、次のように記されているのじゃ」と、苦虫を吐きだすようにのたもうた。
『私は口を開いてたとえを語り、
天地創造の時から隠されていたことを告げよう。』
すると、いつの間にか傍で我々の話を聞いていたムラカミなんとかいう男が、口を出した。
「いまあなたが心の中で言った、苦虫を吐きだすように、というのは直喩ですね。
僕は直喩が大好きなので、小説の中でよく使います。使えば使うほど直喩は喜んでくれる」
「愚か者め、それは直喩法じゃなくて擬人法じゃ」
「なるほど、あなたこそは詩人の鏡、じゃなくて幻像、いやさ原像でしたからね。でも僕だって、もちろん隠喩も使いますよ。ちょっと聞いてくださいな。
『スワローズの中堅手
ジョン・スコットのお尻は
すべての基準を超えて美しい。
とてつもなく足が長く、お尻はまるで
宙に浮かんでいるように見える。
心躍る大胆な隠喩みたいに。』(村上春樹『一人称単数』「ヤクルトスワローズ詩集」より)
「愚か者め、それは隠喩という言葉を用いた直喩じゃないか!」
頑固な老人は、まるで赤色巨星と化した最晩年の太陽のように激しく燃え盛っているので、思案に暮れたおらっちは、彼を日本橋三越のライオン像の前に連れていった、と思いねえ。
するとコロナ、コロナで退屈し切っていた2匹のライオンは、
かの偉大なるMGM映画のはじまりのように、
「Ga―Ohoo,!Ga―Ohoo!Ga―Ohoo!」
「Ga―Ohoo,!Ga―Ohoo!Ga―Ohoo!」
「Ga―Ohoo,!Ga―Ohoo!Ga―Ohoo!」
と、喉も潰れよとばかり都合3回ステレオで吠えてみせたので、さすがのヨシモト翁も、
「やっぱ隠喩より直喩、直喩より、命の叫びだあな」と、なにやら切実な悟りを開いたようだった。
そこでおらっちは、マチュウ書ならぬヨハネ伝の冒頭の聖句を引喩して、長かった一日に終わりを告げると、老人は、
「こりゃまた失礼しましたああ」
と、植木等の真似をしながら、ようやっと大川方面に退散したのでした。
『初めに言があった。
言は神と共にあった。
言は神であった。
万物は言によって成った。
言の内に成ったものは、命であった。
この命は人の光であった。
光は闇の中で輝いている。
闇は光に勝たなかった。』(聖書協会共同訳聖書「ヨハネによる福音書」より)
morning
we went to the grave
it was the anniversary of my mother-in-law
I went with a woman by car
we water the stones
offering flowers and incense sticks
we prayed together
on the way back
I parked my car in the parking lot of the station
along the river
I walked back
the flowers of Confederate rose were in bloom
It was a pink Confederate rose
The woman says her mother won’t come to her dreams
Where is she walking
・
More often than not I lay awake all night *
朝
墓参にいった
義母の月命日だった
車で
女と行った
石に
水をかけ
花を活け
線香を
立てた
手をあわせた
帰りは車を駅の駐車場に停めた
川沿いを
歩いて帰ってきた
酔芙蓉の花が咲いていた
ピンクの
酔芙蓉だった
女は母が夢に来てくれないという
どこの道を
歩いているのだろうか
・
私はしばしば夜通し目を覚ましたまま横になっていた *
* twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.
#poetry #no poetry,no life
刈り込まれた樹木は
主人の無い奴隷
復活は
刈り込まれた辛抱
あとは眠り
と
語学
と
山吹
#poetry #rock musician
yesterday
returned in the evening
then I fell asleep
on the sofa
slept
in the middle of the night
the woman is back
I woke up
TV was on
it was “time theory public theory”
yhen again
I fell asleep
I wake up at midnight
I went into the bedroom with Moko and slept
so it was morning
the west mountains stand blue under the gray sky
・
I was at a loss what to say *
昨日は
夕方
帰った
帰って眠ってしまった
ソファーに
眠った
夜中に
女が帰って
目覚めた
TVがついてた
“時論公論”だった
それからまた
眠ってしまった
深夜に目覚めて
モコを抱いて寝室に入って眠った
それで朝になった
西の山は
灰色の空の下に青く佇っている
・
何と言えばいいのか、私は途方に暮れた *
* twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.
#poetry #no poetry,no life
背景ゆえに削除され
真面目さから排除され
晩餐の予約から削除され
芳名録から削除され
骨洗う共同体から削除され
削除され 削除されて
枯死した木に
蔦は絡まり
背高泡立草は茶にされ
秋から欠落した
#poetry #rock musician
wake up
human
in the morning
wake up
humans take off their clothes
another
clothes
wear
face
wash
and
humans open the door
human
along the river
head to the estuary
in the river
the water is flowing
fish
waterfowl
swimming
aquatic plants
it is swaying
ears of silver grass shine in the morning sun
on the peninsula
the morning sun is rising
the sea shines
at the estuary
stray cats live
stray cats are in the morning sun
stray cat kids are playing
in the nearby grass lawn
parents are closing their eyes
they are looking
with their eyes closed
standing
・
I do not despise him because he is poorly dressed *
目覚めます
ヒトは
朝になると
目を覚まします
服を脱いで
別の
服を
着ます
顔を
洗います
そして
ヒトは
ドアを開け出ていきます
ヒトは
川沿いを
河口に向かいます
川には
水が流れていて
魚や
水鳥が
泳いでいます
水草が
ゆらゆらとゆれています
すすきの穂が朝日にひかります
半島に
朝日がのぼっています
海が光ります
河口に
ノラたちは住んでいます
ノラたち
朝日の中に
います
ノラの子供たちが遊んでいます
近くの草叢に
親たちが眼を瞑っています
眼を瞑って
見ています
佇んでいます
・
彼の身なりが悪いからといって私は彼を軽蔑しない *
* twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.
#poetry #no poetry,no life