一条美由紀
その危うさは武器なのか、
それとも自由な思想のための踏み台なのか。
彼女は行く。
上手くいかないことを数えては忘れ、
淡い夢をしたたかさに変えて、、。
熱帯雨林の街
異常気象も慣れてくればなんとかなるさ
無敵な人間たちは今のひとときが楽しければ明日もチョロい
そして
未来への提言はいつもプラカードのままに終わる
彼女は正義の味方だった
鉄腕アトムは彼女の仮の姿だった
少女の時はなぜ世間は窮屈で偏見に満ちているのかと思っていた
大人になり、いろんなこととうまく距離を持つことを覚え、
母になり悩みながらも子供に多くの愛情が自分から生まれてくることに驚いた
その中でも彼女は正義の味方だった
時に間違いも犯したが、いつも正しいと思うことを目指した
今彼女は少し背中が丸くなり、膝は歩くたびに痛む
アトムだった女は、もう正義の味方ではなく、自分自身の味方となった
生(せい)のあるものだけが知っているフィクション
Yesの意味は無限にあり、どれを選んでも正解である
変形自在な価値観が世界を覆い、
自分の目と感覚の自信が壊れてしまう。
迷い児となり助けを求めても、
流れをやめない喧騒に溶けて行く
死んだらいいのに
言っちゃいけないことだから
思っちゃいけないことだから
バチが当たったらいやだし
でもこう思うこともある
死んだらいいのに
ナイフを持って
深夜を一人歩いて
泣くための悲しい話を探して
死んだらいいのに
他人を自分を
目に見える全てを憎んで
死んだらいいのに
遠い地で不思議な大地を撮り続け、
長い旅から帰ると、
故郷の空気は美しく私を出迎えた
見えてないだけだった
謎が生まれたところに答えも同時に存在するのだった
1本の電線は会えない母の存在の証
電話での会話は時々意味が通じない
遠くにいる後ろめたさが背中を覆う
まだ大丈夫 まだ大丈夫
でもいつか大丈夫じゃなくなる
背中を映すことのない今日が
明日に変わるのが怖い
鬼は人間をバクバク食べるのが好き。
人間の悲鳴もちょいとしたスパイスだ。
ある時変な人間を食べてしまった。
そいつは食べてくれてありがとうといい、
そいつを噛み砕いている時、
うふふ、うふふと喜んでいた。
何十年何百年と年月は過ぎていったが、
鬼はあの人間の喜ぶ声が忘れられなくて、
ある日あの人間に変わってしまい、
食べてくれる鬼を探し続けることとなった。
言葉を探すのはつらい
考えてる時、頭の中に言葉はない
感覚の湖の中にドブんと沈み込み
そこでキラキラしたものを探してる
言葉で現実に戻そうとしたって
言葉は嘘つきだから
キライ
私が猫だったら、
いつも可愛い可愛いと言ってくれるのかな。
うっかりあなたの大切なものを壊しても
仕方ないか、猫だもの。と言って許してくれる。
私が猫だったら、
いつも側に来て優しく撫でてくれるのかな。
そしていつかあなたより先に死んでいっても
あなたには私との美しい思い出しか残らないのだ。