メタフィジカル・ディスタンス

 

工藤冬里

 
 

遂に消したな
扇風機の
風は必要だが 
嘘の体

冷ましてしまうから 
その向き
は巧妙にずらして
オトシイレようとする
押入れトイレ情報
によって 二世帯

冷えすぎないようにしている

公正なアカウント
の距離
について迷った時

悪を行う群衆
についての用語
を作ることに力強い者たち

付いていかないようにする

顔を出せない
プロフィール
の死者たち
を死者として気遣うアバター

あゝ福田くんは死んだ
と言わせる

送信イツダツする前に
ヨビモノとなっている同調圧力
のアロンに吹く風の流れを思えば
貧しい人の争い
も相手によって目線が変わるので
外国人の気持ち
が分かるきみは
目を半沢直樹みたいに大きくしてはならない

アロン・アゲイン

あゝ白髪なのに十年前からまだ生きている
心を働かせて
なよなよと吹く風の中でマイケルは
モーセの体について効率的に論じ合う

貧しい人や立場の低い人や弱い人が常に重要なので
新しい眼付とマイケルの髪型で法規を読む

敵対者を手伝うこと
について考えると
賄賂を受け取る気持ち
が分かってしょうがない
菅義偉官房長官はボードレールの髪型にしないといけない

土地を休ませなければならないと思うが
野生動物の気持ち
を朝まで聞き逃す

空き地には木を植えるので
親のない子が休めるようにしたい

洞窟は掘らない
金は隠さない
黒いレクサスは買わない

心配事を話すと優しくしてもらえるので
寒気を感じる部分の賄賂をシャットアウトした

悪意の無い中傷の肩幅
話したい衝動

もしおれがちゃんとしていたら
きみに怒っただろう、

でも自分の落ち度によりおれは
今の時期の扇風機くらい無力だ

目を閉じるとフレームが見える
タレルのopen fieldのように 見慣れた四角ばかり

フレームの中では離れれば離れるほど近くなっていくように見える

不意に
死者との距離
を忘れさせるサンフランシスコの
山火事
フレームのない山火事は宇宙からも見えた
きみの削除痕はきみの外からも見えるだろうか

居なくなったきみの近さの中へ
秋の扇風機はなよなよと風を送る

 

 

 

#poetry #rock musician

夜のシンフォニー

 

工藤冬里

 
 

何処かの奥底でウシガエルの喉の声がヴァイヴ設定されたスマホそっくりの間隔で鳴り止まず

情緒は日暮しの身体全体の振動からしか来ないのかと思っていたが

喉の声調も捨てたものではなく

と言うことは

人の声に感動することだってありうるのかもしれない

とまで考えたら

音がやまった

やまる
は俗な言い方だが

やまった

と思ったら

さらに奥底で鳴り続けている

そう書くと

エッセイみたいだが

鳴り続けている

いや

いた

過去形だ

いまはまた聴こえなくなった

代わりにバイクの音がする

あれはピザ屋の原付の音ではない

いや

盗んだバイクで〜の音でもない

秋虫の非喉音と耳鳴りも浮上してきた

カタカタいうラチェット型の玩具の
あの効果音は

モーツァルトのシンフォニーにも使われていたし
ブリューゲルかなんかの
子供の凧揚げみたいな絵に出てきていたように思うが

ここで特定しようとすると堀江敏幸さんのエッセイみたいになってしまうので

そうした探究と出会いが人生ではないということを知らしめるために

ここで再び音に戻る

相変わらずウシガエルを通奏低音に

鈴虫と

遠くの夜中の国道の

サウンドスケープが

楽譜として描画される夜更け

素晴らしいループのコンプレックスの
シンフォニーじゃありませんか

ウシガエルの喉の通奏低音が人間の機械音を呼び込んで

いま夜の地表で神と人が肘タッチしている

 

 

 

#poetry #rock musician

リヴァーシブルなポケットの着脱

 

工藤冬里

 
 

縫い目のない編み方は輪っかからかなあ
石ころを転がして籤を引く顔たちがサバゲーとかしてそうな
近遠煙禁法の頭蓋の丘で
棒杭は立てられ
掃除婦はモップ掛けに勤しむ
全てが間違っていて毛ほどの接点もない
四次元では球を割らずに裏返すことができると言うが
裏返らなければパラダイスに一ミリの接点もない
奄美のメリスマが入り口だったが
今はゴルゴ13に見張られている
徒刑場の全員がマスクをしている
受刑者までが
マスクをしている

 

 

 

#poetry #rock musician

其日本及日本人

 

工藤冬里

 
 

私たちは全員外国人なので
曲は努力しなくても夢に出てくる
努力しなくても自然に外国人には成れるので
タオルをマイケルの肌のように白くする
私は街の人をフィルムカメラで順番に撮っている
「外国人」という写真集を出すのが私の夢だ
その夢に
曲は自然に出て来るのだ

 

 

 

#poetry #rock musician

台風十号と政権交代

 

工藤冬里

 
 

私の体は日本のようだ
ったが
それも今日でやめよう
スパンと切り替えゴキブリの鈍光
復活しない猫と共に
遠方凝視法で皿ヶ嶺の山の端を見よう
ソーシャルメディアを 使うことで寂しさが増す
必要以上でも以下でもなく
人間だった頃の自己評価のまま
猫になってみよう
雨は時々バラバラと打ち付けるが
月さえ見えている
凶風で家は揺れているが
私は死んでもいい状態だ

 

 

 

#poetry #rock musician

石鎚残照

 

工藤冬里

 
 

石鎚の尾根伝いにトレッキングしていた知り合いのウェイターが
急にワアーッと叫びながら斜面を駆け下りていった
最近店で怒りっぽく躁に入っていたので心配していたところだった
ジェット機から見ると山は
駆け下りるのに丁度いいようにみえる
樹木などはじゅうたんのようだ
石随の岩は近場の滑川などより数段大きい
体は裂け,内臓が全部出てしまった
夜ラジオを聴いていたら
わたくし機長福山雅治がご案内します

宣伝していて
なにが機長や
ラジオでわたしらがジェット機に乗れるわけないやん
いくら美男子で人気あっても
そんな台詞言わされるくらいなら
死んだほうがましや
そんなんやから日本は滅ぼされるんや
役でやった幕末の志士とかさえあんぽんたんに見えてくるわ

怒りがこみあげてきた
ジェットストリームでは
末日記Ⅱがかかったこともある
伊武雅人が
パリの冬の焼き栗売りは・・
とかやってた頃は
キザやなとは思いつつも
ゲンズブール並みの重さはあった
地震前は
ここまで浮いたことを浮いたままで
風化させる乖離はなかった
わたしの体は日本のようだ
でおなじみのテン年代に
わたしらの言語は安倍化したんや
でも
スポンサーサイドから番組を眺めれば
至極当然の言語空間なのであって
その享楽にミヤシタパークみたいに馴らされていくのが
手に取るように分かる
JALが福山にこう言うてほし言うて
それでこうなっとるんや
この境目の門渡りが
あたらしい詩の場所だ
ここから奴隷の命の大切さに転がり落ちる
殴られてその場で死んだら殺人罪で
ニ、三日生きてれば無罪だが
目が潰れたり歯が折れたりしたらオーナーからは自由になる
胎児が死んだら殺人罪で
人を殺した動物は殺されるがそれを食べてはいけない
放置していたばやいは飼い主も殺人罪
元全共闘Oが言う
宗教的概念と伝統的言い伝えが食い違う時、
言い伝えのほうが真実である
例えば孝行したい時に親はなし
線香上げたって居ないものは居ない
親がないということがどんだけつらいか
分かって作るのが法律や
もう四人殺しちまった
獻身は
イカ焼きの網目
山に向かって被さってくれと言い
丘に向かって覆ってくれと言い出す
このトレッキングの片側が
転がり落ちる詩の場所だ

 

 

 

#poetry #rock musician

Sigismund Schlomo Freud
(זיגיסמונד שלמה פרויד‎‎)

 

工藤冬里

 
 

きみが何も分かっていないことを思い知らされながら読んでいくと
今更乍らに驚かされる
多様性を弁え知る訓練になるとでも言うのだろうか
原父殺しがそんなものなら人生なんて楽勝だ
エチオピア演歌の夕暮れに
エフェクターを踏み込むだけだ

過払い金のCMが流れる路上が
解像度を間違えているのは
カバラを思い出すからだ
きみの父が三歳のきみにプレゼントしたのだ
革表紙を打ち直して

今更乍らにきみの居た路上は
まさしくこの風化した解像度であった
トラウマを小出しにして
この午後を過ぎ往かせよ

小屋で暑さに震えるウサギ
子らのやる菜の萎れて
死はここにもやってくるだろう

きみはユングとか弟子の多神教野郎達に本当は耐えられなかった筈だ
ただそのきみでさえ葛の花のように萎れて

この解像度の中で路上に散ったのだ

 

 

 

#poetry #rock musician

jouissance

 

工藤冬里

 
 

岩場に曳き摺っていく材木は頭より太く
完全な言葉と雖もキレネ人シモンの助けがなければ運べなかった
シモンはアレクサンデルとルフォスの父であった
アレクサンデルとルフォスは何故書かれたのであろうか

詩の場所を欲望に置き
書 かれることをやめない音声を捨て
書 かれないことをやめない剰余享楽を詩の場所として
書かれないことをやめる文字の沈殿を待つ

 

 

 

#poetry #rock musician

Mort sans cadre

 

工藤冬里

 
 

死んだのかなあ
嫌だなあ
夜にだって遠近はある
手前が一番暗い
透徹してしまうと死ぬ
ふたりだけになると死ぬ
ふたりだけになって死ぬ
月がきいろくふとっても死ぬ
星がテニスボールくらいにふとっても死ぬ
どんなにきれいでも死ぬ
ぶっしつに帰る
野晒しのまま朽ちていく
アザラシも野晒しに!
ただ死ぬ前は写真はきたなくなる
なぜだかはわからない
見えないものしか愛せないからかもしれない

いや死んでないよ
アーカンソーArkansasはアカンそうなので
イリノイIllinoisで割のいい仕事を探す
アイオワIowaで愛終わり
テキサスTexasで敵刺す
要するに
旅に出たんだ
写真が1947のフルトヴェングラーみたいに
詰まっていてきれいだ
フレームのない死は
もうすぐだとしても

 

 

 

#poetry #rock musician

無下

 

工藤冬里

 
 

カミキリムシを集める山で
カマキリとゴキブリは親戚と知ったが
失くしたものに感傷的価値は無く
無くならないトラウマを即座にラップするだけ
タラコスパゲッティで太っている
走って行って抱きしめようとする
よたよたとゴキブリ
時間がかかる
陽性は
和田かマリ
ひとにわだかまり
歩く力がない
彼は裁かれないためにあらゆることをした

隠棲要請
院生養成
妖精幼生
Yo! say insane

ズポン暑い
無上と最高の違いは上がないかあるか
上は愛するよう期待する権利を持っている
下は苦しみを説明できない
最高の喜び方を教えよう
反対方向に向かっていたゴキブリの顎に鍵を引っ掛けて
振り向かせた
無上の喜びと無下の苦しみは
このような関係であった

 

 

 

#poetry #rock musician