theʹle·ma

 

工藤冬里

 
 

包まれて
落ちて割れても包まれて
種子法に逆らい
栽培する揺るぎない
炭素追い出す鍛冶
リニューアルされ
限界がない
あらゆる局面に当て嵌まる完全さがギラリ
友よ羽織の妊婦よ
知らなくても良いことがあるのは良いことだ
包まれた餡は大成功
車輪の音
売春の街で
湧く水を上から見る
theʹle·ma
さまざまな頭蓋に響く言葉もしくは音波
昔の道に降り立つ
保険も入らずに
土を破り庇を圧し潰す
消失ですから
変わらぬ山影
四〇日間で何人に遭えるか
誰を探しているのですか
頭蓋に3D Rabboni!
仕事を任せまくるため
だけではなく
朝のひかりのなか
なんの服を着ようか
長時間は持たない
ふたたびやる気を起こさせる
余命なんとかのなんとかみたいに

 

 

 

#poetry #rock musician

「そだつのをやめる」青柳菜摘

 

工藤冬里

 
 

冒頭、無題の十行で単語たちの連結の、休日特快の詩法を語る。
そして「ユキちゃんユキちゃん」で「常に流れる水」が雑魚駅を潤すことが保障される。
「土のなか吐いて潜る」でword設定で大人になった身体を右寄せにしたことが知らされる。
「製紙工場の白い紙」は早くも書く身体が書くことにぶつかった情景が描かれてしまう。
「体温のない吐息」で子供の身体を取り戻そうとするが西武線に特快はない。
「ソテツはぼくの名前」でありがちな窓を探し
「メロンソーダの巣」で諦めを発泡させ
休止に入る。
「夜の箱」でとうとうキョリを変えてみる
「製紙工場の白い紙」をその方法で書き直す
「放射線ドッヂボール」でねんれいを明かし
「夕暮れの黒い土手」「風呂モニュメンタル」で戻ろうとする
「メロンソーダの巣」「夜の箱」はそのことをせつめいする
休止
「鍵あなのドジョウ」はにじゅっせいきぶんがくの旗手たらんと欲し
「セミ」はドジョウと違ってアイスと一緒に食べられている
「はしごの先」は月に掛かり
「待ちあわせ」は鬼火
「飲んでるふり」で「常に流れる水」を忘れ橋の幻想に詩法が横滑りしていく
「蚊にさされ」で存在はただ痒さとなる
「グラウンド•タイムスケープ」で「常に流れる水」を思い出そうとするが
「夕日を見ない」「手のなかのチョウ」では「常に流れる水」ではなく成立させようとしているものと「常に流れる水」とのキョリであることが告白される
休止があって
「三本のチョコバナナ」では墓場まで持っていく罪が、
「外側の動物園」では自分のものではなくなった詩法が語られ
「夜の箱」をまたカクニンしてみる
絶望的な休止
「中学二年生」は散文であって
「死んでない」は断念であった
「ジェットエンジン」は別の水だ。時間の三日月湖。
「さがしもの」の行空けがくるしい
「遠くから見る現在地のピン」で空に気付き
「授業予知」でソテツに逃げ
「土のなかのチョウ」はメタモルフォーゼのために蛹のなかでいったんドロドロになり
「小さな虫大きな虫」で「常に流れる水」なしの希望が語られ
「空気のかたち」で一安心させられるが
「雨がみえなくなる未来」「ただ光るだけのLED光が照らさない」でひかりのない滅ぼされる側に。
最後のインターミッション
「鍵、てのひらのチョウ」「常に流れる水」なき鱗粉の彼方の日常へ。

 

 

 

#poetry #rock musician

buried alive in blues

 

工藤冬里

 
 

線は流れて水母の足はひだりに曲がり
名付けなかった死は野良に過ぎ去り
芯の別れに「今すぐ会いたい」と
それには勝てるかどうか確かめないと
アサド屋ゆんたの文字は光りに
誰のものだろうひとは胎児は
投げ出されたスクーターが
音符のようにみぎうえに向かっている
無限の肋トンネルがつづき
青と白の大理石があった
gentilesのモリブデンが氷解し
部外者の埋葬の唐鍬はひかった
そしてスタカートを打つ

自分を自分のものと思い込んでいる時点で話はそこまでだ
自分の体や思考やレンタルした子供を自分のものと思い込み
シェアした車を汚している

 

 

 

#poetry #rock musician

good teacher, and gold

 

工藤冬里

 
 

褒美が屈折する
褒美としての屈折はいらない
屈折としての褒美はいらない
血圧が上がる
屈折が走り寄ってきて跪いた
褒められる前に屈折していた

Διδάσκαλε Teacher
ἀγαθέ good,

銀行は金を貸し与えて自分の喜びを大きくした
返してくれなくていいとさえ銀行は思った
貸し与えた人が不貞腐れていても銀行の喜びは失われなかった
鳥にさえ金を遣った
鳥にユニクロに行くよう勧めた
ニンジンは好きかと訊いた
災害のときは特に気前よく出前した
喜びは不気味に爆発した
石の家の金岡さんの綽名はカネゴンだったが
アスリートの記録会でthreads風に再会した
メインストリートを保存するために木と漆喰を与え続けた
無限の力で専業主婦の家事を手伝ったのだ
欠損補填に対してわたしたちは出し惜しみしたりしない
インド訛りでボンクと言った
渋谷で訓練
された犬
ウシジマ号が樹海に向かい
見て学べという考えは古いていうか
そのような仕方で与えると
周りの人もそうしようという気になるから
タコで満ちるようになる
カタツムリも減ってる
金の渦巻
鳴門のワッパー屋の工事は進まず
絵本の海に金のにおい
a cheerful giverは金の表情をイメージする
返せない人に貸し与えるガチャ
金融の復活の時報われる
川に流すパンのキックバック
自分でも延べ棒で大きくすることができるように作られた金のdough

 

 

 

#poetry #rock musician

Minsk agreements

 

工藤冬里

 
 

あと二日か・・
数えない日を数えて
そこまでを野放図に生きる
XLサイズを羽織る
光の鱗が玉蜀黍なので
復讐のフラッシュバックは捻り潰される
実感のない期間をどう過ごすか
Twitterだけが参考になるが
どちらの壁にも触れてはならない
不幸を願う敵の言葉が
衣服のように敵を覆いますように

 

 

 

#poetry #rock musician

百条

 

工藤冬里

 
 

私とは私の父祖
忘れた忘れたを繰り返し彳む鷺
質問されても価値を見出せない
父祖だけに
暈けた要点が立ち尽す
辿り着け耳鳴りの水源地に

弁当箱の内側に平がる月
カレンダーには散布の予定が青魚のように沈んで
無関係だった鷺だけでやっていこうとして
百条
夜中には人が居なかったが
今はどの顔も斜光の角度が一致して白く光っている

 

 

 

#poetry #rock musician

反歌

 

工藤冬里

 
 

河南を与える
ひとつ豫州は松山の
二人に子供はいなかった
今では六ヶ月
匂いさえダメだった
二日酔いから推察するしかない
トランスの子らに約束
譲歩せよ
丁髷の額が白い陶器、鷺の白
夫はminer、アメジストを掘り
より貴重でさえあるものとして出てくる
金属団地の移民に天からパンがシラスの白
自分の国民を憎むようにと教えたベレア人会

調和の取れた色彩
農薬塗れの幸福塗れのな
澱粉主体の完全食のな
紛い物と被った法とな
師匠の汚れのな
布を巻いた水鉄砲におんなじ薬剤
転校したら教科書が替わっていて
特攻を待っていたら別の神の風が吹いて
引換券を飛ばした
岩肌に柔らかい部分があると又聞きした宮司
上からの光で瞼と頬骨が白い
声に合わせて身体を密着させる蜈蚣ニンゲン
調和などしていないが種は一致している
目を覚ませ!何故?
脳の指示に応えていないヒトであり続ける

棒状のがしっとした四角い柱が見える
ロ・ルハマとロ・アミがよさこいを踊っている
達しなかった夢が反歌として現れる
要約できない人生は反歌として経験される

 

 

 

#poetry #rock musician

elect to discontinue to be elected

 

工藤冬里

 
 

投げ捨てられても
土くれを記念に焼く
死に別れた保存版
打ち上げられたカメラが落下した
山中には写本が
燃える茂みの
筋の通った冷たさ

筋の通ったグリッドに
計量器の公正が満たされ
目を閉じ
頭上の海水をやり過ごし
タコに殴りかかる
爪楊枝だけに
魚の腹の照り返しが
オーロラのようだ
シベリア帰りがノルマを教えた

傷の治らない土鍋を
焼き尽くす天使が扱う
本物の独身
違っている点を個別に教えるので
怖れが横行してた

 

 

 

#poetry #rock musician