広瀬 勉
#photograph #photographer #concrete block wall
白い夢
白い梅
時間とは、幻だったと、
空回りした回転盤が
花の交替を告げる
死というのは
回るレコードが無いということ
遺された者は
宙を滑る針
空虚は、無色の
沈む重さがあって
ことばは逸れてしまう
孤独というのは
与えたい者に
与えられるものがないこと
替わりのレコードが無いということだった
慰められず
顔を白塗りにして
みずから踊ることしかできない
塗り重ねられた灰盤に
真っ赤な林檎をおいた
なぜ人はひとつの心に
ひとつの身体しかないのだろう
髪を
臓器を
命を
ミトコンドリアみたいに
ちぎって分けられたら
光はめぐるのに
林檎なら
蜜までやさしく切りわける
唇まではこんであげる
寂しいときは
わたしの灰を回して
林檎のうたを聴く
蜜の香りがしたなら
回転盤に
さざ波を立て
わたしが遠くで踊っていると
…
春水が流れつく
湖畔にて
さざ波立つ
一六日 天寒
どんなに良さそうに見えても欠けたところに穴があり
それは見える軍隊であったり
内向き過ぎのバランスそのものであったり
民俗風習への無批判の迎合であったり
何よりあたしであったりするので
距離を置かなければ同化してしまう
だから白鳥は食べない
自傷はしない
障害があっても食べていけるよ
あたしのように子供を火あぶりにはしてはいけない
あたしのように偏見を持ってはいけない
リベラルであってはいけないんだ
永続する国は米を通しては来ないことを知ってほしい
一七日 天上大風
あたしの考え方や感じ方に合っているから、と言うのは間違っている
それはあたしの感じ方や考え方に合っていない筈だからである
そしてあたしの考え方や感じ方を肯定する必要もある
その上であたしとは異なった考え方や感じ方にあたしを合わせるのである
一八日 ghost apples
洪水前の性欲を地表に満遍なく持ち続けている一派と
洪水後の国務野獣的な当該の仲が相当悪い
口癖が「本当の敵は」であるような
スローガンとしての米帝が遠ざかった内ゲバと同じ結構である
指を落としても目先の力任せの突破
悪よりもスピードを上げて
説明のために指を落とし続ける法廷逃走
あたしの指は何本あるんだ
姿を現したら負け
車から顔を出した地元の不良の男の子たちが「目を逸らしたら負け」と言う
あたしは
空0リンゴの形をした氷
#poetry #rock musician
パードンパードン もう一回
カタンシカオシです
か、た、ん、し、か、お、し!
オシシカカタンをひっくり返し
お、し、し、か、か、た、ん!
(リモートと対面のハイブリッド授業)
ちょっと待て なにそのオシ…
お、し、し、か、か、た、ん!
あー! オシは「推し」な
で、シカカタンはナニ? 擬態語?
シカ🦌カタンと泣いた奥山に道こそなけれ
それが一番ということっす
えっ、ちょと待て
そいつが勝つってことっす
イチ押しということか!
ひゃ、ダサっ
ちょっと待って
まず「勝つ」が気になる 何で勝つなのよ?
いいとか、好きとかじゃないの?
知りません
次にこの「ん」、否定でしょ。
古文で「ん」は否定じゃないからな!
係結びなら「推しこそ勝たね」
あら、逆意になるね
「推しこそ勝たざらんや」
何言ってんのかわかりません
「シカ」が曲者やな。否定を呼び覚まし、それ以外のものはないことを示す。
「100円しかない」「君しかいない」「やるしかない」
ハライチすかん かまいたち知らん
パンパカパン らむらむらめ
なぜ長いのか? 短縮化でしょ?
り
使い方が違う!
だいたいもう古いですよ!
何が?
カタンシカが
かたん詩かぁ
やぁオモロイ!
夢の中では突飛なことが起こる
主体の感情はそのままなので
胸が張り裂けそうで苦しい
大体それはオールナイトの三本立てである
そこでは善悪と欲望が錯綜している
現実の細い畦道には彼岸花のリゾームが張り巡らされている
包丁を持って押し掛ける議事堂という隣人を俯瞰し
白鷺は旅立った
祈りの聞かれるミジンコ型の島へ
テレグラムで詩編二三編を引用するリンウッドは
夢の中にいる
現実を剥がしたプリント基板に
銀杏の葉が半田付けされている
#poetry #rock musician
原発事故は一瞬全能の地位に置かれたが鮪を食べるほどには風化させられ、コロナ選挙では善悪の視野の両端を狭められた。
上下と左右を押し付けるそうした策略は悉く失敗し、今はただ脳内の標野のビルボードとなっている。
北が南で勝つことはない
問題は南で勝つことではない
あの三本立ての映画の看板のように
過ぎ去るということだ
#poetry #rock musician