鈴木志郎康
俺っち、
腰を痛めちまってさあ、
寝返りするにも、
アイタタ、
起き上がるには、
上半身横にすると、
腰に力が入って、
アイタタ、アイタタ、
電撃の痛みが背中から
全身に走るっちぁ。
そこで、
息を詰めて、
両手で支えを掴んで、
エイ、やあー
イテテテ、イテテテ、
ベッドから立って、
二本杖で身体を支えるっちゃ。
そしてトイレに行くが、
腰が痛くて踏ん張れないから、
糞が出ないっちゃ。
それで糞がたまっちまって、
どうにもこうにも糞が出ない。
糞詰まりってこっちぁ。
先週の土曜に、
とうとう電話して、
訪問看護師さんに来てもらって、
固くなっちまった糞を掻き出してもらったっちゃ。
俺っちは横になってるから、
彼女の手元は見えなかったけど、
白いゴム手袋をした手の指が肛門から差し込まれ、
指の先が固い糞の固まりに届いたっちゃ、
おお、届いた、
俺っち、感じまったっちゃ。
「息張ってください」
の声に、
俺っちは息張ったが、
くそ、糞が出ないっちぁ。
固くなっちまって、
出ないっちぁ。
ふっふう、ふうう、ふう。
「浣腸を入れて、座薬で溶かしましょう」
って言う声で、
浣腸が注入され座薬が挿入され、
数分待って、「さあ、息張ってください」
の掛け声で、
俺っち、下腹に力を入れたっちゃ。
指が挿入されて、
糞をたぐって、
糞の固まりを指先でつかまえて、
ようやくのことで、
詰まった糞が掻き出されたっちゃ。
ふっふう、ふうう、ふう。
気持ちが晴れたっちゃ。
腰はイテテでも、
青空や。
看護師さん、ありがとうっちゃ。
ありがとうっちゃ。
八十年生きてて、
糞詰まりを掻き出してもらったっちゃ、
初めての経験だっちぁ。
俺っち、
こんな詩を書いちまったぜ。
シャラリン、ボン。