ヒヨコブタ
体育の女教師は
相手コートに素早くボールを落とすことを授業では禁じた
これは試合ではないのだからと
あなたとのやりとりを
わたしは楽しみにことばを放つ
でもおかしなものね
やわらかに放ったそれが
スマッシュになって
わたしのからだにつきささることの繰り返し
ノックするその扉のなかに
あなたがいても
わたしのためには開かれない
そしておそらく
苦しみ惑うときの助けの呼び方を
そっと差し入れたい
名もなきものからとしてなら
その扉の隙間くらいには
きっと、たぶん、おそらくはと
見上げるこの辺りの冬の空は
痛みもつきぬけてつつんでいくよ