正山千夏
正気を保っていようとすることすら
あやうい世の中です
朝から晩まで情報の奔流にさらされ
つぶやきは炎上
実はなんでもないことが攻撃とみなされ
失敗は許されない
触れられる世界と
触れられない世界とのはざまに
ロープをかけて首を吊る若いひとたち
世界は手のひらにおさまるのではなく
ほんとうはもっと大きくて広くてわけわかんなくって
まだだれも知らないことに満ちていて
まだまだ会ってない人もたくさんいる
検索しても出てこないことが
存在しないというわけではないという当たり前のことすら
置き去りにされていく加速度のなか
ミチやミライといった手付かずの手放しの領域を
四次元的動物として生きる私たちみんなが
享受できるという自然の摂理を信じて
あたしはまだかろうじて
そうやって正気を保ってる