駿河昌樹
だれにも媚びないことばを
まだ
記せる?
どれだけ?
そう思って
ここにも
ことばを記してみる
認められたがりのことば
買ってもらいたがりのことば
覚えてもらいたがりのことば
こころに留めてもらいたがりのことば
そんな商売ことばたちだけに
なってしまった地上で
まだ
あり得るのか
けっして奴隷になることのない
ことばは
たゞの逡巡としか見えないことばや
急ぎのメモ書きのことばこそが
まだ知らぬ
どこかのひろびろとした草原への
窓のように見える
だれをも動かそうとしないことば
だれをも誘導しようとなどしないことば
そんなことばたちがほしい
たゞ
窓がほしいために
ほんとうの窓が