待ち合わせ

 

みわ はるか

 
 

人と待ち合わせをしているとき、たいていはどちらかが先に着くのだけれど、相手がその人に気づいたときの表情が好きです。
ほっとしたような、嬉しいような、ほころんだ顔。
その人めがけて小走りになるそんな瞬間が好きです。
必死に遅れた言い訳をする姿は愛らしいです。

様々な待ち合わせ現場を見るのも好きです。
駅の改札でそわそわ待っている男の人のところには、たいてい可愛らしく着飾った、お化粧ばっちりの女の人が合流する。
喫茶店でおしぼりで手を拭きつつぼーっとしながら待っている年配の女性のところには、やっぱり同じくらいの年の気心知れたであろう年配の女性がどかどかやってくる。
中学生ともなると部活仲間だろうか、バス停にぞろぞろと集団で集まってきてがやがやと会話が止まらない。
会社の上司と部下なのか、待たせてしまった上司にわびながら急いで汗をふきながら頭を下げている現場も見た。
みんな誰かに会うという目的を持って待ち合わせ場所へ行く。
色んな待ち合わせがあって楽しい。

この人に会うから(たいていは異性になるのかもしれないけれど)、新しいワンピースを買おうとか、少し高いナイトクリームを使おうとか、きちんとマニュキアを爪に塗ろうとか・・・・・。
そういう人がいるのはきっと人生を豊かにしてくれるんだろうなと思う。
テストで100点を取りたいとか、この映画を劇場で見たいとか、これを食べたいとか・・・・・。
自分一人で達成できるものではなくて。
誰かがいて完結できるもの。
ただただ、自分のためだけではない人生が選択肢にはあるんだなと。

自分のためだけに生きることに疲れることが最近結構あるような気がします。
自分が思うのと同じように自分のことを思ってくれることはなかなか難しいです。
たくさんの藁の中からたった1本の針を見つけるくらい難しいです。

何のために生きているのか自問したときに、具体的な誰かのために自分は存在したいと言えるのであれば、それはとても美しいと思います。