ほかには

 

駿河昌樹

 
 

他人のひもじさや
いたみを
さびしさを
こころもとなさを
見ないでおける
こころが
何十億もこびりついているうちは
地球でできることは
なにもない

空気の温度や湿度のうつりかわり
風の誕生や消滅
空の色彩の変化のかぎりなさ
雲の形状の無限の多様さ
木や草のそよぎ
いたるところに踊る
ひかりと闇のたわむれ
それらを見続け
感じ続け
いつもいつも
追いつくことのできない
ことばの情けなさに
親しみ続けていく
ほかには