海から帰って
モコと
ソファーで眠った
めざめて
ゴミを出しに行った
それから
溟い部屋で
ラウテンクラヴィーアのパルティータを聴いていた
海では
ノラをみた
海が
ゆっくりとうねるのを
みてた
海にはしらす船が浮かんでいた
漁師たちは
たくさんのしらすたちを捕らなければならないのだ
川面を燕たちが曲線を曳いて飛ぶのをみた
ニラの花が実って
重たく揺れるのをみた
ラウテンクラヴィーアはバッハが出会った楽器だ
反近代の楽器だ
パルティータには
細い一本の道がみえる
その男は
どうなんだろうと問う
ほそい道を歩いていったのだったろう