花でも鳥でもなかった *

 

高速バスで

帰った

深夜に
帰ってきた

金色の犬が待っていた

蕩尽して
空になった

なにもない
なにも残ってない

泥の中に

女が歌っていた
ちあきなおみを歌った

米沢の生まれだといった
“花でも鳥でもなかった” *

歌っていた

泥の中から見ていた

遠くを
見ていた

いつか
生きていて

きみに会えればと思います

 

* 工藤冬里 詩「(宝のある所は池であった)」より引用