spread・広げる 広がる

 

さとう三千魚

 
 

5時に起きて
浜風に

HAPPY HONG KONG 2047 was disturbed by TOKYO 2020
のコンテンツをまとめた

昼前に
アップした

それから
広瀬さんのブロック塀の写真と

工藤さんの
少年という詩を

アップした

昼過ぎに
階段を降りていくと

モコと女がソファーで待っていた

昼食なしで
おしるこを食べて

また

二階で
アニュス・デイを

聴いてた

全てが貨幣に置換された世界に

その声は
いらない

辻潤は死んだ
たくさんの人が死んでゆく

汚泥に佇つ
人よ

汚泥に佇つ人たちよ

声は
与えられたか

夕方

モコと
散歩した

ノラたちがいた

西の山が雲に隠れていた

 

 

*タイトルは、twitterの「楽しい英単語」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

枝変えて 身は明日に生く 花うばら

 

一条美由紀

 
 


船頭が言った。
”舵は任せろ、でも保証はなしだ。”
遠い存在を非難して
気持ちをホイップする
糸電話はもう見つからない。

 


独りは全員へと変わる
多手連弾の意識が広がっていく

 


夢はリレー方式
順番を告げるベルが鳴る
中洲で生きてる人形は
カードをめくり
私は彼女のコレクションに加えられた

 

 

 

少年

 

工藤冬里

 
 

上の△は下では▲か▽
△は正しい正しさ
▲は間違って正しい正しい間違い
▽は正しく間違った間違った正しさ

△を下で敷衍しようとすると必ず齟齬が生じる
その霊性を欠いた原理的な正しさは逆に下では間違い▲として現れる
間違い▲としてしか現れない、現れ得ない!
ほんらい正しいが故にいまは非難されているのだ!
そしてその非難にはじゅーーーうぶんな根拠が添えられる
添えることができる!

▲に対するそうした批判は絶対的に正しく間違っている!
正しい間違いである!!
正論とはいまはそうした正しく間違った▽のことである!
世の中とは正しい間違い▽でできているのである!
▽は絶対的に間違っているゆえにいまは正しいとされているのだ!

(▲や、△を知らない▲に対する▽の非難は「正しい間違い▽」でも「間違った正しさ▲」でもなくほんとうのほんとうに間違っているだけなのだが)*

それに対して正しさらしさ▲のほうも間違っている!!!
それは正しいからだ!!!!
圧倒的に正しい正しさだからだ!!!!!
正しいゆえに絶対的な正しさ△からは遠ざかっていく!!!!!!
正しさ▲がいまはいちばん間違っている!!!!!!!
正しさ▲のほうが間違い▽よりももっと間違っている!!!!!!!!
ゆえに正しく間違った間違った正しさ▽から非難されているのだ!!!!!!!!!

 

*(作者注)

 

 

 
#poetry #rock musician

flesh・肉(体)

 

さとう三千魚

 
 

仕事
無く

家にいる

元々
仕事はなかったが

もっと
無い

午後に
浴室の裏の草むしりをした

軍手に
枯れた草が絡まる

素手で
草を毟る

トカゲがいて
女は

逃げていった

昨日の夜
“火口のふたり”という映画をみた

男と女が性交ばかりしている

西馬音内の盆踊りの
場面で

男は女の手を曳いてゆく

“はぐれている肉体” **

という
いいかたを土方巽はしていた

寒い
雨の日

家の軒下で小石を積んでいた

家出して
自転車でどこまでも走っていった

肉体は

どこへも
帰らない

 

 

*タイトルは、twitterの「楽しい英単語」さんから引用させていただきました.
** 土方巽「美貌の青空」より引用しました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

すべてに失敗した五月の、抑鬱段階にある落窪の歌

 

工藤冬里

 
 

柿の葉が太くなって考えられていた大きさまで太くなってきています
考えられていた太さはとても太い
柿には二種類しかない
なで肩か肩幅があるかのどちらかだ
柿は肩幅だ
肩幅があると頼もしい感じがする
女は差別なく公平に言ってたおやかだ
差別なく平等に扱われているだろうか
女偏に弱いと書いて嫋やかと読む
ちなみに魚偏なら鰯である
イワシは強いのではないか
前針に掛かったことがある五寸くらいなのに一尺のベラくらいの力があった
将来起きることは左肩と右肩の間の金ネクタイに落ちてゆく
ネクタイは見える喉のようだ
男前の顔が漏斗に落ちるようにタイの太い結び目に落ちてゆくのだ
スーツは黒がいい
オスカーワイルドの世紀末からの結論だ
ワイルドは一九〇〇年の十一月に死んだ
非の打ち所のない柿だった
だれも洪水など経験したことのない時代に
木を加工し樹脂を使ってハコを立ち上げタイを流行らせたのだ
不快なものである東京軍が包囲をやめて一時的に撤退する
その間に秩父の山の方に逃げたのです
箱舟の七人練炭自殺
連合赤軍大菩薩
ロックフォークのシオンて子音の嗄れだね
熱帯なのに三寒子温は変なのでもうストーブ捨てて了い給えよ
シュッとして認める
現在、人種や国籍にかかわらずなで肩と闘っています
疲れ果てて弱ることも
躓いて倒れることもある
骨格の闘争
落窪の笑窪
下落合・戸塚辺りの雑草
忽ち老成する二世
過去の過ちなどない
ネットで中傷するようになりました
竹を割ったようなメンマ
青だけ踏み赤は棒編み
悔いのない共食の共食いから
目を逸らす犬
注ぎ出す水の駅ビルといえば岡山が噴水
鈍色のパッドが置いてけ堀
傷つけられる状況は変わらなかったが
傷つける北の方(キタノカタペニンナ)をカキの葉の太さが凌駕していた
そういう虐めには耐えられても
正当化できない失敗柿なのであれば無駄なことだ
考えることを止めることを決意するしかない
唯一の抜け道は間違った言語を通してその間違いを学ぶことだ
それにしても柿の葉は太い
それを自分はもはや言うべきではない
玉は尽きた打ち止めだ
トータルで損して終わった
終わりの時代が終わるのはそれが終わりだからだ
終わりが終わらないのだとしたら終わりなどいらない
白いカバの形のグラデーションに一瞬青空
不安の原因を教えてもらうこと
いや、すべてに失敗した五月の、原因の原因を教えてもらいたい

 

 

 
#poetry #rock musician

mere・単なる

 

さとう三千魚

 
 

海浜公園への道路は封鎖されていた

港横の
駐車場も

立入禁止だった

行き場のない人たち
行き止まりの浜辺

にいる

佇んで

海は

うねってた
光ってた

海から帰ると
女は

シリと話している

シリ
シリ

マリーゴールド探して

シリ

あいみょんのマリーゴールド探して

あいみょんの
あいみょんの

マリーゴールド

女が
囁いて

いる

海はうねっていた
人々は佇んでいた

 

 

*タイトルは、twitterの「楽しい英単語」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

敦盛どうぶつの森

 

工藤冬里

 
 

春分てあるの知らなかった。直実が新聞紙を全面に拡げてゴキブリをとる要領で近づき、さっとくるんだら逃げなかった。押し入れに仕舞われる時、新聞紙から少し青がはみ出しているのが見えた。世の中にはまだ知らないこういうこともあるんだぜと僕は直家に得意になって教えた。まだいるかなと思い自分でも家の中を探してみると玄関の上框の隅にレンタル水のサーバーくらいの空気の青い部分があり、それが春分よ、と言われた。捕まえようとするのだが、変形しては海月のようにするすると抜けて漂って行ってしまうので、畑の方に出てみた。色が空とが合わさるので探すのは難しかったが、陰になった地面にいたので今度は捕まえたらわりとゼリー状で、口をつけてみたら味はしなかった。押し入れに丸められたやつはいなくなっていたので、今度は直家の十六まで使っていた六畳間に入れると、急に、なんで捕まえるの、と声がするので、えーっ、しゃべるんだ、と言うと、どことなく顔にも見えるような像容となり、あなたわたしのこと好きでしょ、さっきもここら辺をぎゅーっとしてちゅっちゅっとかして(笑)などと言いながら消えていこうとする。きみみたいなのは沢山いるの?、と訊くと、そうだよ、メールとかも見るんだよ、アドレスはアビルジーンatumori何とか、と言う。自分のiphoneが手元になかったので直実のアンドロイドに入力しようとするが、abirug..?と確認すると、うーん字で書くとそういうことになるわねえ、などとゆっくりいいながら春分はそれでも消えていこうとする

 
 

 

 

 
#poetry #rock musician