drift・漂流 吹き溜まり

 

Michio Sato

 
 

Morning
The woman went out

today

Almost
In the house

The flower of Nandin by the window have begun to bloom

Lots of white small flowers
Has begun to bloom

It bloomed in the foliage

When i was young

I have read the novel “The Old Man and the Sea”

A cat was walking
in front of the fallen old man

 

 

*タイトルは、twitterの「楽しい英単語」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

social distance

 

工藤冬里

 
 

遠く離れた人もいるけど
自分の体の足と目の痛点はそれよりもっと離れている
だから距離は問題ではない
行替えの段差のみが隔たりを形作る
covid-19 sentenceの行替えには二メートル必要だ
行替え療法はアマビエなんかよりも効く
ではやってみよう
刑は一行に対して一センチ、一行に対して一センチとする
ここで本当に赤塚不二夫とか筒井康隆みたいに二百行空けてもいいが
世の中は田植えである
朝五時に池の水門を開いて放流するので今日を逃したら水を確保できない
詩の実験などやっている暇はない
それより
放流によって流された亀が必ず道を歩いているから
彼らを池に戻さねばならない
大家は家賃よりそのことを気にしているのだ
蛍には昨日さよならした
田植えが始まれば居なくなるのだ
すっからかんワインを持ってきてくれたカメラ君と海野君とサキちゃんと橋の上から見た
今はそういう季節なのだ

 

 

 

#poetry #rock musician

戦車に攀じ登る

 

佐々木 眞

 
 

西暦1989年6月5日の正午、
君は、天安門広場に通じる大通りの傍にいた。
 

近所の北京中央病院4階のガン病棟で入院している、ステージ4の妹の見舞いにやってきた君は、天安門広場に通じる大通りを驀進する59式戦車の隊列をみた。
 

昨夜から今朝まで、天安門広場で虐殺された無数の学友と共にいた君には、
この戦車隊が、いったい何をするためにここまでやってきたのか、よく分かっていた。
 

その次の瞬間、君は鼻緒のちびた下駄をその場に脱ぎ捨て、歩道のガードレールを跨いで長安大通りの中央に進み出た。
 

そしてグララアガアと騒音をまき散らしながら走行する戦車の先頭に立ち、両手をパッと広げた。右手には上着、左手にはビニール袋をぶら下げて。
 

使い古した袋の中には、さっき北京飯店で買った、彼女の好物のシウマイ弁当とお茶が入っている。
 

戦車を操縦しているのは、君よりかなり若い兵士だった。
兵士の後ろには中年の指揮官がいて、若者に「なぜ止まるのだ。直進せよ」と命じた。
 

若者はしばらくためらっていたが、黙って戦車を右に曲げたので、君は右に移動して、大きく両手を広げた。
 

すると戦車はまた止まり、今度は左に曲がったので、君も同じように左に移動して、通せん坊をした。
 

指揮官は自分の命令を素直に実行しない部下に怒り狂っているが、どうやら若い兵士は君をひき殺すつもりはないらしい。
 

君は、恐らく田舎から上京してきたばかりの朴訥な若者の両目をしっかり見据えながら、大きな声で「ニイハオ」と言う。
 

すると若者も、唇だけで「ニイハオ」と言った。
 

そこで力を得た君は、戦車の上に軽々と攀じ登り、「昨夜のような同胞が血を血で洗う悲劇を繰り返してはいけない。諸君は、このまま元来た道を引き返し給え」
と懸命に説く。
 

しかし、軍隊がそう簡単に「分かりました」と、引き返すわけがない。
戦車はまた左に移動すると、彼も左に、右に移ると、また右に。
また左に移動すると、彼も左に、右に移ると、また右に。
傍から見ると、お互いにふざけて遊んでいるような不思議な動作が、何回繰り返されたことだろう。
 

やがて、そんな繰り返しを強引に断ち切るように、指揮官が戦車の直進を命じたが、若い兵士はまたしても命令に逆らい、大胆に戦車をUターンさせると、後続の戦車隊もその動きに従った。
 

長安街道路の彼方に消えた59式戦車隊を見送った君は、歩道に脱ぎ捨てた下駄を履くと、何事もなかったような顔をして、妹が待つ北京中央病院に向かった。
右手には上着、左手にはシウマイ弁当とお茶が入ったビニール袋をぶら下げて。

 
 

反歌~百、千、万のタンクマン

 

枇杷が一つ生れば、一匹のホタルが飛び立つ。
 

一頭の蝶が羽ばたくと、地球の裏で嵐が起こる。
 

一匹のウイルスが逃げ出せば、世界の町が中世になる。
 

全米がジョージ・フロイドを追悼すれば、赤鬼トランプも真っ黒になる。
 

名犬ムクが Wangと吼えれば、ジョージが泣き止む。
 

一人が戦車に攀じ登れば、タンクマンが生まれる。
 

百、千、万のタンクマンが。
 

 

 

 

chaotic・こんとんとした

 

Michio Sato

 
 

today
It was tuesday

Morning
With dog moco

I went to throw away the trash

Hydrangea flowers were
blooming

Hydrangea
There are flowers of various colors

I have a white
hydrangea flower

Moco was sniffing the scent of flowers

 
Morning
I never saw the stars
I saw a flower on the roadside

 

 

*タイトルは、twitterの「楽しい英単語」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life