工藤冬里
裏切りに関しては
誰かがやらなくてはならないなら自分が
というのは後付けで
勿体ないという萌芽から始まり
乗っ取られるまで膨らみ
引き金は口に入れられた浸されたものだったが
それは熟した実の肩を叩くような後押しだった
感情移入の間違いは静止した分子モデルによって生じる
意思決定と自由意志は点ではなく
T細胞受容体がMHC分子を識別しなくなる時の
動的な線のモデルとして塑像化される
暴徒に転じることに関しても
色変わりは同じ線的なモデルで理解することができる
ニコがチンギス・ハンの嫁になって
共に死ぬことになった、と夢想する時
点だった六十年代的意思は免疫の角を隠し
欠落からの線の旋律が生まれている
裏切りの発酵の膨らみではなくジャコメッティの消去から
残った線が
平等の持続化給付となるだろう
#poetry #rock musician