linger・残存する

 

Michio Sato

 
 

today as well

Woke up early in the morning

Early in the morning
Decide the title of the poem

then
Forget it

to the Buddhiist altar
Offer green tea, rice, water and flowers

Best wishes for dead and living friends

I make a salad
I make miso soup

I eat breakfast
I send out a woman

I do the laundry
I dry the laundry

In the afternoon
At elementary school

I play with children

In the evening
Go home

With a woman

Have dinner
Then write a poem

I’m not the only one remaining in me

 

 

*タイトルは、twitterの「楽しい英単語」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

The Matter

 

工藤冬里

 
 

空0ンヌヌヌヌヌヌヌヌーヨーク‬
とルーに謳われたヌーヨーク‬
美の様式に最終的な保証を与え(sealing up a pattern)ていた島は‬
‪モデルでいえば誰だろう‬
‪選手でいえば誰だろう‬
自分には甘いが‪国に対する宣告ならしやすい教祖共も‬
空0ジジジジジジジジブンの滅びに‬
こぞって屋根に上ってしまう‬
ルーが主題としていたのは撒いたものを刈り取るということだった
島はヘロインとエイズの岩盤の上に建てられているので
地震はない
ジブンを弾丸にしてハドソン川に撃ち込むのは明らかに体の誤用だ
一方の極端の弱点を見てもう一方に振り切る
それはこういうことか、と
無割礼のキレだけで走ってはならない
投入したダイムは吸い込まれたと思ったら網目状に浮上し
道そのものが下水道となった
警察がいないので
耳栓をして身体の内部の歩行の音を聴く
骨の行いの数も非常に多くて
欲望については言い尽くされた
どの程度まで応じるか
ヌエバジョルクは決めかねた
彼女はパーフェクト・デイ認定に封印し続けた
なんて白いシャツ(夜はやさし)
フィッツジェラルド以来
ジツレイはソーホーの朝粥の底に沈んだ
能弁なカリブ系の長髪ラブラドールが猫をあやす
過去と現在の活動を比較する時
私は疲れ
ていると結論する

Aトレインが終点に近づいていることを知っていれば
刈り取るものが迫っても
曲がった車体 曲がってゆけ
ソファの継ぎ目にソッピナッを埋め込むと
もう色付いてアタマは収穫できる穂のようになっている
動物たちが街に戻ってきた
時間を無駄にせず会えたことを喜んでいる
見込みあるヤツと思ってくれているのだ
色付いてないけど色付いている穂だ
殺風紙箱テイクアウト中華のミステリー
ミートボール・ヒーローズのベルトコンベアー食道
赤唐辛子を含め全ての種を呑み込むことで
知られていない神だらけのマンンッンン片岩の雲母の岩地に蒔く
レーニンとコロンブスの間にある、名付けられていなかったシニフィアンがレーコロニンブス像となる
すべてのmatterはネトフリのサイコパス刑事物で把握され
つまされて催す涙は河に撃ち込まれる

 

 

 

#poetry #rock musician

また旅だより 22

 

尾仲浩二

 
 

久しぶりに新宿へ、思っていたより人が多い。
用事はすぐに済んだので長居は無用なのだが天気がいい。
ずっと家に籠っているので脚も弱っているに違いない。
なので地下鉄はやめて歩いて帰ることにした。
末広亭からゴールデン街。歌舞伎町を抜け大ガード。
ション横覗いて西新宿成子坂下。ここにはかつてギャラリー街道があった。
街道は30年くらい前に閉じたのだが、空家になったビルがずっと残っていた。
酔ってタクシーで前を通る度に確認して、ちょっとセンチになったりしていた。
そのビルが消えていた。いや区画ごとすべてなくなっていた。
早い夏空の下、なんだか浦島気分でしばらく眺めていた。

2020年6月6日 東京西新宿にて

注・「街道」は88年に始めた自主運営の写真ギャラリー

 

 

 

 

ソシラヌ君

 

南 椌椌

 
 


© kuukuu

 

旅烏かすれた木喰上人の筆が
ひょいと揮毫したような
一行七文字

空0その距離を測れ

この国のどこかの空に住んでいる 
ソシラヌ君から
六十年ぶりに懐かしい手紙が届いた

ソシラヌ君は確かではないが
徐不知火と書いたような気がする
彼が有明や八代と関係があったのかどうか
徐という姓が半島由来のものだったのか
それは僕もそしらぬことだが
不知火とは肥後八代有明の海で
漁火があり得ぬほど明滅する蜃気楼
本来ないはずの無数の漁火が見えること
不知火なかなかの命名である

不知火という言葉を知ったのは
まだ学齢期前の餓鬼も餓鬼
雲龍型ではない横綱の土俵入り
第四十三代横綱吉葉山の不知火型だ
北国の美男美形不運悲劇の横綱
両手を左右に広げてせりあがる
テレビはまだ到来してなかったが
見事な土俵入のモノクロ映像は記憶にある
メンコでは鏡里や千代の山と並んで花型だった
不知火型は現在の白鵬に繋がるが
なにやら世話物めいた逸話が転がっている
相撲の世界もまた歌舞伎みたいなもんだ

さて、ソシラヌ君に戻ろう
ソシラヌ君も僕もそろそろお互い
ナナジュの誕生日が近い
「ソノキョリヲハカレ」とは謎めいた言葉だが
僕はこうして 古稀とソシラヌ君を
麻ひもでぐるぐる捲いて
僕がぼくであること
ソシラヌ君がソシラヌ君であること
その距離を測ることにした
しかし念のため僕は超絶理系音痴である

空0その距離を測れ

古稀25,550日、613,200時間 、2,452,800 km
およそ月まで歩いて3往復の距離
その 3往復の距離で
コキツカヒノワタシ 
眩しくてナニモ 見えませんが
老老男女ざわめきの声が 
嬉々として喧しくて 
そりゃそうだ みんな思い出の人だ
無数の無量大数の
古稀ナナジュの思い出の男女が
いやさ年齢なんて関係ないさ
ただただ月の道を歩きたい巡礼の人々が
くっちゃべりながら歩いてるんだから

朝鮮風の長〜い鞦韆(ぶらんこ)が月から下りて
カンガンスルレ〜カンガンスルレ〜
長い髪引っ詰め後ろお下げの娘たちが
輪になって終わりなく延々と歌い踊り
それはそれは美しい景色なんだ
徐不知火君もそれを見て
なぜかはらはら落涙しきり
不知火型の土俵入りをしたくなったそうだ

そんな出会いの絶景を見てか見なぬか
無数の生者死者たちが群がり湧いて
悪口(あっこう)雑言外郎(ういろう)売りやら駄洒落の桃源
そのうちあたりきのようにぐるぐるぐるぐる
神獣白虎のバターが九十九屯になって呵々大笑
だって可笑しいじゃないか
朝鮮と不知火の往来を測る白虎酔虎の虎の巻
貧しい餓鬼じゃら老童じゃらの姿を 
さがしてさがしてさがした
月までのゆきかへりのみちすがら 
襤褸(らんる)という美しすぎる文字をまとって
憧れの水蜜を啜っちゃ
臍のまわりに塗りたくっている
虎の子の蜜行の餓鬼なんてもんは
どこまで行ってもソシラヌもんだけど
僕は彼らを圧倒的に支持します

空0あゝ麗はしい距離〔デスタンス〕、
空0つねに遠のいてゆく風景・・・・・

吉田一穂のあまりにも有名な「母」ですね。ディスタンスなんて言ってほしくない、デスタンスなのだ!僕は卒論で吉田一穂論を書いた。論なんてものじゃない、感傷的な一穂への憧憬記だ。半世紀近く前、R大学社会学部四年の春、社会学に関心をもてず、学部長の平井隆太郎教授に「詩人論」じゃだめですか、と直談判に行ったら、教授はショートピースを燻らせながら「その詩人は知らないけど・・・やむを得ませんね」とあっけなかった。しかし、「文学部の先生で評価してくれる先生を探してください」と教授は学部長らしい注文を出した。僕は、吉田一穂が「日本のマラルメ」と称されていたのを手がかりに、仏文科のマラルメ研究家・松室三郎教授の研究室を訪ね、当時書いていた詩の束をもち、事情を話すと、松室先生は、僕は一穂という詩人を読んだことはないが、勉強したいので、ぜひ担当させてください、と受けてくださった。その後マラルメについての論文を送ってくださり、なにかと気にかけてくださった。平井学部長が江戸川乱歩のご子息だったことは知っていたが、松室先生との邂逅も含めて頭ポリポリ、面映い展開だった。そして、学部長の「やむを得ませんね」は教授由来の大人の語彙になった。

六十年ぶりの手紙を追うようにして
徐不知火君が積丹半島の古平(フルビラ) から
「柳の舞」という大ぶりの魚を送って来た
桃色風情で顎の張った庶民的な顔立ち
古平は吉田一穂が少年時代を過ごし
生涯愛惜の情をもち続けた故園の地だ
かつては鰊漁で栄華をきわめ
鰊御殿が立ち並んでいたという
だが、なぜソシラヌ君が積丹半島なのか
そういえば横綱吉葉山・池田潤之輔の出身地は
積丹半島に近い石狩厚田郡やはり没落した網元の出
だがそれはいまのところソシラヌ話ということで

僕は卒論を書き終えてから
仮面社の吉田一穂大系を抱えて
極寒の積丹半島古平を訪ねたことがあった
宇佐美圭司装丁の瀟洒な三冊本
だが、降りしきる雪のなか
小樽からの鉄道は余市までも届かず
無論古平までの陸路は到底明けぬドカ雪のなか
僕は愈々小樽から動けず
古平にたどり着くことはできなかった

そのとき柳の舞が食卓に並んだかどうか
民宿での魚尽くしのもてなしを受け
炬燵にくるまって日がなテレビと一穂大系
黒猫シャコタンの無ニャリ寝息と
教授の「やむを得ませんね」という言葉が
繰り返し聞こえてきた五日ほどのあいだ
夢幻の雲海のような吹雪で
すべてが閉ざされ
麗しいデスタンスを測ることなど
できなかったのだ

ソシラヌ君、いずれまた会おう!

 
 
   
✶カンガンスルレ〜 カンガンスルレ〜
朝鮮半島南部に伝わる、女たちが月を巡って延々と歌い踊る、郷愁を誘う芸能。