西の山が見えない

 

さとう三千魚

 
 

今朝は西の山が見えない

淡墨を

白い空に
横に曳いたのか

幽かに
浮かんでいる

きみか

そこに
いるのか

恥ずかしそうに
笑っている

神田の
鶴亀で

飲んだね

また会えると思っていた
また会えると思っていたよ

今朝
真っ白の空に浮かんでいる

窓のこちらで
この男は

絶句の言葉を探してる

窓の外で
燕たち

チキチキと鳴いている
チキチキと鳴いて

飛んでいる

 

 

 

#poetry #no poetry,no life