うつくしいせかいは

 

ヒヨコブタ

 
 

うつくしいせかいとはどこにあるのだろう
重苦しく制限されるとわたしのこころは
そのどこかへ逃避する

ついこの前まであたりまえだったことが
悲しみの報せに潰されているような今に
流されたくはなくて
ひとびとのなかの淀みのような
それらが溢れかえるとき
うつくしいということにこだわりたくなる

生易しいものではなかったのだ
あたりまえというものは
こつこつ積み上げたそのなかに
温かさや優しさを感じ続けていたのだ

全面にそうではないものが押し出されても
恒に意識し続けていれば
最後には笑っていられるのではないか
そちらにかけたくて
わたしのこころはうつくしいせかいへ
駆け出したくなる

淀みに足をとられるのもじぶん
駆け出せるのもきっとじぶんだと
わたしは信じ続けて
緊張のなか踏み出す

悲しみのなかでは生き続けられないと
どこかで知っている
小さな、ごく僅かな
一笑にふされるようなことが好きだと
胸を小さくはる

いつまでいられるのだろう
この分断されたせかいをみながら
そっとことばを携えてそうではないせかいへむかうとき
少しだけ勇気をもって
じぶんを保つことに集中する

困難、疲弊、それらに
とらわれ続けないこと
きっとできるだろう

目にみえているものだけを信じないことに
わたしは賭けているのだ
優しくて甘い香りのするせかいに身を横たえることで