michio sato について

つり人です。 休みの日にはひとりで海にボートで浮かんでいます。 魚はたまに釣れますが、 糸を垂らしているのはもっとわけのわからないものを探しているのです。 ほぼ毎日、さとう三千魚の詩と毎月15日にゲストの作品を掲載します。

ここは静かな最前線

 

工藤冬里

 
 

スポーツカーの若者は大概テゲアパートに住んでいる
俺たちは冬の軍団だ!というのがあったけど十月がどうなったかは覚えてない
昔はボリじゃなくてボルシェビキと呼んでいた
ボルをねむらせボルの屋根に雪ふりつむ
ポルシェの若者のコーポに雪ふりつむ
つきつめるととろつきつとやつつけあけぼの伊豆
俺たちは冬のレギオンだ〈エコー〉
あゝ私は春のレギンス
ダーリンダーリンスターリン自他隣人
hinemos統合監視はノータリン

 

 

 

#poetry #rock musician

I cannot possibly do it.
私はどうしてもそれができない。 *

 

さとう三千魚

 
 

in the morning
under the cloudless blue sky

there was the west mountain

I started the washing machine
dried laundry

I vacuumed
I sucked up the daily dust and moco’s hair

then
on the sofa

I hugged moco

poetry
absent

it’s not where it is

I started from a place with nothing

I cannot possibly do it *

 
 

朝には
雲ひとつない青空の下に

西の山はいた

洗濯機を回して
洗濯物を干した

掃除機をかけた
日々の埃とモコの毛を吸いとった

それから
ソファーで

モコを抱いた

詩は
ない

あるところには
ない

なにも無いところからはじめていた

私はどうしてもそれができない *

 

 

* twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

The door opened of itself.
戸はひとりでに開いた。 *

 

さとう三千魚

 
 

recently
with anyone

I do not talk

with the woman
with moco

I do not talk

with the right ear
only the treble echoes twice

so
don’t listen to music

don’t watch tv

yesterday
Albert Ayler

I received a CD called “GOIN’ HOME”

be quiet
listened

I think he was a kind man

The door opened of itself *

 
 

ここのところ
誰とも

話さない

女とも
モコとも

話さない

右耳で
高音だけが二重に反響する

だから
音楽を聞かない

TVをみない

昨日
アルバート・アイラーの

“GOIN’ HOME”というCDが届いた

静かに
鳴らしてみた

彼は優しい男だったのだと思います

戸はひとりでに開いた *

 

 

* twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

a spirit level

 

工藤冬里

 
 

目を屡叩せて白人のインドはヒンド 
易経の越境 
死​と​契約​を​結び墓​と​協定​を​交わし​た 
鮫の激流​が​通り過ぎる時も元の森の湿原まで​は​来​ない 
月六ペンス副は​うそ​を​避難​所​とし偽り​の中​に​身​を​隠し​た​の​で 
悪阻の原に試さ​れ​た​石​を​植える 
百十の王の綱を張りここで一句

正しさの水平器を置く頻度

雹​が​偽り​の​避難​所​を​一掃し水​が​分離派建築​を​押し流す
インドアヒンディーシャーマンの死​と​の​契約​は​解消​さ​れ墓​と​の​協定​は​無効​に​なる 
下口の鮭の代わりに鮫の激流​が​通り過ぎる​時​押しつぶさ​れる墓川の
一度閉じた眼は開くことはなかった 
家族を守る大義など下流に流され 
石を剥がすと元森のお爺さんが饐えた菊のようになって 
白くポキポキしていた
齶田の乳頭温泉郷で 
死んだ人に再会する 
ミシンの影 
正しさの水平器を置く頻度

 

 

 

#poetry #rock musician

池でないものを

 

駿河昌樹

 
 

停滞そのものとなって
人生
などという
大それた巨視を
すっかり放棄してしまった人が
きっと
はじめて
詩のようななにかを
書き止められるのかもしれないと
思っている
いつも

思いながら
ない池の
ほとりにたたずんで
見ている

池でない
ものを