広瀬 勉
#photograph #photographer #concrete block wall
おとうさん
こんなところで
なまくらを抜いてどうしますか
水たまりになりはてた
女房の声だ
(強盗をしようとおもいます)
まずは
頭にのせたその
ふるい魚をこちらへよこせばよいのです
けして
声をたててはなりません
遠くの風景では
ひとびとが群れになって
一本足でひたすらすべっていきます
(きみらはただ無限に
人生を改行したかっただけなのだろう
そうは問屋がおろさない)
能書キハドーデモイイ
フトコロノ物質ヤ時間ヲゼンブ出セ
わたしは
なまけものなので
詩で強盗をしようとおもいます
お父さん、神社、テンプルでしょ?
そ、そうだよ。よく知ってたね。
ミエコさーん、ハスはジュンサイによく似てるよねえ?
似てますねえ。
シンキンコウソクって、なに?
心臓から酸素が無くなってしまうのよ。
ボク、ハス好きですお。
好きだよね、コウ君は。
お母さん、平和って、なに?
みんながしあわせに暮せることよ。
お母さん、むかし「ふきのとう舎」だけだったよね?
そうね。あとから「向生舎」なんかが出来たのよね。
お母さん、どこ行ったの?
さてどこへ行ったでしょう?当ててごらん。
セイユー?
ブ、ブー。
なにがつくもの?
キだよ。
キシモト歯科!
あったりーー!
「ボク、サトイモ好きですお」
そうなんだ。
サ、ト、イ、モ、サ、ト、イ、モ
海水は海みたいですね。
そうですね。
オサナナジミって、なに?
小さい頃からのおともだちよ。
車体構造って、なに?
車の中の様子よ。
お父さん、「ドクターヘリ」、録画してね。
分かりましたあ!
お父さん、「ドクターヘリ」見ますお。
分かりましたあ!
ぼく、アオさん好きですよ。
そう、良かったね。
お母さんね、ここで躓いて倒れてね、血がいっぱい出ちゃったの。
そうお。良くなってくださいね。
お母さん、すぐにお父さんと病院行ってね、ここんとこ、縫ってもらったの。
早く良くなってくださいね。
お母さん、良くなってください。
分かりました。
早く良くなってください。
だんだん良くなります。
お母さん、良くなってね。良くなれ、良くなれ。
分かったよ、
明日お医者さんにみてもらう?
見てもらうよ。
ぼく、ひとりでトウキュウいきましたお。
え、東急。いつ行ったの?
今日、行きましたお。
そう、偉かったね。
お母さん、こんど、ユカリさんに会いたいですお。
そう、会おうね。
―コバヤシ散髪店にて
おじさん、エモトアキラ好き?
好きだよ。
おばさん、エモトアキラ好き?
好きだよ。
おねえさん、エモトアキラ好き?
好きですよ。
コウ君、エオトアキラ好き?
好きですお。
ミワさん、いなくなったね。
亡くなっちゃったね。
「千の風に乗って」、亡くなったときでしょう?
そうだね。
お父さん、お母さんは?
当てててごらん。
おばあちゃんチ。
ピンポーン。
お母さん、きょう、サケご飯とピーマンの肉詰にしてね。
分かりましたあ。
今日はコウ君、ごはん何にしますか?
コーンスープですお。コーンスープにしてね。
分かりました。
お父さん、お母さんには、朝6時に電話しますお。
お、うれしいね。よく覚えていたね。5時台は早すぎるからね。
分かりましたあ!
お父さん、あさってビデオ撮ってね。
分かりましたあ。
みんな、いなくなっちゃったねえ。
そうねえ、いなくなっちゃったねえ。
お母さん、そんなこといわないでください。
はい、分かりました。
お父さん、あしたビデオ撮ってね。
分かりましたあ。
お父さん、今日ビデオ撮ってね。
分かりましたあ。
お父さん、きのうビデオ撮ってくれた?
撮ったよ。コウ君がおうちに帰ったら、一緒に見ようね。
分かりましたあ。
ぼく、映画村好きですお。
そうなんだ。
いつ買いに行きますか?
来週のどこかで。
分かりました。
あした、図書館と西友へ行きます。
分かりました。
ままならない、って、なに?
いろいろうまくいかないことよ。
ままならない、ままならない、ままならない
ぼく、今日休みますお。
なんで?
台風だから。
コウくん、今日は何の日?
きょうろうの日ですお。
敬老の日でしょう。敬老の日はどういう日?
ええと、ボク、お父さんとお母さんを助けますお。
助けてくれるの?
そう。
イメージって、なに?
こんな感じ、っていうことよ。
お母さん、今日の夜ごはんは?
お彼岸だから、お赤飯とマーボナスよ。いいですか?
いいですおー、いいですおー、イイデスオー。
さまようって、なに?
ふらふらしてることよ。
てごわい、ってなに?
つよいなあ、ってことよ。
お母さん、今晩のおかずはなに?
今日はお赤飯と、クリームシチューと、肉詰めピーマンです。いいですか?
いいですお。
こらえる、って、なに?
我慢することだよ。
コウ君、こらえてるの?
いませんお。
お母さん、ドクダミ、おうちにある?
あるよ。
ぼく、ドクダミ好きですよ。
そう。お母さんもよ。
お母さん、ぼく、あしたセイユウいきますお。
いきましょうね。
ぼくレンブツさんとフクモトリコ、両方好きだよ。
そう。
骨をも腐らす、ながい雨の時代だった
緑の陰で溺れ、背には甲羅が生えた
もう、三百年生きた
望みという友もいない
亀は海に還るまえに光をみにいくことにした
闇の眼ではなにもみえず、光の匂いを辿った
這いながら泥を舐めた
それは微かにまだ記憶に残る
三百年前の水の味がした
峠を這い、
頂きの朝、
甲羅に全方位に亀裂が走った
未来という頂きに鳥が舞う
眼から落ちた鱗は光の粒
真珠の首飾り
“すべてが美しく、
傷つけるものはなにもなかった”
ヴォネガットの墓に刻まれたその言葉を甲羅に刻んだ
亀は海に還ることにした
石に導かれて、浜を漂い
青く寄せる波に甲羅は溶けた
声の方角に風が吹いた
幻の石がひとつ、浜に遺された
峠の光のいろ
大菩薩峠にきょうもまた陽が昇る
姉が好きといっていた
裏山にも
咲いていた
桔梗か
夏の終わりに
咲いていた
桔梗か
帰郷なのか
どちらにも青さがある
痣のよう
内側から
青く
桔梗なのか
青い空に
白い雲が
ひとつ
浮かんでいた
山道を歩いていく
前へ
前へ
歩いていく
傍らに
桔梗の花は咲いている
memo.
2022年10月17日(月)、自宅にて、
「 無一物野郎の詩、乃至 無詩!」として作った詩です。
お名前とタイトル、好きな花の名前を伺い、その場で詩を体現しプリント、押印し、お送りしました。
タイトル ”前へ”
花の名前 ”桔梗”
#poetry #no poetry,no life
安倍川餅をわさび醤油でて
ソマリアではいつも肉と野菜を食べていた
難民キャンプで支給される小麦粉に慣れてなくて
粉ミルクと間違えて赤ん坊を死なせる母親もいた
10年経って渋谷系は昆虫食とほんとうに結びついた
אּיזָ֫בֶל
それでイザベルとかミセス・ジョーンズとか名前を連呼して悶えるタイプの曲はだめだということになった
猫の方が良い顔をしていることが多い
五十代警備員女性が足を折ったので
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短歌の返礼もする
gridからずり落ちる一年前に、「顔の記憶」というアルバムも出していて
志乃釉を詩の釉と言い換える
陶芸史とは憧れを持ってしまったことによる石粉の苦闘
エリヤに与えられた仕事と対になった慰め
焼けた石の上に乗せられた丸いパン
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まだ生きてることになってる55年生ベルリンの明石政紀さん変更されてないまだ生きてることになってる
まだ生きてることになってる
#poetry #rock musician