広瀬 勉
#photograph #photographer #concrete block wall
陽光が風のように
さあっと吹いてくるって思った
ゴールデンウィークの中日
行楽地なんてとても行けないけど
「子供たち連れて公園行こっか」とミヤミヤが提案
公園プレデビューだ
公園っていうのは近所にある団地内の公園
徒歩でほんの4、5分ってところ
ぼくはこかずとん、ミヤミヤはコミヤミヤ
抱っこ紐つけて
外に出た
あったかい
4月はどうかすると寒い日もあるけど
5月になると急にポカポカするんだね
よいっっしょよいっっしょ
一歩一歩慎重に
団地に渡る歩道橋では小学生みたいに
右見て左見てまた右見て
一歩一歩、2人に何かあるといけないから
団地内の小道をよいっっしょよいっっしょ歩いて
広いところに出た
公園だぁ
鉄棒で女の子が逆上がりの練習してて
くるっ、成功、やった
ちっちゃい男の子が滑り台を
滑り滑り降り降り、お母さんがズボンの埃をパンパン払ってやる
平和な風景だなぁ
抱っこ紐の中のこかずとんは
まだ視力弱くてこの風景把握できない、んだけど
さぁっと
陽光が
風のように吹いてきた
首、上に伸ばした
鼻、ひくっとさせた
感じた、感じ取ったぞ
陽光を風のように感じたこかずとん、それにぼく・かずとん
何だかこの光景の中に
溶け入ってしまいそうだ
今頭上で爆弾が炸裂したとしても
溶け入ってしまって
気づかないだろう
足元の石畳に染みみたいな跡が残るかな
木陰に入ってミヤミヤと写真を撮り合った
コミヤミヤ、口パクパクさせてる
こかずとんもだ
ああ、もうすぐミルクの時間だもんな
それじゃこの辺りで引き返すとしますか
公園プレデビュー無事終了
陽光が吹いてくる
さぁっと
象は
歩いた
だろう
堺から
長崎の
西坂の丘まで
歩いただろう
そこには
二十六聖人が
並んで
浮かんでいる
象は
酔って
照れ隠しに
笑っただろう
白い歯で笑った
帰ろう
百合の花の薫る
西坂に帰ろう
海の見える
長崎の
西坂に帰ろう
***memo.
2022年12月7日(火)、自宅にて、
「 無一物野郎の詩、乃至 無詩!」として作った30個めの詩です。
お名前とタイトル、好きな花の名前を伺い、その場で詩を体現しプリント、押印し、お送りしました。
タイトル ”象の風景”
好きな花 ”カサブランカ”
#poetry #no poetry,no life
もう
昨日か
冬の
曇った
港町を
ふたり
歩いた
冬桜が
咲いていた
家並みの
細い道の
向こうの
海が
光っていた
しらす舟は
網を曳いていた
舟は
しらすを
掬う
透明の
無い
ものたちを掬う
***memo.
2022年11月28日(月)、自宅にて、
「 無一物野郎の詩、乃至 無詩!」として作った29個めの詩です。
お名前とタイトル、好きな花の名前を伺い、その場で詩を体現しプリント、押印し郵送、詩の画像をメールでお送りしました。
タイトル ”しらす”
好きな花 ”冬桜”
#poetry #no poetry,no life
夜中
目覚めた
女と
モコを
起こさないよう
階段を降りる
湯を沸かし
珈琲を
淹れる
紙を
ひらいて
平らに
ひらいて
花を
待つ
待っている
memo.
2022年11月26日(土)、しずおか一箱古本市での水曜文庫で行ったひとりイベント、
「 無一物野郎の詩、乃至 無詩!」第七回で作った28個めの詩です。
自分のために詩を書きました。
タイトル ”朝に”
花の名前 ”無花果(イチジク)”
#poetry #no poetry,no life
地球上のどこかに
たまたま
生まれ落ちたからといって
そこの土地の人間だ
どこどこ人だ
どこどこ国ばんざい
どこどこ国を守るのだ
どこどこ国を拡大するのだ
とか
なんとか
大声でわめいたり
刃物をふりまわしたり
銃弾を放ったり
大砲だのミサイルだのぶっ放したり
そういうことに
まったく乗る気になれない
たまたま人が
ぼく
たまたまだって
ついてる
どこどこ人の
たまたま
なんて
どこどこ?
ってな
もんだよ
人はみな、何かを、やらかす
やらかし、やらかし
やらかし続ける
恋を、やらかす
結婚を、やらかす
子育てを、やらかす
人はみな、何かを、やらかす
生れてから、死ぬまで
やらかし、続ける
勉強を、やらかす
旅行を、やらかす
金儲けを、やらかす
人はみな、何かを、やらかす
やらかし、続ける
それしか、やることがないと、思い決めたように
シャブを、やらかす
バクチを、やらかす
ついには、戦争まで、やらかす
けれども
やらかすだけが
人生なのだろうか?
恋を、やらかさない
結婚を、やらかさない
子育てを、やらかさない
勉強を、やらかさない
旅行を、やらかさない
金儲けを、やらかさない
シャブを、やらかさない
バクチを、やらかさない
もちろん、戦争も、やらかさない
そんな人たちも、町の片隅に住んでいて
人知れず、静かに生きて
人知れず、静かに死んでいる
なにもやらかさない
そんな人生だって
立派な人生なのでは、ないだろうか?