思うこと ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! Part2 007     izumi さんへ

さとう三千魚

 
 

海を
みてた

山を
みてた

沈丁花の花が
薫ってた

あなたの花だ

むらさきの硬い
蕾がしろく

ひらいた

蕾の
なかにいた

 
 

***memo.

2025年8月23日(土)、
浜松「はままちプラス」で開催された”再詩丼”にて、
“無一物野郎の詩、乃至 無詩!” 第40回、第2期 7個めの即詩です。

タイトル ” 思うこと ”
好きな花 ” 沈丁花 ”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life;

食べてばっかり ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! Part2 006     chisato さんへ

さとう三千魚

 
 

むらさきの
花や

ピンクの
花は

見たことがある

しろい
朝顔の花は

あまり
見たことがない

夏痩せをしない

食べてばかり
いる

 
 

***memo.

2025年8月23日(土)、
浜松「はままちプラス」で開催された”再詩丼”にて、
“無一物野郎の詩、乃至 無詩!” 第40回、第2期 6個めの即詩です。

タイトル ” 食べてばっかり ”
好きな花 ” 朝顔 ”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life;

悲鳴 ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! Part2 005     ai さんへ

さとう三千魚

 
 

そのひとは

ひまわりが
好き

と言った

ひまわり
という映画が

あった

イタリアの
映画だった

水辺の
男と女の

逢瀬があった

ひまわりの
原野が

広がっていた
時を超えて

ひまわりの
声が聴こえる

 
 

***memo.

2025年8月23日(土)、
浜松「はままちプラス」で開催された”再詩丼”にて、
“無一物野郎の詩、乃至 無詩!” 第40回、第2期 5個めの即詩です。

タイトル ” 悲鳴 ”
好きな花 ” ひまわり ”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life;

嘉禾 ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! Part2 004     keigo さんへ

さとう三千魚

 
 

浜辺だったか

夏の
浜辺だったか

夾竹桃の
ピンクの花の

咲いてた

夏の青空の下に
咲いていた

稲穂が
重い首を

垂れていた
黄金の稲穂だった

 
 

***memo.

2025年8月23日(土)、
浜松「はままちプラス」で開催された”再詩丼”にて、
“無一物野郎の詩、乃至 無詩!” 第40回、第2期 4個めの即詩です。

タイトル ” 嘉禾 ”
好きな花 ” 夾竹桃 ”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life;

pleonexia

 

工藤冬里

 
 

店ではなく家で水を飲むことはできるだろうか
くまからの誘惑に引っ掻かれ
テキ屋の儲けはアンナスに
食い尽くされた蜂の巣
顔が右に傾いているのでいらいらする
水浴びの見当はついていた筈だ
髪型が多様で同じ種とは思えない
馬場も老けたなあ
消しゴムのないデッサン
とうとう紫を混ぜ合わせ始めた
プレオネクシア
晴れ晴れの振れ幅

 

 

 

#poetry #rock musician

ねこと花 ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! Part2 003     kei さんへ

さとう三千魚

 
 

ねこも
花も

うつむく
ことがある

空を
みあげることも

ある

藤の花は
垂れて

咲いている
薫っている

 
 

***memo.

2025年8月23日(土)、
浜松「はままちプラス」で開催された”再詩丼”にて、
“無一物野郎の詩、乃至 無詩!” 第40回、第2期 3個めの即詩です。

タイトル ” ねこと花 ”
好きな花 ” フジ ”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life;

コミヤミヤとの肌時間

 

辻 和人

 
 

うっすらしっとり額に汗だ
お昼寝から醒めて手足パッタパタするコミヤミヤ
ようし、よし
ガーゼハンカチ水に濡らして拭っき拭き
顔、脇、お腹、背中、おててにあんよ
ひやっとするよパッタパタ
おしっこで青い筋浮き出たオムツ交換
汗で濡れた肌着も交換
アヒャアヒャッと笑いかけてきたので
抱き上げる
2100グラムで生まれて今は7000グラムのコミヤミヤ
抱っこすれば
ふっくらお腹が密着
むっちり太ももが密着
肌だ
喋るのはまだまだ先のコミヤミヤ
「気持ちいいかい?」って言っても答えられない、けど
頬っぺたすりすり
背中ぽんぽん
お尻ゆらゆら
肌で会話できる
ほーれ
ぽんぽん・ゆらゆら・すりすり
どうだ
気持ちいいかい?
アヒャアヒャアヒャヒャッ、アヒャアヒャアヒャヒャッ
肌で会話できる
肌時間
8月の終わりの午後
コミヤミヤとの肌時間が
アヒャアヒャ流れている

 

 

 

どろ

 

廿楽順治

 
 

わたしの目にどろをぬり
わたしが
それを洗い
そして見えるようになりました

日曜日も
にもつをはこんでいるひと
そのひとは
日曜日をどうおもっていますか

見えるひとたちが
見えないようになるために

にもつをはこんでいます
どろをぬりにいきます
それらの目に
地面をあたえるために

つめたい車を
ひとりで汚れながら引いていき
その轍を洗うと

わたしはおのずと
鏡のような平野になります

べつになにも
思いません

 

 

 

む行

 

道 ケージ

 

「む」は「ん」と読む
むんむんムンムン
んは無音化する
むむ
むほんです

むはむむはむむはん
無は無
んーむ
ハム半分残しはんなり
無理じゃないん

無駄に麦を蒸す
ムハンマドむっつり
昔ムキムキ
無害の不精

無一文の村
無限の昔
息子に無理強い
ムズイとムスコ
無理
結んだ紐でむぎゅ

無我夢中で向かった
酷い
無間地獄
むせびなく

むき身無理やり
無銭飲食
無償の無罪
むく犬の迎え

無勢で多勢
無垢の武蔵
向こう傷
村雨無敵
無為に向かう

無闇に
胸元無造作
むせかえる
無邪気な夢精

紫むらぐも
ムンバイ無風
群れのムクドリ
無響

向かいの村
無辜の婿
無毛無関心
鞭打ち無情

むたいどすえ

 

 

 

鳥海山と手帳と

 

さとう三千魚

 
 

帰った

西馬音内から
帰ってきた

秋田では
姉と

鳥海山の鉾立まで登った
鉾立から人びとのいる地上を見た

花巻の賢治記念館では
照井良平先生にお会いした

賢治記念館に手帳の複製はなかった

珈琲の後に
羅須地人協会と

賢治の墓を見せていただいた
照井先生にはやわらかい笑顔があった

西馬音内では盆踊りを見た
西馬音内の盆踊りは亡霊の踊りだろう

笠を被り
頭巾を着け

顔を無くし
亡き者の傍らで踊る

幻影だろう
亡き者たちを抱いている

鳥海山も
手帳も

姉も
義兄も

幻影だろう

母も父も兄も祖父母も
沖縄の戦争で死んだ叔父も

幻影だろう
ウクライナもパレスチナも幻影だろう

奥羽本線で
山形に抜けるとき

電車の中から

やわらかなみどりの山々を見ていた
やわらかな懐かしい山たちを見ていた

畑のなかのトタン板の小屋も見た

山形新幹線は地上を走った
月山と羽黒山を遠く見て走った

埼玉では激しい雨のなかを走った
新幹線は激しい雨のなかを走っていった

 

 

 

#poetry #no poetry,no life