That makes no sense at all.
それは全然意味をなさない。 *

 

さとう三千魚

 
 

I drank

yesterday
at the Wednesday library

I drank canned beer

with Mr. Ichihara from the Wednesday library
with saxophonist Mochizuki

Drank

then
at the villa Syurinn

Drank

I’m just in the saxophone room looking for a sound texture
said Harutaka Mochizuki

every day
I am writing poetry

I Said

Trying to speak beyond the poem

I Said

I said it in Drunk words

Outside the words

on the night road of autumn
I’m about to go

That makes no sense at all *

 

 

酒を飲んだ

昨日
水曜文庫で

缶ビールを飲んだ

水曜文庫の市原さんと
サックス奏者の望月さんと

飲んだ

それから
別邸秋霖で

飲んだ

サックス部屋に籠って音のテクスチャーを探しているだけです
と望月治孝さんは言った

毎日
詩を書いています

とわたしは言った

詩の向こうに語ろうとしている

と言った

ろれつのまわらない言葉で言った

言葉の外に

秋霖の
夜道を

行こうとしている

それは全然意味をなさない *

 

 

* twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

「株式会社」の表記について

 

工藤冬里

 
 

行員にはハイとイイエが籤として心臓の上になければならなかった
賽を投げて出資を決めるのはいいがそれを心臓の上で行え、ということだ
裸は恥ずかしいものではなかったのに
煩沢、お前のせいで肌の露出を避けなければならなくなった
社名を彫った宝石を縫い付けるには台座がいるな
リネンの格子縞は上品で柔らかい
必ず黒字ビール化しますと言った糸の色覚えてるか
その色のダウン滋味ペイジの「株式会社」と「有限会社」の表記の仕方に違いがある。(株)と㊑,(有)と㊒だ。
お前は特に考えることなく,どちらの表記でも構いませんと伝えていたようだが、「株式会社」が会社名の前に付くか,後ろに付くかの違いがあった
例えば、◯◯(株)の場合は,株式会社◯◯となり,会社名の前に付く
◯◯㊑の場合は◯◯株式会社と会社名の後ろに付くんだ
有限会社についても同様になる
知らなかったじゃ済まされないんだよ煩沢
だから「ピッグアップル」の入居者の表記の仕方は,カッコいいで表記されている場合は,社名の前に(汗)と記入
丸で囲んでいる場合は,社名の後ろに(怒)と表記しろ
手巻きでリスカを作成している刺繍師には,李香蘭に「後」「前」と記入させろ
電子化はしばらく中止だ。確認後,修正したPDFファイルを改めて送る
煩沢、お前の確認不足で余計な手間を取らせたんだぞ土下座くらいで済むと思うなよ

 

 

 

#poetry #rock musician

The deer fall a prey to the lion.
その鹿はライオンの餌食になった。 *

 

さとう三千魚

 
 

deer migration

I received a postcard

the photographer probably took a trip to the north

there
there were deer

the deer
will cross

will cross over the snow

listening to the sound

the two ears are moving alternately

the deer would have seen

the deer
would have seen this world

deer cross

The deer fall a prey to the lion *

 

 

鹿渡り

という
葉書が

届いた

写真家は北への旅を撮ったのだろう

そこに
鹿たちがいた

鹿たちは
渡っていくだろう

雪の上を渡っていくだろう

音を
聴いてる

ふたつの耳が交互にうごいてる

見ただろう

鹿たちは
この世を見ただろう

鹿が渡っていく

その鹿はライオンの餌食になった *

 

 

* twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

ニクの解凍

 

サトミ セキ

 
 

わたしは新妻、スーパーで五百グラム千円「お買い得の牛肉切り落とし」を見つけ、よしと気負って買い込み、肉じゃがやニンニク芽炒めに使ったはいいが、五百グラムそれしきではなくならない。
冷凍したのは五日前、さあ解凍と電子レンジの扉を開けたところ、わたしは監視レンジ、透明の扉にいま夫ちょっと前まで独り身男十年分の、なめらかソース海老グラタン、ガーリック風味強化鳥唐揚、ひき肉と洋野菜旨味ミートソーススパゲティ、大好物の油と脂がベッタリと黄色い層になり電子レンジ、天使レンジにこびりついている。
天使レンジがわたしへのゴングをチンと鳴らして、外に出たニクは白い深皿の中で血を流している。薄切りニクと呼ばれてニク屋で売っていたこれは、むかしウシだったのだ。ウシのかけらを白い皿に入れたのが間違いだった、でも新婚の家には適当な大きさの深皿は白しかないと決まっている、ウェディングドレスをクリーニングに出さなくちゃ、サスペンスドラマで殺される美女は必ずああああ必ず純白のドレスを、血しぶき、血が白い深皿に溜まって臭う。
白い皿の中のちゃぷちゃぷニクを引き出して、生温さに吐きそうになりながら、錆びた独り身男のニク包丁で、ああ切れない、ギルギルとちぎりむしると白いプラスティックの独り身男のまな板傷、何切ってきたん、が血の色に染まる。これは死んだウシの血なのだ。
この間しゃぶしゃぶが突然食べたくなって、いえ、退屈な会社帰りにフェィスブックに冷やししゃぶしゃぶの写真が載ってたから、近くのニク屋でしゃぶしゃぶ用の肉をください、と言うと、ニク屋はちょっと待ってと口ごもって、ケモノの死体保存庫から、ウシの大きな腕、血まで凍った真紅が霜を振ってる腕を重そうに取り出して(腕なの脚なの)、スライス機械にかけた。いつからパーツになってウシは保存庫に入っているのだろう。
水のようにサラサラの薄い、だけど臭い血を台所に流しかけ(今日のわたしはサラサーティ)、ちょっと間違っているのではと思い、そう、これは丸い便器の中に流すべきもの、そうすれば、全然吐き気はこみ上げない、真っ白の可愛い形に真紅がよく似合う、ヒトの血に慣れてる便器の中に流せば、ウシの血の臭いもきっと日常になる。台所だから吐きそうな、吐きそうになったギルギルちぎりニクで作った肉料理完成する、甘い声で食卓へと誘なう、たぷたぷと十年分のコンビニ脂が積もる腹を揺らしながらやってくる、さあ食べるのよ、わたしの夫。

 

 

 

stanza

 

工藤冬里

 
 

一つの詩を書くのに二年はかかり、長編小説一つ分くらいのエネルギーが要る
問題はそのためにもう千年生きてしまっているということだ
サックスで命を削るというのは嘘で、増やしているだけだ。
死んだのは単にクスリを飲み過ぎたからだ。
一日を一秒にすればきみも長く生きられるよ
二〇一九の電話帳で
行政機関や会社、商店を 探して、
手紙を書く、
あなた方はいつか私を憎み、
殺すだろうと
一つの手紙を書くのに時間はかからない
時計の時間と同じ長さの時間がかかるだけだ
二〇一九の電話帳で
行政機関や会社、商店を 探して、
手紙を書く、
あなた方はいつか私を憎み、
殺すだろうと

 

 

 

#poetry #rock musician

So much for today.
今日はこれでおしまいです。 *

 

さとう三千魚

 
 

last night

“Mikawaya” was vacant

always
I couldn’t enter because it was full

many times
I couldn’t enter

“Mikawaya” oden

I ate

Then
I went to the “bridge”

The “bridge” was also vacant

Empty chairs were lined up

I drank the transparent liquor of this country

on the way home
I walked home

alone

I crossed the bridge and went home

when crossing the bridge

on the horizon
people’s lights were lined up

there are many people’s lives in the horizontal lights

So much for today *

 

 

昨夜

“三河屋”は
空いていた

いつもは
いっぱいで入れなかった

なんども
入れなかった

“三河屋”の
おでん

食べた

それから”橋”に行ったのだったか

“橋”も空いて
いて

空の
椅子が

並んでいた

この国の透明な酒を飲んだ

帰りは
歩いて帰った

ひとり

橋を渡って帰った

橋を
渡るとき

地平には
人々の明かりがならんでいた

水平に並んだ明かりのなかにたくさんの人々の生がある

今日はこれでおしまいです *

 

 

* twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

depict

 

工藤冬里

 
 

作りに行くかたちの場と時間の中に自分では操作できない要素が入っている時、やっと支払いは賭けや投げ銭によって完了する。例えば死にかけている時の所有物の分配や、死んだ後の埋葬の仕方などである。そこには自分より大きな胴元が動いていなければならない。
自分で処理できない護美芥はない。ゴミ・カス・クズの整理がアルシーヴであるとしたら、アルシーヴじたいに支払い能力はない。アルシーヴはロック史でなければならない。Yo soy とYo estoyの違いのように、焼成される私には二つの動詞が纏わり付く。それがdepictされなければならないのだ。
災厄は未だ限定的である。大火事はここからは見えないが宇宙からは見える。その赤の画竜点睛で時間と場への投げ銭は完了する。
死を飲む、或いは死を飲み込む者のように酒場の代金を払いなさい。

 

 

 

#poetry #rock musician

Blue jeans are as American as apple pie.
青いジーンズはとってもアメリカ的だね。 *

 

さとう三千魚

 
 

afternoon
I went out to the city

I went to a new bookstore named “skylark” in the city

There was no skylark
I ordered the October issue of “Bijutsu Techo”

then
At the Wednesday library

I bought “kukai Jodo”

I was meeting with a woman at PARCO

Looking for soap
I visited several shops with a woman

Because the face-wash soap I bought in Singapore’s Indian town has become smaller

I was looking for a fragrant soap

I bought Nepalese jasmine soap at the 4th store

wash my face
morning

I’m happy with the scent of soap

I’m back in my room and listening to Janis Joplin’s SUMMER TIME
Janice has American pain

I have some jeans

I like LEVI’S 502
LEVI’S 502 is made in China

Blue jeans are as American as apple pie *

 

 

午後
街に出た

街に新しくできた”ヒバリ”という名の本屋に行った

雲雀は
いなかったが

“美術手帖”10月号を注文した

それから
水曜文庫で

“苦海浄土”を買った

PARCOで女と待ち合わせをしていた

石鹸を探して
女と店を何軒かまわった

シンガポールのインド街で買った洗顔石鹸が小さくなったから

香りのよい石鹸を
探していた

4軒目の店でネパールのジャスミン石鹸を買った

顔を洗う

わたしは石鹸の香りでしあわせになる

いま部屋に帰ってジャニス・ジョプリンのSUMMERTIMEを聴いている
ジャニスにはアメリカの痛みがある

ジーンズは
何本か持っています

LEVI’S 502が好きです
LEVI’S 502は中国で作られています

青いジーンズはとってもアメリカ的だね *

 

 

* twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

refuse collector

 

工藤冬里

 
 

自由とは捨てること
不自由とは収集すること
排泄物であるかのように捨てることが必要
夏とは捨てるものをゴミのように憎むこと
冬とは収集してしまったことをクズのように憎むこと
refuse collectorが五味カス葛うどんを食べている
愛されるべきだったものは死後数週間放置されている
札が見つかることもある
断捨離とは捨てられないこと
貧乏性とは捨てられたいこと
to know himとは彼のゴミ屋敷の入り口に立つこと
自由な秋の強さとは強力粉と薄力粉を共に踏み付けて五味カス葛うどんにすること

 

 

 

#poetry #rock musician