あのミナミジサイチョウが捕まった!

 

辻 和人

 
 

マジですか?
2019年11月、茨城県のペットショップから逃げた
南アフリカ産のでっかい鳥
ミナミジサイチョウ
2021年6月5日午後、千葉県白井市の田畑で捕獲されたって
寝る前のヤフーニュースで眠気ぶっ飛んだ

あの不敵な面構え
あのド派手な面構え
逃げ出したって報道を目にした時から
ぼく、この鳥の「ファン」だったんだよね
ギョロッ目の周りは真っ赤っ赤
喉の膨らんでる辺りも真っ赤っ赤
真っ黒胴体の上で
燃えるよう
嘴は先っぽ折れてるけどそれでもシュッと長く
翼広げれば2メートル
バサッ
バサッ
空気を重たく切って
不敵だねえ
ド派手だねえ

空0おや、ケージの扉が開いてる
空0ちょっくら外の世界を覗いてみようか
空0バサッ
空0バサッ
空0ありゃま
空0故郷とは全然違う景色だなあ
空0いろんな形の岩がにょきにょき突き出てるなあ
空0四角くてガス出す動物がちょこちょこ忙しく走り回ってるなあ
空0飛ぶのは実はあんま得意じゃないけど
空0バサッ
空0バサッ
空0お腹空いてきた
空0道端に置いてあるいい匂いする袋、うっすい膜突いて破って
空0チョンチョン、ゴクッ
空0うん、食える食える
空0ちょっと騒々しいし
空0どっかもっと落ち着けそうなトコはないか
空0おっ、緑いっぱい
空0おっ、お水いっぱい
空0良さげな感じ
空0ここに腰を据えるとするかぁ

目撃情報が相次いでテレビにもたびたび登場
畑の周りの草っ原を余裕ある足取りで歩く
よっちよっちよっち
土をほじくり返したぞ
レポーター「あっ、何か食べましたね!」
ミミズだかゾウリムシだか
嘴を大きく開いて
カエルも食べる
ヘビだって
するするっ飲み込んじゃう
たくましいねえ
アフリカ生まれの生き物に日本の冬は厳しいかろうって?
へっちゃらさ
もう2回も冬越しちゃったよ
風を避ける場所なんか森の中に幾らでもある
枯草の下には食料の甲虫もいる
そして初夏
「エサは豊富にあるし今の時季は体力が有り余っていて捕まえるのが難しい」
なこと言ってたペットショップの職員が車2台で追跡
特に警戒することもなく自分から車に近づいていくミナミジサイチョウ
よっちよっちよっち
息飲む瞬間
ところが車と車の間をすり抜けて
バサッ
バサッ
レポーター「飛び立ってしまいました」
人間ども、マヌケだねえ

まあ、そんなことあんなこと
お昼のワイドショーで見てたんだけど、遂に

ミナミジサイチョウ、職員の腕に
おとなーしく抱かれてる
ビニールハウスの横にいたので追い詰めて網で一気に捕獲しました、とのこと
職員は嘴を軽く掴んでいたけれど
腕の中で暴れる様子もなく
ギョロッ目
不敵だねえ
ド派手だねえ

絶滅危惧種なのにペットショップで売ってるってのが
そもそも「?」なんだけど
南アフリカより日本の千葉県の風土に合ってたのかもしれないな
住民から「ずっといて欲しい」なんて声もあがってたらしい
2、30羽も離したらたちまち殖えて
絶滅危惧する必要、なくなっちゃったりして

先住のカラスやスズメと一線を画する
不敵でド派手な面構え
よっちよっちよっち
バサッ
バサッ
1年半の休暇を思う存分楽しむ
カエルだってヘビだって
生きてピクピクしてる奴を思う存分食して
潜在能力を思う存分発揮
羨ましいね
憧れちゃうね
そう言えば
ちょっと前にアミメニシキヘビが逃げ出したって事件があった
アパートで飼われていてケージの鍵が壊れ
にょろにょろっ外へ出ていってしまった
大勢で捜索したけど見つからない
水路をつたって逃げだら捕獲は困難、なんて「専門家」の人が言ったらしいけど
別の「専門家」はアパート内にきっといると主張
屋根裏をあたってみたら
果たして
柱に巻きついてた
やさしく解きほぐすとおとなーしく捕獲者の腕の中へ
何でも一回外へ出たもののまたアパートに舞い戻ってしまい
ひたすら屋根裏で縮こまっていたという
アミメニシキヘビは小心者
外の世界が怖い
外の食べ物なんか食べたくない
誰かケージに連れ戻してくれないかなあ
ミナミジサイチョウとは真逆の人生観だ

自由と安定
さて、どちらがいいか?
1カ月たって改めて朝の通勤電車の中で考えてみた
自由に飛び回るのは楽しいけど
もし食料が見つからなかったら
もし恐ろしい外敵がいたら
決して気楽ではいられない
一方安定を選ぶってのも意外と落とし穴がある
柱に巻きついていて誰も見つけてくれなかったら飢え死にだ
ケージから逃げ出さなかったとしても
飼い主さんにもしものことがあったらもうアウト
今ここで寝不足の目をこすって電車に揺られてる人たちは
テレワークが叶わない勤め人が多いだろう
隣の席で一心不乱にゲームやってるニイチャンだって
「来月店閉めるから」って言われたら目を白黒させるしかない
じゃあフリーで頑張るかってことになると
うーん、食っていけないかも
ぼくも一度会社辞めてるけど何だかんだ言って再就職したしね
ミナミジサイチョウ
君って勇気ある成功者だったんだね

てこと考えながらスマホでヤフーニュース覗いたら
「6月に捕獲された『絶滅危惧種巨大鳥の名前』を柏市立手賀東小学校の児童が命名」
マジですか?
あの鳥に名前はあるのかという問い合わせが殺到
ペットショップが地域の小学校に命名をお願いしたとのこと
名前は「ファミリア」
アフリカの言葉で「家族」を意味するそうな
小学校で命名式までやってる
「もっとここにいてほしかったけど、いつまでも幸せに暮らしてほしい。手賀沼の宝です」
「家族のような学校に大きな鳥が遊びに来てくれて半年間みんなで過ごすことができた。『ファミリア』が過ごしやすい場所だったこの手賀の豊かな自然を守っていきましょう」*
迷惑かけたくせに宝ときたか
ペットショップの職員の腕に止まった「ファミリア」
ギョロッ目
真っ赤っ赤
不敵な面構え
ド派手な面構え
頭撫でられてご満悦
小学生たち、大喜び
おいおい、「ファミリア」
せっかくホメてやったのに
お前、ホントは
自由でも安定でもどっちでも良かったのかぁー?

空0ご飯は出てくるしゆっくり寝られるし
空0悪いことはないよなあ
空0もう一回くらい外の空気を吸いに出かけるのもいいけど
空0このままここにずっといてもいいよなあ
空0いてもいいよなあ
空0いなくてもいいよなあ
空0よなあ
空0よなあ

 
 

*2021年7月11日の朝日新聞の報道による

 

 

 

「夢は第二の人生である」或いは「夢は五臓六腑の疲れである」第92回

 

佐々木 眞

 
 

 

西暦2012年皐月蝶人酔生夢死幾百夜

 

その老人にはさんざん感染防止の注射をしたのだが、どこのワクチンをどれだけ注射しても効きめがないので、しばらく放置していたら急激に健康を取り戻した。5/1

あの家は無人のはずだが夜になると電気がつく。この頃誰かが住み着いているようだ。5/2

冷たい川に足を踏み入れたら、足の裏に何匹もの小さい鮎が潜り込んで、私の足を擽っては逃げ出していくのであった。5/3

子供たちの読み聞かせ塾で、日本国憲法をテキストに使っていると、どことなく良い子になるそうだ。5/4

歯医者の私が頼んだのは歯医者ラーメンだったが、もしかするとハイチラーメンだったかもしれない。5/5

私は早稲田駅から地下鉄に乗ってどんどんどんどん乗り進んだが、いったいどこへ行きたいのかは自分でも分からないのだった。5/6

私の体内に2つの怪しい影が発見されたので、2人の主治医がこれは癌だとかいや単なるオデキだとかいうて論争しているので、その間に私は病院を抜け出した。5/7

東京駅の大広間で私に向かってワンワン吼えながら飛びつく犬がいるので驚いてよく見れば2002年に昇天したはずの我が家の愛犬ムクではないか。5/8

私が設計した車の外装についてカラリストが毎回へんちくりんな「流行色」を押し付けるので、頭にきて自分でペンキを塗ることにした。5/9

あの憎たらしい奴がおらっちを車で追い詰め、撥ねたのでおらっちのメガネがフッ飛んだ。5/10

超時代的な愛子さんの恐るべき下着コレクションを見せつけられた連中は、唖然として見入っていた。5/11

明日病院でどういう風に右手が痛むか、どういうふうにMRI検査やリハビリを頼むか、その練習をしているうちに朝になったようだ。5/12

私その1は激痛に耐えながら右手を動かしていたが、私その2がその1の肩を叩いたので、あまりの痛さにうめき声をあげた。5/13

巨大で真っ白な2頭のチャウチャウにすっかり気にいられて、おらっちは、嬉しいような悲しいような気持で、彼らの面倒をみていた。5/14

ここはアフリカか、それともインドなのか? 大地に横たわっていると、周りでいろいろな鳥が鳴き、獣や大蛇が動いている気配がする。5/15

閉店寸前の真っ暗なデパートの奥の方で、誰かが誰かと争っているような不穏な声がする。5/16

パソコンで妻のウイルス接種の予約をとろうとして何回も何回モアクセスするのだが、その都度「予約できませんでした」という返事が帰って来るので、またしてもパソコンで妻のウイルス接種の予約をとろうとして何回も何回モアクセスするのだが、その都度「予約できませんでした」という返事が帰って来るので5/17

同和円と同心円の違いについて親しく教授のレクチャーを受けていたのに、いざそれらが実際に虚空に姿を現すとどれがどれだかさっぱり分からなくなってしまい、いったいオレは何をしてきたのだと中原中也のように呟くおらっちなのであった。5/18

私は自由が丘に下宿していたが、毎晩駅前の食堂で比較的高価なかつ丼を食べることが固定観念になってしまい、他のもっと安い食堂で蕎麦やラーメンを食べるという選択肢があることすら知らなかった。5/19

すると周りにいた男たちが、この女はまったくの変態だと口々に罵り始めたので、私は割って入り、そもそも変態とは何ぞやと問いかけるとみな論争を避けてちりじりになってしまった。5/20

オレは電話で起こされた。家に電通と博報堂の連中が来ているという。我が家にはモローイ部分があるかから、そこに跨って至急修理せんけりゃならんそうだが、その嘘ほんまかいな。5/21

東京駅の駅員事務所の傍で制服に身を包んだ元D社社長のミズノ氏を見かけた。静岡県で隠棲しているはずなのに、こんな所でなにを? 今更第2の人世という年でもないのに、と謎は深まるばかりだ。5/22

久しぶりに昔の恋人に再会したので懐かしく、どことも知れない町はずれをさまよい歩くのだが、どことなく実在感が希薄なので、本当に彼女なのかと首をかしげている。5/23

せっかくリモートを誓ったのだが、どうしても3密、4密、5密、6密状態に戻ってしまうので、それが人間の本性なだとようやく気付いた訳よ。5/24

老いたる両親を東京のあちこちに案内し、ふと気づけば2人ともいないので、懸命に探したらなんと横須賀線の始発電車に乗って発車を待っていたので、さすがだてに年は取っていないなあと妙に感心した。5/25

私たち元同級生は、いまなお太陽の如く光り輝く彼女のためならどこどこまでも付き合うぜという固い決意を互いに披歴しあいながら地獄の底へ降りて行ったのであった。5/26

その僻地の僻映画館では私が観たいと熱望していたさる名画を上映するというので、朝から期待して待っていたら、上映の担当者が泥酔してフィルムをかけられないといので、激怒して宿に戻ったら、映画館主が恐縮して映写機とスクリーンを持って訪ねてくれたので感激しましたね。5/27

久しぶりに郷里に帰省したら噂を聞きつけた新旧の友達が次々に来訪してくれて、元電通でいまあはその傘下の下請け会社で営業をしているときくワタナベ君が訪ねてくれたので、驚いているところだ。5/28

ヘビ捕り娘のおじいちゃんとおばあちゃんと仲良くなりました。3人は次々に現れる大中小、赤青緑のいろんな蛇の首を後ろ側からエイヤっと捕まえてはおらっちのほうへ投げて寄越すので、たまったものではありませんでした。まる。5/29

晩年のモザールは思いついたらどんどん適当な楽章をこさえて、それがある程度溜まるとセレナードにしたりピアノ協奏曲にしたりしていた、余が適当な川柳が溜まると泥詩抄に転送していたように。530

私は交通事故の後遺症で右腕が痛むので、病院のリハビリに通っていたが、いつも右腕を大根のようにぶら下げていたので、医師たちから白い目で見られていた。5/30

その公園の深い池から吹き上げる臭素が人々の鼻に異常な影響を与え、彼らをして原因不明の殺人事件を惹き起す要因になっているようだ。5/31

 

 

to know * 知ること

 

さとう三千魚

 
 

more and more
I don’t know

more and more
Jeez

I don’t know

to know
I don’t know

I want to be by your side

so
thought

from Seattle
You taught us english

Someday
While looking at Tacoma Fuji

Drink beer
I wanted to talk to you in english

I was a bad disciple
I was a spoiled disciple

You have gone far

suddenly
You have gone

do not know
Jeez

I don’t know

to know
I don’t know

I don’t know your death

We were by your side
I want to be by your side

ますます
わからない

ますます
まったく

わからない

知るということが
わからない

あなたの傍らに
いたい

そう
思った

シアトルから
英語を

教えてくれた

いつか
タコマ富士を見ながら

ビールを飲んで
あなたと英語で話したかった

だめな弟子だった
甘えた

弟子
だった

遠く行ってしまった

突然
行ってしまった

わからない
まったく

わからない

知るということが
わたしわからない

あなたの死がわからない

傍らにいた
傍らにいたい

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

すばらしい雲

 

原田淳子

 
 

 

島の身体
干あがって、湿って、混じり在る
岬の手
陽を浴び、他者の恵みの葉

太陽は輪郭を解放し
雨は輪郭を際立たせる

天から溢れる羽根で服を編み
ふたつの羽根を持つ鳥の真似して
島から飛び降りた

堕ちるあいだ
雨は光へ還り
百年ぶりに夢をみた
あなたの眼がひらいた瞬間
島が燃えた

ねえ、エトランゼ
あの、すばらしい雲
あなたの心臓のようだったわ

“一番好きなものは何?
教えて、謎めいた人よ
父親、母親、妹、それとも弟?

わたしには父も母も、妹も弟もいない

じゃあ友達?

そんな言葉は、
今に至るまで意味を知らぬ言葉

祖国?

そんなものがどこにあるかも知らぬ

美?

女神や不死神なら、好きになっても良いね

金?

きみが神を嫌いなように、わたしは金が大嫌いさ

いったい何が好きなの?途方もない異国の人よ

わたしが好きなのは雲、
あそこに浮かんでるあの雲、
あのすばらしい雲”

ボードレール「異邦人」 
Charles Baudelaire « L’Étranger »

 

 

 

すべてがBIOに向かうので区別がなくなっている~顔が八割れ

 

工藤冬里

 
 

7月13日-18日

7月13日
Asegúrense de las cosas más importantes

バド・パウエルには弟がいた。兄そっくりのピアノを弾いた。彼にも音楽が詰まっていたが24歳か何かで事故で死んだ。クリフォード=ローチの「チェロキー」で彼の一世一代のリリカルな場発が切り取られた。彼の編曲の才能は次の「jaqui」に如実に見え隠れしている。。

ぼくはジャズ喫茶でほとんどのことを学んだ。だがそれを社会に生かしきれていない。

イブニングで市川マサ先生がA-BOUT!の続編を始めておられる。まだ生きててよかった

7月14日
女性セブンがシオノギまで待てと言い始めたが男性セブンは酸化グラフェンに5Gを当てる
gettrは位置情報晒すのかと思ったらgetterだった

ヘンデルヘンハイドンハイ会長

Estos son los que salen de la gran tribulación



宇野亜喜良

猪木のデビュー時を思わせる若い南京櫨(ハゼ)
実は石鹸や蝋燭になるとゆー

ユーミンを聴きしをれば虹日和雨は針のごと肌を刺したり

スダチと山椒の酎ハイはツマミみたいなので酒が欲しくなる

自販機の下で仰向けの蝉がけたゝましく啼いていてうるさい

一番町の酔笑に秋田の新政()いいが何種類かあります誰か
https://www.sakagura-press.com/sake/covid_19_5_ala/?fbclid=IwAR0dYw3LoKBfczvkHOuEskWTkz5ORRTjo14wfKj8DxKPeXp3TkNW_wZOkxc

7月16日
https://saicoroworks.tumblr.com/?fbclid=IwAR38eFv_1igJK52_BzV12mLRYHQNSMzFttOrrUDgsOaFMB9dCygUIcKNu_8

世の中の音楽全部止んだので体の電源全部切ってアーシングするのが死の眠り
本当のことを言おうか

こいつらが人間なのか

タジキスタンに手紙を二通書いた

ない本がピアノの上にあったので
マトリックスも誤作動ですかと言った
代わりのものを見つけた

7月17日
雨の人類
国ではなく人類を主語にする大上段なひとが増えて雨は朝を降らせる

Mi yugo es suave y mi carga es ligera

五輪雨晴れ人類居なくなつてゐる












































































































7月18日
https://twitter.com/_YukioHakagawa/status/1416417794686472193?s=20

しにたいしんたい
したいにしたい

いたいたしいし
したにいたいし

アフガン撤退は9.11劇場の終焉を演出するものである
Afghanistan Withdrawal Prompts End of 9/11 Theater
https://twitter.com/EdClowes/status/1415960242303684608?s=20

衣服のように仮想敵を変えるから衣服が仮想敵だと思わされているが
敵は衣服ではない
靴下を手に履いて後ろ向きに歩いてもバグなど生まれない
親の痴呆を見つめる冷ややかな視線に似た悪魔のアパテイアはどんな奇矯な裸のパフォーマンスに対しても眉ひとつ動かさないだろう

顔が八割れ

Every plant that my father did not plant will be uprooted

 

 

 

#poetry #rock musician

 

松田朋春

 
 

おれはいまから
じぶんをひとじちに
しをかこうとしているんだ

んだ
がただしいのかな
のです
なのかもしれない

あそこにあるごみが
なくならない

家事の音も聞こえている

しあわせだと言えたことがない

猫に聞く

結束バンドで首をしめるのが確実だと考えて
そのことをずっと
考えている

龍角散のイメージが
ときどきある

赤い結束バンドをAmazonで買って
あちこち使っている
シャワーカーテンのリングとか

結束バンドのことをよく考える
米国の逮捕現場では
親指を重ねて
手錠替わりにする
ほんとかよ

あともどりできないところがすごくすきだ
だから結束バンドは
赤にするべきなんだよ

赤に

はやくしなければ

 

 

 

なったらしく

 

道 ケージ

 
 

脱皮しようと
もがく
すでに手はなく
脱ぐのは苦労

体液がひどく臭い
うまく脱げない
また嫌われちまうな
「生理的に受け付けらんない」
アクアラングの脱ぐより
ツラい
脱いでも一緒

足は何やらバタフライぎみだが
すでに足なく
妙にばたつく
これ脱皮じゃないよ
呑まれる途中
もがき出てんのかも
まぁどっちも同じ
消化されたらそれになる

歯が当たって
シャーってうるさい

被ってなよ
借り物競走みたい
人殺しの顔して
手癖足癖が悪い
非道の言葉もシャーと同じよ

つけんだりや
殺めたりや
シャー、シャー、シャーって

 

 

 

眼球の人

 

村岡由梨

 
 

大人たちは、少女の私を見る度に、
「無邪気で愛らしい」と言ってくれた。
皆の愛のこもった視線の先にいるのは、いつも私だった。

バイオリンのお稽古へ向かう電車の中で、
向かいに座った不潔で醜い男が、私のことをじっと見ていたので、
私はスカートの下の両脚を少しずつ開いて、男を見つめ返した。
男が、私の股の間を凝視する。
男は、股の間のその先にある“もの”を欲しがっている。
それは、熱を帯びた私の邪悪な眼球だ。
穢れた水を湛えた眼球だ。
男の穢れた視線と私の邪悪な視線が絡み合って、
しっとりと下着が冷たくなるのがわかった。

しばらくして停車駅に着いたので、
私は何事も無かったように電車を降りた。
何食わぬ顔をして、バイオリンの先生の家に向かいながら、
さっきの男と駅の公衆便所で事に及ぶことを想像して、
私の眼球は破裂寸前だった。

自転車のサドルで
階段の角で
あらゆる方法で、
幼い私は快楽を貪った。
行為の最中、私の虚ろな眼球は、一体何を見ていたのだろう。

そして今、ホンモノの真っ当な行為を終えて、
裸でベッドに横たわる自分を
深く恥じ入っている。
幾度もの快楽を経て、二人の子供を身ごもったことを
後ろめたく思っている。
ベッドのある部屋には、私のポートレートがいっぱい飾られていて、
たくさんの私が、無言で、じっと、私を見ている。
暗闇で、私を見つめる、私 私 私。
「あなたはきれいだよ」と言ってくれることもあれば
「この穢らわしい悪魔」「死んでしまえ」と言われることもある。
その中には眠が描いてくれた私のポートレートもあって、
「ママさん、ママさん」と優しく呼ぶ声がする。
顔の中心に線を入れると、
半分は優しい母親の顔
もう半分は邪悪な顔。
私の邪悪な顔を知ってもなお、眠は
私の母親としての顔を、変わらず信じてくれるだろうか。

2021年5月31日。
眠は、私たちから遅かれ早かれ決別をすることを宣言した。
「ママさんやパパさんはどうしてそんなに私を苦しめるの」
私の中の眠が、真っ赤な涙を流して泣き叫んでいる。
母親すなわち私の視線が交錯する部屋で苦しむ私から
逃れたいのもあるだろう。
逃げて逃げて行き着く先が空っぽだとしても、
もうそこに私たちはいない。
自由だ。

私は、眠の若さに嫉妬する。
そして、そう遠くない未来に、
眠が私の手から離れていくことに、
思いがけず動揺している。

今はまだ、私たち家族のために
かき氷機でかき氷を作ってくれる優しい眠。
赤いシロップをかけて「はい、どうぞ」と、はにかむ眠。

氷が溶けて、ぬるくなった赤いシロップがたゆたう。
かき氷機の鋭い刃がキシキシと光って、触れるのをためらう。
私たちが知らない場所で、
誰が「かき氷機の鋭い刃で手を切らないようにね」と
眠に言ってくれるだろうか。
私たちの知らない場所で、
手を切って怪我をしてしまうかもしれない。
真っ赤な血を流すかもしれない。
誰が傷付いた眠を手当てしてくれるのだろうか。

先日、眠が16歳の誕生日に種を蒔いたひまわりが花を咲かせた。
芽吹いたひまわりは、私の身長を超え、
あっという間に野々歩さんの身長も超えたのだった。

曇天が続く中、懸命に太陽の光を求めて咲いたひまわり。
黄色い睫毛の、渇いた大きな眼球だ。
生きようとする切実な眼差しだ。

眠と私の視線が初めて交錯した日を思い出す。
生まれたばかりの眠が、
白い産着を着せられて、
保育器の中からじっと、私を見ていた。
「ママ、ママ」と言ってヨタヨタと歩く眠の視線の先にいたのは、
紛れもない母親の私だった。
あの頃、私の視線の先にいたのは、いつも眠だった。

歳を重ねた今、手の中でコロコロと持て余していた
2つの邪悪な眼球を思い切り握りつぶしたら、
中から清廉で透明なゼリーが溢れ出てくるだろう。

ひまわりの花を見上げて
自分を恥じないで生きていいのだと、
私は私に言い聞かせる。
ひまわりがこんなにも美しくて切実な花だと、眠が教えてくれた。

 

 

 

すっからかん

 

さとう三千魚

 
 

もう
おとといか

その先の

日か

ひとりの
男が

会いに来てくれた

宣言の

だったか

それで
港の脇で

クラフトビールを試して
それから

別の店で

ビールと
日本酒を飲んだのだったか

その男に
なにも

与えられなかった

かも
しれない

すっからかんであることしか
与えられなかった

だろう

すっからかんは
死の

傍らで
生きるということ

かな

どうぞ
傍らで

この平らの
でこぼこの

この
世を

生きてください

生きて
ください

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

「今=ここ」に生きる日本

 

工藤冬里

 
 

7月5日
¿Debe recurrirse a personas muertas en pro de personas vivas?

ここはいつかさんも知らないだろう

7月6日
En conformidad con los deseos de sus corazones,

私は非正規の図書館車ドライバーですが家内が夜勤のヘルパーを辞めるので合わせて100万あった年収が50万になります。年金はありません。食べられる雑草もあるそうなので別にいいですけど。 https://twitter.com/mainichijpnews/status/1412089738035535876?s=21

7月6日
https://hakone-shisseikaen.com/

安土さんから自家製の、作る時間帯によって分けられた太陽の塩というのと月の塩というのをもらったのですが、太陽のは荒く焼きものに合いそうで、月のはパウダーみたいにふわふわでなんとなく甘い。昼と夜でこんなに違うものかと驚愕。筵に海水を掛けて作るのだろうか。

7月7日
百合系の収納の隙間に翳すと読み取る「好きじゃないのに」
野営地の洗濯を待つ肌のバーコード
口を尖らせ品格を落とす家具の引き出し
煙るミルクの寿司皿の果て
やまゆりはランドリーを欲している
三角のジャムを湛えた喉
ユーフォーは芋
刃物を植える畠の端

long goodbye
https://twitter.com/i/status/1412411383178727440

Como una tempestad entrarás, tú y todas tus partidas y muchos pueblos contigo

高知で打った瞬間に死んだ人が出た。比率で死を測るなら車より安全ということになるが、その論法で自殺の比率を考えると、ワクチンよりも車よりも危険なのは人体そのものであるということになる。「人」を禁止する方向に意識は向かう。AIはそれを掬い上げ、形にする。

7月8日
株価の抗いようがなく流れて蝉アイス舐めつと立って戻らない 独り
昔は揺れるのはいつも他人と思っていた
今は震源地が自分の隙間だと気付いて揺れるひとりとなっている

地鳴り

蛙は鈍感だから終わりが来ても啼く
蚊も律儀だから兵器のようにエア習字する

地震随筆「快復」

恢という字がわたしは怖い
恢という字が怖いので恢という字が怖いということを都々逸にしてみた

冷たい灰を右手で掬う恢という字はなぜ怖い

恢という字がわたしは怖いのだ

この眠りはまずい,と寝ながら考えている
口を尖らかして
政治家のように

chushi – Made off
supernalsofttouch.blogspot.com/2021/01/chushi…

音楽家が音楽を避ける負の断崖にそれは成立する

豚の飛び込む断崖
素麺みたいな滝

リアルを玉音と取り違え
断崖を攀じ登ろうとする非音楽

そこから枝分かれしてゆくcartoon
の現在

地蔵や龍が出てきて終わり

わたしの体は罪の神殿〜とか言えなくなった
体はもう人工物なので自分のものではなくなっている
草や生き物にデザイナーの名前を入れておくべきだったね

ていうか
私は〜
とか言うのさえ
もう馬鹿らしくて
ドレイに一人称なんてないよ
彼、でいいよ
物なんだから

SSWは滅びる
飲み屋のように

インスタントラーメンのような雨
インスタントラーメンのような夢

ランタナ

Los razonamientos de los sabios son vanos

ヒメオウギ装飾的なシルエット

河童をかわたろと読ませて蕪村月

ミニトマト転がる上方にペダル

熱風に晒されて
紫がかった青味を帯びた懈さ
洞窟も
鍛冶屋も銭湯も
奴隷も鰻も
ヨセフ流の国有化も
ベトナム由来の物流の遮断も
私たちの夢は全て実現した

最近死んだ知人のことを思い出しながらだと運転もゆっくり

幸福は無くて延命の夜がある

7月9日
必ず間に合わない

ペンギンは子も始めから猫背

Un compañero verdadero ama en todo tiempo, y es un hermano nacido para cuando hay angustia

起きたらこの不条理、というのが吾妻ひでおの出だしにあったが起きたらこのテンペスト
https://youtu.be/UiSjNOnJF6w

見上げる二兆個の銀河の
一つとして欠ける名はない
星が燃え尽きてもヒトのような復活はない
私は燃え尽きる星燃え尽きた星
寄せては返す飽きないきれいな深層海洋大循環の千年
2トンの岩が6メートル飛び上がる
砂でコントロールする荒波
森はシロアリがいるから大丈夫
温厚で正しい人はシロアリの地上で永遠に暮らす
ゴグは連合体 雹は暑さのなかに出来る兵器である
鯨はオキアミだけを待ちマグロを待たない
それらは皆、あなたが与える季節ごとの食物を待つ。
あなたが与えると,それを食べる。
あなたが手を開くと,良いもので満足する。

自己修復する骨の先端として爪

TM(transcranial magnetic stimulation/経頭蓋磁気刺激法)と5Gを組み合わせて地獄の針山がツボ刺激になりましたみたいな

https://youtu.be/F6J0g4cBBtQ

中国
格言だけの国
日本
印象を述べる所感の国

7月10日
血がザラザラ

El temblar ante los hombres es lo que tiende un lazo
人​ヘノ​恐レハ罠​トナル

園芸植物や家畜のように設計図が改変された人体は人工物として特許の対象となります。(特許を主張できないのは自然物に対してだけです)。特許を取るのではなくヒトが特許になるということです。特許は金銭でファラオ等に委譲することが出来ます。でも最大の恐怖は自然物への特許が主張される今です。

レファレンス事例あり蔵書に無いので調べたら短編集の表題群であった。化物蠟燭という本であった。木内昇はのぼり、と読み女性なのであった。蠟という字が書けなくて、指で押し広げて拡大し予約カードに記入した。ところが、である。果たしてそれは棚にあったのだ。借り手は去っていて後の祭りだった。
借り手を帰してしまった化物蠟燭を手に取れば装丁滝平二郎とあり、そういや以前八郎を借りた人だったなと合点がいった。最初は隣の小平次という噺で、老婆の彼女をかれ、と読ませているところに目が行った。

7月11日
建物の横にシロアリのための丸太を転がしておけばそこで生態系が回るので家には来なくなるのではないか

意外なことに多くの人は相手にしてくれなかった
言葉に疑いを抱かない人は幸せ
調べるべきなのは家系の詳細
身元調査されるのは背乗りとメシア
5Gが見えると言い張る信仰

TVドラマの人情物の筋書きのようにパターン化されて短歌、
眼荒れる俳句、
それに対して、伝統を避ける異物として見せてもいい詩は矢張り重要な役割を持たされている

学校や病院を建てたり慈善事業を行ったりはしない

説明できない強力な行い

前は海
て歌があった

南の女王は復活してきた人を断罪する

ヴェイユには知らない理由があって集められている

いつも金属を確かめて
言葉を浮かせようとしている

チェックリスト
どんな答えが出るとしても認める必要がある

エンジンは二気筒の専心
何をではなく何故行うかしか関心を持っていない
知っていることを表すこと
畏れのブレーキ

正されちゃってください

7月12日
¿Puede el hombre terrestre hacerse dioses cuando ellos no son dioses?
90過ぎたお婆さんが寄贈したいと持って来る本がなかなか渋い

¿Puede el hombre terrestre hacerse dioses cuando ellos no son dioses?

 

 

 

#poetry #rock musician