光の疵 ベルベットのほつれ目

 

芦田みゆき

 

 

逃げるように陽が落ちて、
湿ったベルベットの夜が、
あたしの皮フを締めつける。

その日、
あたしは衝動的にバラの花束を買った。
バラは冷たかった。

あたしは、バラと一緒に夜の公園へと入っていく。

 

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一枚、
また一枚と、
闇の中であたしは白を脱ぎすてる。

するとひりひりと痛むのだ。
バラの棘が。
あたしの皮フが。

擦りあうほどに震える表面の曖昧な境界。
痛みこそがあたしのかたちだ。

 

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ベルベットの夜にうまれたほつれ目は、
闇に溶けることはないだろう。

あたしは立ちあがる。
そして、
光へと帰ってゆく

 

 

 

 

バイバイ

 

爽生ハム

 

 

連れていって路面の羊たちよ、私らを波止場へ連れてって
連れて、

呼吸はほっさのダンスで連れてっ て、波止場とハンカチを求めてるから。ハンカチの姿、私の胸ポケットで水を吸う。私の胸ポケットで泣け、

葬るしょうもない何かがバイバイや。
もしかしたら
人の涙を願ったりカッコつけたり、偽善だった、あの拭いてくれは私の笑顔でねじこまなければ、いけない?消失ごと?

ぞっくりと…

細工する姿を見つめ、ひと息したら…皆の涙を拭いて回りたい。

その頃の、私は何かにつっかえて消えてるだろう。ハンカチで人の涙を持ち帰って嬉しさ反面、すぐに洗濯機に入れて、もう捨てるのさ。