今朝
早く
岐阜に行くと言って女は
出て行った
わたしは
浜辺で
写真を
撮ったりした
日常には
物語があるなどと
いったら
ややこしくなる
鈴木志郎康さんの極私は
このまえの詩集で
ついに
わたしが消えた
昼寝から目覚めた
昼の
光がまぶしい
今朝
早く
岐阜に行くと言って女は
出て行った
わたしは
浜辺で
写真を
撮ったりした
日常には
物語があるなどと
いったら
ややこしくなる
鈴木志郎康さんの極私は
このまえの詩集で
ついに
わたしが消えた
昼寝から目覚めた
昼の
光がまぶしい
「お父さん、虫歯の英語ってなあに?
「虫歯、虫歯の英語かあ、バッド・トゥースかな」
「バッドトース」
「そうじゃないよ。バッド・トゥース」
「バッド・トース」
「お母さん、よろしくお伝えください、ってなに?」
「ごきげんよう、のことよ」
「よろしく、よろしく、よろしく」
「ぼく、佐々木蔵之助ですお」
「佐々木耕君じゃないの?」
「違いますお、佐々木蔵之助です」
「佐々木蔵之助さん、こんにちは」
「こんにちは」
「ぼく、タカハシさんに『手とまってる』『やり直し』っていわれちゃったよ」
そんなやつ、お父さんがやっつけてやる。
「お父さん、さらにってなに?」
「それに加えて、っていうことだよ」
「さらに、さらに」
「お母さん、けっきょくってなに?」
「ほんとうのところ、ってことよ」
「けっきょく、けっきょく、けっきょく」
「お母さん、フツウってなに?」
「フツウねえ。フツウ、フツウ、フツウは普通ってことよ。耕君、普通に戻ってみる?」
「僕、フツウに戻りますお」
「そうか。よし普通に戻るぞお、いち、にの、さん!」
「お母さん、宝物ってなあに?」
「一番大切なものだよ。耕君、お母さんの宝物って何だか分かる?」
「…………耕君だお」
「あったりい! それじゃあ耕君の宝物はなあに?」
「お母さんだお」