島影 13

 

白石ちえこ

 
 

紀伊長島

車一台が通れるほどの狭い路地の商店街は定休日なのか閉まっているお店が多かった。
半分開いていて、半分閉まっているような洋品店を覗くと店の奥に古いトルソーがあった。
トルソーはまわりのものに埋もれているようにも見えたが、別の次元に存在しているようでもあった。
近づいて行くと、トルソーは棚の上から私をじっと見つめかえした。