三つ巴

 

工藤冬里

 
 

歳を取るほど忙しくなるのは
時間が減って休息を許す余裕も減るから
狂わないで
一文字違うだけだ
ここがほんとうのはきだめなら
却って背筋を伸ばせ
水道管は殺された
涙の蛇口とか
農業は一月早まった
キウイとか
実話現代
ボルヘスの国から来た人が
共有相手が見つかりませんと言って
ドロップを呉れたが
人殺しの味もしたし
温泉で野菜売るか
と突っ込み革命
確かにナスの焼いたのしか
作らなかった母は
身罷りし父を悔やみ
カードが出てこない
よし寝よう
時間つぶそう
空耳ドンドン

映像が積み重なって
その天辺で男が歌っている
映像の天辺をどれにするか

話し方じたいは救いになれない
まやくのぼくめつはできない
あんさつされるのでコントロールできない
サタンと私達の不完全さの三つ巴
顔の上に線などない
恭しくあるべき
男が出来たのかと思われてはいけない
症例エ×ラルド
細線端
行って淫行の妻を娶れ
労働と安息の対立ではない
大抵のことは三つ巴なのだ
企業と労組の対立ではないのだ
爽××××
話し方は描線に似ている
いつからそんな書き方になった
家畜も仕事をしてはいけなかった
石組みの会堂
帆布
古城の窓が緑
亀裂
波が洗う岩礁
楽にして食べて飲んで楽しめ
過酷な奴隷状態
ねる機械
שבת sabbath
テレビのパロディー
やぎの角のドアノブ
宿舎から違う

 

 

 

自由

 

松田朋春

 
 

猫は日向で眠っている
夜更けには出かけて
首輪をなくして帰ってくる
生まれてすぐ
避妊手術をして
恋からも未来からも
自由になった
毛皮で傷がわからないから
自由に生まれてきただけにみえる

そうしよう
男も女も
生まれたらすぐ
100年もすれば
おろかで卑怯な国が
すっかり片付くのだ