広瀬 勉
#photograph #photographer #concrete block wall
ふとしたときに
なにかの合間に
かつて友からの便りにあった
おもはゆいということばを
思い出しては想像する
おもはゆいこころもちであった彼女は
いまどうしているだろう
はたして
わたしはおもはゆいということばの
彼女の意図するところを
きちんと掴めたのだろうか
おもはゆいはそんなふうにわたしのまわりを漂って
手をすり抜けるようにしているのに
ある日ぬんと表れる
おもはゆさとはこんな感じだろうか
いや違うだろう
何年経ってどんな人生になっていても
お互い関係や思いが変わらぬままというのは
憧れではあるものの
すれ違っていくのを感じるとき
それが重なるとき
彼女のことばは表れる
照れくさいほどに顔を会わせたくなるひとたちの
一人ひとりを思い浮かべては
ぼんやりとしてしまう
それらはわたしのなかにある記憶で
現実の彼女彼らではないのだろう
この世界は
思い浮かべるほど広くなりまた狭くもなる
思いこみの世界なのか
あまりに膨大で
深い海のように