無一物野郎と、詩と無詩と

 

さとう三千魚

 
 

大風は
過ぎていった

風はない

緑は
揺れない

散髪した

野郎が
いる

そこには何もない

一昨年の
正月

志郎康さんは書いてる

“詩って書いちゃって、” *
“どうなるんだい。” *

そして

“それゆけ、ポエム。” *
“それゆけ、ポエム。” *

二度
繰り返している

志郎康さんは
詩のないところにいった

大風のあと

詩のないところにいく
そこに志郎康さんがいる

桑原正彦がいる
死者たちがいる

そこには何もない
そこには全部がある

つげ義春の峠の犬もいる

五郎ちゃん!
五郎ちゃん!

そこに
いた

無い詩を書く
無い詩を生きる

ふっ


息を

吐いてみる

 
 

* 鈴木志郎康の詩「詩」より引用しました。

「詩」
https://beachwind-lib.net/?p=21192
 

 

 

#poetry #no poetry,no life