真夏のサンタクロース

 

佐々木 眞

 
 

仏に会うたびに、仏を殺し
詩に会うたびに、詩を殺してきたおらっちだったが
寄る年波ゆえに、疲労が困憊してきたよ

でも、今日は朝からいい天気
コロナに感染して、長の自宅療養を強いられていたから
偶には息子のコウ君と一緒に、近所を散歩してみようじゃないか

「ほら、この道の先に、赤いポストが見えるだろう
そしてそのポストの先に、小さな橋が見えるだろう
それを左に曲がって、ちょいと進んだところに
車椅子に乗ったおじいさんが、いるはずなんだ」

コウ君は、大阪道頓堀のグリコの看板のように
両手を高く掲げ、まっしぐらに進んでいきましたが
満面の笑みを湛えて佇む、車椅子の老人を見て
「お父さん、お父さん、おばあちゃんちの前に、サンタクロースがいるよ!」
と叫びました。

すると、あの有名な詩人のシロウヤスさんは *
いきなり車椅子を乗り捨てて立ち上がり
「おらあサンタだ! サンタシロウヤスだあ!」と声高く宣言して
おらっちのコウ君と、ガッツリ抱きあったのでした。

 

* 鈴木志郎康(1935年5月19日 – 2022年9月8日)