さとう三千魚
夕方の鐘が鳴った
西の光が
明るい
障子には
白木蓮の葉を青くひろげて
葉の影が
揺れている
朝には
雨はあがり
女は灰色の
車で出掛けていった
モコと
ふたり
見送った
雲が流れていた
サラダを馬のように食べた
それから
一日
冬の毛布を洗った
ベランダの物干しに掛けた
ディキンスンの詩をコピーした
たくさんコピーした
どこにも出掛けなかった
高橋悠治のピアノを聴いていた
風が吹いていた
雲が流れていた
* 高橋悠治のCD「サティ・ピアノ曲集 02 諧謔の時代」”スポーツとあそび” より
#poetry #no poetry,no life