Between ourselves he is a little foolish.
ないしょですが、あの人は少し馬鹿なんですよ。 *

 

さとう三千魚

 
 

He was looking at the west mountains this morning

He was looking at the west mountains hiding in the clouds

today too

He was talking to a dog

“It’s Micchan!”
“Is Moco-chan?”

He hugged the dog
Was talking

A pair of haguro dragonflies in the garden

Already
Gone

Did they give birth?

Did they give birth and died?

Between ourselves he is a little foolish *

 

 

あの人は

今朝も
西の山を見ていた

西の山が雲に隠れるのを見ていた

今日も

犬に話しかけていた

“みっちゃんですよ!”
“モコちゃんですか?”

犬を抱いて
話しかけていた

庭にいた
つがいのハグロトンボが

もう
いなくなった

子を産んだんだろうか

子を産んで死んだんだろうか

ないしょですが、あの人は少し馬鹿なんですよ *

 

 

*twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.

 

 

 

皆殺しの天使

 

工藤冬里

 
 

羽根が生えて困るが
声は出ない
終わりが進むにつれ
部隊はやまだかつてない記号と意味の乖離を経験していた
戸口の血を踏まないようにアモンラーメンの暖簾を潜り
年老いた長男を殺る
恩寵はサブスク
押韻矢の如し
黒い板を更新し
物語に加わる
無理解もミッションである
犬の顔たち
朝はかなかなはなかなかなかない
〽︎ばかだねばかだねばかのくせに
ら抜きうどんで生き残れると思っていたなんて

 

 

 

#poetry #rock musician

There is safety in numbers.
数が多い方が安全。 *

 

さとう三千魚

 
 

this morning
west mountains can be seen

gray sky
under

there are grayish black mountains

the government
postponed distribution of 80 million cloth masks

to stockpile

Is it a funny joke?

There is safety in numbers *

 

 

今朝は
西の山が見える

灰色の空の
下に

灰黒色の山がいる

政府は
布マスク8,000万枚の配布を延期

備蓄するのだという

笑えない冗談か

数が多い方が安全 *

 

 

*twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.

 

 

 

温かな未来

 

工藤冬里

 
 

気の滅入る情報は最小限​に​
落ちた胡瓜を可能性として料理する
蝉の腹から伝わっていく梅雨明け

<接触しようとしている>

遠い近所のパン
集落は一族の陰謀なので
ヴォネガットが政体を同姓クラブに変えても
変わりようのない未来に変わる

 

 

 

#poetry #rock musician

I wonder what has become of his sister.
彼の妹さんはどうなっただろうか。 *

 

さとう三千魚

 
 

listening to “hatch” **

Listening to your saxophone
Listening to your cello

The first time I heard your soprano saxophone

Was it Kofu city

Was it Sakuraza

After the fermentation of the grapes is over
Listened

There was a distant image

I wonder what has become of his sister *

 

 

“hatch”を聴いてる

きみの

サックスを聴いてる
きみのチェロを聴いている

ソプラノの
サックスの

音の

はじめて聴いたのは
甲府だったか

桜座だったか

葡萄の発酵が終わった後で
聴いた

そこに遠い俤がいた

彼の妹さんはどうなっただろうか *

 

 

*twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.

** “hatch”は、Yow Funahashiのソプラノ・サックスとチェロによるCDタイトル.

 

 

 

死刑

 

工藤冬里

 
 

子供の頃から知ってるが
天才だった
でも今は商売の邪魔になるから消す

奴が消えることで
すべてうまくいく
everything’s gonna be alright
生き返られちゃ困る

腕白でもいい
たくましく育ってほしい
でも生き返られちゃ困る

生き返られちゃ困る
あったかーいお部屋で
つめたーいカルピス

ぶん殴れ
唾をかけろ
違法裁判でもいい
生き返られちゃ困る

 

 

 

#poetry #rock musician

He made no end of excuses.
彼は際限もなく言い訳をした。 *

 

さとう三千魚

 
 

before noon
for the first time in a long time

Sunny

I saw the nostalgic blue sky

I thought
also

Rain
started to get down

Is it heavy rain?

suddenly
start strongly

leave fast

He made no end of excuses *

 

 

昼前
ひさしぶりに

晴れた

なつかしい青空を見た

と思ったら
また

雨は
降りだした

驟雨というのか

突然に
強く降りだして

早足で去ってゆく

彼は際限もなく言い訳をした *

 

 

*twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.

 

 

 

8月4日広島相生橋「すっからかん節」のための経哲草稿

 

工藤冬里

 
 


すっからかん
すっからかん
ジャックラカンも すっからかん
五百羅漢も すっからかん
三月四月 すっからかん
五月六月 すっからかん
七月八月 すっからかん
数年後でも すっからかん
吸うからいけん すっからかん
吸わなきゃいいのか すっからかん
ソーシャル・ディスタン スッカラカン
(振付:肘タッチ)

橋の欄干 手を腰に
はるか向こうを 眺むれば
十七八の 姉さんが
アニス羅漢果はバンド名
姉さん姉さん どこ行くの
スリランカカレー 食らわんか
私は九州 鹿児島の
西郷すっからかんの 娘です
薩摩焼なら 沈壽官
鞍馬天狗の アラカンが
かんらかんらと 観覧車

ワイン安けりゃ あっけらかん
楽観的な 約款も
TPPで すっからかん
あきらかなのは すっからかん
シーラカンスも すっからかん
乱獲されて すっからかん

アキラも明菜も すっからかん
ランタンパレードも すっからかん
キップ・ハンラハンも すっからかん
バート・ランカスターも すっからかん
ピンカラトリオも すっからかん
からゆきさんも すっからかん
スカラーシップ返せず すっからかん
夜間高校 すっからかん

ずらかんないと すっからかん
使えぬ薬缶と 水道管
餡から食べて 実を枯らす

すっからかん
すっからかん
ソーシャル・ディスタン スッカラカン
etc

 

 

 

#poetry #rock musician

幻想の家族

 

ヒヨコブタ

 
 

暖かな家族だったと信じて
生きてきた

いまではその幻想も冷えきってしまった
ほんとうのことを思い出すというのも
それを認めるというのも
とてもおそろしいことだった

置き換えてすり替えてそのひとらを擁護したくても
もうできない

もうしなくていいんだ

子どものじぶんには罪がなかったと言ってほしいと何度も願った
父の前では笑顔になる母に
なにか些細な代表に他のきょうだいではなくわたしが選ばれたことに憤慨する母に
お前が選ばれて嬉しいと
そういってほしかった
ただそれだけだった

一般的ではないということは
共感を得づらいということなのか
家族の話は
幻想としてしか他者には話しづらいのは

老いと病を得たとき
近づいてくるそのひとの
こころにある凶器は変わらないことを
もう認めようか
振りかざされてからでは
遅すぎるのだ

もう戻らない
何度もよみがえると
こころが壊れてしまうから
母の存在を意識のなかでは消してしまわなければと思う
誰の迷惑にもならぬよう

誰かより目立たず誰かより褒められないことが
生き残る術だったなんて誰が信じようか

小さな家の箱のなか
もう二度と足を踏み入れたくない箱のなか
あの箱のなかなにがあったのかを
あのひとがどれほど飾りたてようとも
閉じる

 

 

 

flock・(羊・鳥などの)群れ

 

Michio Sato

 
 

I may meet the flock

on the beach

in the high sky
to fly

view

in the blue sky

white feathers
plunge

They pierce the sea surface

bite the fish
fly away

on a sunny beach
sometimes I meet the flock of terns

 

 

その群に

出会うことが
ある

浜辺で

高い空に
飛ぶのを

みる

青空に

白い羽がしなって
急降下し

海面に突き刺さる

魚を咥え
飛び去る

晴れた浜辺で
アジサシの群れに出会うことがある

 

 

*タイトルは、twitterの「楽しい英単語」さんから引用させていただきました.