ふたつの詩のある風景

 

工藤冬里

 
 

最後に一言いいですかあ▶は新聞読めるだろうからきっとコロナのことだったと思う▶最初から言ってくれればわざわざ自分がやらなくてもよかったのに▶ほんとは知ってたんでしょ▶

eighteen▶and dreaming

東の人は分からないだろうけどjoyfullに黒豆茶がなくなったのは許せない▶代わりにドリンクバーにはピーチティーというのが入っているがそんなの飲まないよ▶徹夜してる人種には黒豆茶の優しさが必要なんだ▶ファミレスのホームレス▶スレを立てたらフェミにはマジレス▶psfはプロレス▶太ったロックンコレステローラー▶ニールヤングはホープレス▶スペイン人かゴンザレス▶日航レスキュー坂本九▶下着はなんとシームレス▶レスザンゼロのキャッシュレス

歌のラインより高い音程の伴奏には三味線の音色が自在で特権的である▶耳は声と弦を同時に聴くが我々は弦を無意識に虫の音と同列に置く▶ギターだと二人格を聴くことを強いられることになる▶フォーク野郎のギターが凡庸なのはギター人格を押さえ込もうとするからである

道連れ

NullPo▶guts

ルルは非道い物語だ▶ベルクとしては中の人だから見えないんだろうけど▶まあ殺されて終わるから帳尻は付くが

夢はオールスターだった▶客商売の人の夢には客が出てくるんだろうか▶その人にも毛根があるんだと思うのも気付きと言う乎▶明け方 そんなには寒くなかった▶突然 チビ太はママになりました と口を突いた▶東から素直なメッセージで▶ハーネスではまめに換気して声は使わない▶とあった

hey Zach, is being in Europe no longer able?

春は春とて夜は夜とて単管の▶音色の栄誉に与れば▶師とは呼ばれぬ揚雲雀▶上がり下がりの寒暖を▶鳴かず飛ばずの興行の▶見えぬ掟に震えつつ▶筆舌尽くしてWiFiの▶見えるウィルスに乗せましょう▶見える電波に乗せましょう

ウィル・スミス▶ミス・ウィルス

〽︎神戸 泣いて どうなるのか▶感染された我身が みじめになるだけ▶神戸 船の灯うつす▶濁り水の中に 靴を投げ落す▶そして ひとつが 終わり▶そして ひとつが 生まれ▶夢の続き 見せてくれる▶宿主 捜すのよ▶〽︎神戸 呼んで感染る店か▶傷ついた免疫系が みにくくなるだけ▶神戸 無理に足を運び▶眼についた名もない 花を踏みにじる▶
そして ひとつが 終わり▶そして クラスターが 生まれ▶誰か うまい 嘘のつける▶バンドマン 捜すのよ

そして埼玉

着々と進む花見の準備

マックの店長やってる夢みた

はなれ瞽女おりん▶ピック▶▶ニックに▶ぴくっ▶憎い

くるしみぼろぼろ▶くるしみほかほか▶くるしみふわふわ▶くるしみしゃきしゃき▶くるしみはぐはぐ▶くるしみギィーンギィーン▶ビールをストロングゼロに変えるようにかなしみはくるしみに変わったのだ▶くるしみによって認知の進行を防ぐ

ロックダウン

アーカイブ化に沈潜し春を軽んじる

耳障りなプロコフィエフは終わりの時になお稼働するATMのようだ

夢見たものは ひとつの幸福▶だとか▶〈私には 何が ある?〈私には 何が ある?▶だとか▶誦じているが▶〈それが何になるのか▶深夜のファミレスで▶不味いカフェオレを飲んでいるおれ

A列車のテーマの繋ぎ目は地下鉄のドアの開閉だということにやっと気付いた▶ということはハーレムの手前の各駅に対応している筈だ

即興をあるべき位置に置く、とか言い続けてきたわけだがこれでやっとわかっただろう一番大事なのは音楽でも自分でもないということが

ビーツなら栽培してもいいかな

小学生まで「これまでの人生を振り返って」などという作文を書いて自らのアーカイブ化に勤しんでいる

今頃は長野の盆地の夜景が綺麗だろうな

朝一番早いのは▶寝てない屋のおじさん

闇はシームレスなので闇だらけという用法は当たらない▶それに対して光は光源の数だけ存在しうる▶闇は打ち勝つことができない

安全は平和とセットの二番手で目立たなかったのがここに来て平和より先に浮上してきた▶戦争する力はなくなるので終わりは安全だ平和だという宣言から始まる▶安全は平和より上に来るということに気付かなかったのは氷河期の狭間で安寧を貪っていたからであろう▶ここに来て玉置浩二が浮上してきた▶安全バンドてのもいたな渋谷屋根裏で▶絶対安全剃刀という漫画もあった▶今やジジェクもウェルベックも残雪もアイラも「安全」という本を書いている筈だ▶鉄コン筋クリートのシロもクロをあんしんあんしんと宥める代わりにあんぜんあんぜんと言うようになる▶人間が結束して何かに立ち向かおうとするとき人類は滅びる▶映画を観るということはその反対のプロパガンダに晒され身体にそれを刷り込まれるに任せるということだからウィルスと一緒である▶アナーキズムは平和のみに、アンチナタリズムは安全のみに対して考え出されたカウンターでしかない

▶

突然のあつまれとびだせどうぶつの森会議に唐突な胸肉のアップ
下付きの顎の鮭に生まれた方が良かった
どの子も可愛いは嘘ね
英語の発語の愉楽は即興では出来ない
問題は毛深い
法的に納車し廃車にする残酷な春を
輸送の菜畑に賭ける
正当性は得てしてこの平野部を覆う故に
人の傘は小さすぎる
小さい傘が百円皿に張られて
キッズはココアを舐める
溶血の空はみどりの聚楽壁に映り出て
鎖付き眼鏡は幾度も死を乗り越える
黒い鞍馬天狗が六本木ヒルズのように聳え立って
前屈みの俳優は雪達磨型のアイコンを呼び寄せる
梯子を上り下りする水のやり取り
成り行きで工事する粘土の庭
広い天蓋を張れるなら
殺意は無縁のままだ
はだらのほどろのまだらが火のついてないストーブから立ち昇る
家に来る豹がコロナに罹る
クラスターはエメラルドの空のなかで溶血する
灯油を買えず氷を買うエスキモー
道路の写真の灰色を眺め続けてアーカイブを完成させる
胸肉がそんなに分厚く取れる鶏って一体どれくらいの大きさなんだ
鮭だったら良かった
下顎を突き出して高潔さを捨てず海を泳ぐ
積算で支える赤いメンテナンス
秘蔵の笑顔の灰色写真を眺め続ける
善意をダウンロードして敵意をアップロードする
誓うことができないラクダが
フィットネスクラブで体調を崩した
気取って泳ぐ太平洋
泳ぐ能力は否定しようがない
イクラは何の子ですか
鮭の子なのであれば何故イクラ丼はサーモン丼より高いのですか

監視拒否より安全を選択する時に人間社会は終わる▶戦争などでは世界は終わらない▶安全によって終わるのだ

いろいろと考えたことはすべて無駄に終わるだろう

こども電話相談室を流していたらブラックホールでは点も潰れている、と聞こえてきた▶点が潰れるということは抽象概念が潰れるということだからそりゃすごいなと思った

幻影が見えるまで起きていると恐怖心から本心に立ち返ったと誤解することがある

▶

泣きの寂(サビ)にストンと落ちるマイナーの
窓枠から眺める春の写真
どの春も同じだった
取り返しがつかなかった
菜の花は咲く前に
蕗の薹は伸びる前に
柿の芽は太る前に
採らなければならなかった
眺めせし間に世は過ぎた
区切られた枠の期間を黒いカーテンが仕切った
その枠の中で倅に説明しようとして
光合成の頭を磨り潰す
白犬連れた二人
白いミニバン
フレームの中の動画の道に
注入され続ける桃花
道作りの倅に死なれた
損失に
補填され続けるペースト
同じ写真を削除し続けると
どの春も悔しかった
チューブは悔悟を出し切って
今年も炎が芽吹いた
擬古典様式を装って
教えようとする春休みの垂直抗力
願わくば花の下にて春死なむあの如月の望月のコロナ
網戸の声がにちゃにちゃして
化調で育った焼きそばの記憶のような確からしさ
そう、蓋を取り、
水に証印を押す
これはコックピットのように鮮やかだ
色のない旗が振られ
濃い落ち着きと重量と
エフェクトのない竹林の静止
わたしの羽搏きさえも捕らえられた
招待の鉄の甲羅が張り伸ばされるのは胸か頭か
最早地上でこのフレームを見る気は失せる
風は何処から再び生まれるのか知らないのであれば
風を問うてはならない、とは逆北條だ
いわれを問われる→ぬはよい。問われるままに、こたえる→ぬ都であったから。笠をぬぎ、膝へ伏せて答えた。重ねて北條と。
石原には城の石しか見えなかったのだ
このテントの垂直抗力
早く脱ぎ捨てたいわけではないが
別の服を着て命にのみ込まれたい
赤い薄い手を拡げ
知り得ぬ空を

 

 

 

 

工藤冬里

 
 

証明写真の背景に寒色が入っている
ふたつの人格がエネルギーを掛け流しにしている
瞬間に倫理はない、という着古した欲望の流れ
寒暖の差額のように綱から踏み外し続ける
血は樹木のように枝分かれして
入れ替わるかもしれない顔を形作る
姓が食い止めているのは何の氾濫か
蒸せ返るような苦々しさの小石が紅い
ハグする正しさの井戸を塞ぎ
掘り返して命名する緊張を学べ
シルエットは人質の解放を夢見させている
落語家か梟か識別出来るほど日は伸びて今はしんとしている
有名な俳優に翻訳されていく夜
猫の理解と比べてみる夜の目
染めた髪と白髪の同根の緊張
毛根に光を当てて
自分を描け流す
なんで猫が退屈しなければならないのか
最も大事なことをなぞるなら樹木は折れる
ヤギの白が一七℃で
政権など何の考慮にも値しない
赤縁メガネにピンクの雲が絡まる
答える必要がないことに答える奏法が無駄
折れて斜めになっても伸びるミモザ
猫の叛乱
原因が分からないので暴れているのだ
コンパクトな室町様式の肖像画の直線に猫の哭き声が被さる
ブルドーザーはニカニカする
銀は寒暖に降り注ぐ
生きている人は死んでおり
死んだ人は死んでいる
コロナの人はコロナを生きており
コロナじゃない人はコロナを生きている
今日という日のいらだちを
通過させるのはETCしか使えないスマートIC
全て発掘して陳列させられる格言の疫病
アメリカの形がシルエットになっている
やましい発音としてのあーたとわたいたち
背景色は黄色が良い
創造界のデザインに見られるヒョウ柄
ヒットエンドラン×2
抗癌剤でニット帽
無緑感で散らされる
日本人かどうか区別するのは
パンシロン色のニット帽
老齢ローレライ
シンプソンズの瞼
椅子は猫にoccupied
編笠の風化と共に
黒鍵は指に昇られてゆく
病気と
金欠
老齢
あたいたちとあーた
安普請
どのICから入るか
ツバメ国道で吃る
闘え!コロナウィルス!
昔は一度言ったことは取り消せなかったが
今は指が滑ってストーリィさえ消える
写真術の進歩などない
梅は落ちた
柿芽は食べる
テカる人間価格
ちんちちゅじょで柿の芽は膨らむ
薄汚れた毛皮の不興
和紙の道はコウゾ
雀の居なくなったworld
我ハトのごと翼ありなば
声はギンとハウる(シェールの”Do you believe in life after love?”みたいに)
石切りのように消えてゆけ
自由になって命を軽くするより
正しくなくてもいいので重くする
大抵のアナウンサーはそうではないが
きっとズボンも履いているに違いない
顔が物語っている
私の闇
レッツゴー役立たずと唄っていたが死んだ

 

 

 

あ、と@ー

 

工藤冬里

 
 

@-
あなたなしで
@-
違いました
奇効 卓効 の 違い の ように
蓬でも摘み
あなたが居て
(絵画の季語を更新したからにはドイグは)
あ、場所がないってことは
ない場所で書けってことか
いよいよだな
すべての連結をばくてりあに代行してもらうさだめの時が到来しました
ぼくはその間泳いでいよう
頭を地球にして
運転なんぞはばくてりやに代行してもらおう
さいぜりあかさいぜりやかも決めてもらおう
そしてぼくは遠い外国に旅に出よう
あ、遠い外国なんてもうないんだった
じゃあ上池の土手を一周しよう
その間に何人死ぬるかな
あ、死ぬるはこっちの方言だったごめん
つい出ちゃってサア
ずっとろくに寝ないで働き続けている
空いた時間は自分の遺品を整理している
僕が死んでもうずいぶん経つので記憶が薄れてきている
人の名前をとうとう一親等くらいまでしか覚えられなかった
ほとんど味噌と納豆を食べていた
彼はオープンカフェが好きだった、という墓碑銘は、もっと行っておきたかった
たなぁというような意味に過ぎない
身体は歯を外に押し出そうとする
子らの歯が浮くのはこのためだ
裏を表に表を裏に
民家なのに自販機置いてる
眠いですさんたまりあ
と象は言って寝ました
自営やフリーターにも援助が出るっていうけど現金くれるんだろうかファミレスで寝てはいけません
横になれたら死んでもいい
あ、わかったストロングゼロ6缶pとか現物支給だと思う
そう理に手紙書いてその配達をいちおく円で請け負おう
音楽はいつも向こう側を流れている
音楽は川ではなく川の向こう側を逆流している
川に釣り糸を垂れても音楽は作れない
作りに行く音楽は川で海の魚を釣り海で死んだ川魚を掬うようなものだ
コロナのせいでしばらく図書館車を止めるという電話が入った
棚の隅で古井由吉か白石一文フェアを設えようと思っていたのに、
そういうことです
と言われた
昔、里見弴やゴーチェの文体について話していた時に角谷が言った、
彫琢のある
という山口弁の言葉の響きがまだ残っている
粋な看守の計らいで
朝マルシェで見たけど東温でもビーツ栽培してるひとが居(を)るんやね
バンドマンは腰にも木綿のバンダナや絹のスカーフを身に付け羅紗の云々
代車?
おれは代車だったのか
@-
あなたなしで
@-
爆睡フライデー
3.11
空白空0フゲロ phygelus
ええ、固めで
薄味にしてください
あとは普通で
(古井由吉遺作を読んでいる)
空白空0ヘルモゲネ hermogene
はーい
(デマスに)ネギイチカタウスです
空白空0デマス demas
はいよ
(フゲロに)薄めでも飲み干したら世界は同じことだ
糸井批判は贖いを薄めるため、
道連れのライブハウス最終兵器彼氏はポアと同じ発想
老人死
見渡すかぎり
サガミハラ
2°Cか
思えばテロは文明であった
文明は恐竜のように滅び
ウィルスは虹運動の果てとしてヒトとの婚姻届を出せるようになる
権利が認められたのだ
前に同じことがあった
労働者から少数民族に移行した後家畜に目を向け最後は単一プランテーション批判に行き着いたエコロジーの、
更にその果ての死後のアルシーブとしてのレピと似ているのだ
その爬虫類顔への流れは、エデンの命名の逆を行った。存在よりも翻訳の方が大事なのだ。逆行の獣姦としてのコロナの顔にこそ反逆者の王冠があった
言語より翻訳の方が上に来るので似姿の失敗はコロナの顔に転写されてゆくのだ
ヒトは瀬戸の花嫁
ウィルスからウィルスへ
翻訳していくの
幼い弟
コロナと泣いた
オトコロナだあったら
ないたありせえずうに
父さん母さん大事にしてね
やだコロナ目がない
美女と野獣と思えばいいのよ
もうじき国が目を描き入れるわ
じゃあ行きますと答えるリベカ
夫は立ちション(誤訳)黙想しても感染しない唯一の希望の星だった
希望は絶望
絶望は希望
ウィルスのように増えたので
人間のように増えたのだ
能記所記
肺炎初期
裴氏とカイジ
分断熱38度線維持
はいはhigh
いいえはyeah
ハイヤー理不尽川
李夫人と裴氏
奇天烈コロナリ
モータウン
それは牛の町
ベーブ・ルース
コロナイン南港
裴氏の色やね
一旦バキューン
丹波牛
脳林水産大尽
カフカ保護
株価変身
コロナイダー
カローラコロナソアラの三人
おころのみ焼
なろうなろうコロなろう
あすは肺炎の気になろう
おんころな人は肺を受け継ぐでしょう
おところんところんな
公論な
「殺な」糸井貫二
ころならまんせい
コンコンハクション
コロナロー
コロナあ、と@-
ヨーヨーマ
芙蓉蟹
厚労省
コーロー麺
(いや紅楼夢、かな)
オペラナブッコロナ
神戸のお菓子と言えばコロナンバン
餡ころくださいな
ナンコロ?
6個な
炭火?
コンロな
ころなずむ黄昏
こころなはずむビギン
二人でつつくコロ鍋
絶対出てくるコロナート
放射能:人命保護
テロ:文明保護
コロナ:人類保護
の三層のパイ生地
増えることは減ること
減ることは増えること
うれしいことはかなしいこと
かなしいことはうれしいこと
生きることは死ぬこと
死ぬことは生きること
見えないものは見えるもの
見えるものは見えないもの
昔はトリチウムがそうだった
今はコロナだ
トリチウムは生き物ではない
コロナはばくてりあでちゃんとした生き物だからきみとも結婚できる
セリーヌがまんまと医者になれた論文「ゼンメルヴァイスの生涯と業績」は
手を洗うという行為が見えないものと結びついているという布教に終始しているが
見えないものに対する感受性こそが作家の資質であり
それがフィリピンパブに拡散しに行くことにも繋がっていくのだという怖ろしさを
セリーヌ自身は免れているという仕掛けになっている
聖セリーヌ全集は真っ白な装丁にすべきであった
フィリピンパブに話を戻すが
崖っ淵の豚の群れ以来の道連れの自棄は
サガミハラを経て
拡散の自暴となって目に見えるようになった
何回も繰り返すがこれはポアであり
無意識の陰謀論的人口削減願望のユング的現われであると言える
芸術の優先順位はそのダークサイドに直面しつつも、ピラトの手の洗い方ではなく、セリーヌの白さを持たなければならない
管は避け弦かデジタルにする
マスクして戸は開ける
アルコールがないなら焼酎を噴霧し続ける
急に1℃になった
手にハンマーを持て
という歌がかかっているが
コロナの魂がひとつ
飢えた虎に身を差し出す
きみも死んジャイナ節
全米が死んだ
鎖国して触る鎖骨
骨粗鬆和尚
射殺せよと呼ぶ声が聞こえ
バグワンが沢庵をバクバク
唇にチック
目頭2:50
PayPayペンペン草
一遍遍上人
ふだんはさえない少年・石野あらし。だが、ひとたびゲーム機に向かうとき、その才能が目を覚ます!!
ホケキョと啼いて踵を返す死んだ女房の近視顔
風邪っぽい
栄光
軽んじる
くさみどり
000あるくまね
菜の花はリングの中
眠いのでダンスの軸足がふらつくが
アトリエの埃だと思って光を浴びる、
シーク教徒のターバン
ああ
あなたなしで
ああ

 

 

 

(電信柱が)

 

工藤冬里

 
 

電信柱が
遠近法に従って立っているけれども
小さくなっていくわけではない
でも本当に小さくなっているのだとしたら
わたしたちの悩みは
遠近法に従って立つべきだ
善悪よりも遠近の方が重要なのだ
青空は愛する
連なりの奥の
奥の
遠い夜の
その遠さを

 

 

 

もうだめだ

 

工藤冬里

 
 

こんなのはまだ序の口ですよ
人々は恐れのあまり気を失うんです
そのあとそれを諸国家の力で克服したように見せかけて
そこで本当の終わりが来るんです
スペイン風邪の年に生まれたA(百歳)は
車の中でそのように述べた

事は簡単ではない
書けない言葉がある
年老いて妊る正しさに曝されて
不愉快でもある
追い出される者がいる
物事は
イカの存立平面上にある
追い出された子に弓を教える
番える間が子育てだ
がエジプトから妻を貰うと
矢は放たれたままとなって
今日に至る
世界を彷徨うムハンマドは弓を習ったのだ
彼はすべての人に敵対し
すべての人は彼に敵対する
だから
悪気があるかどうか
だけを見てほしい
半面だが嘘ではない正しさの外の荒野を
ナレーターの声色で進む
荒野に抜け道はなかった
イチジクを枯らし
兄弟を許し
コンビニの界面を撫でるムハンマド
咳が出てきた

こんなのはまだ序の口ですよ
人々は恐れのあまり気を失うんです
そのあとそれを諸国家の力で克服したように見せかけて
そこで本当の終わりが来るんです

ギターを失くした渡り鳥
〽みーんな去年と同じダヨ
バッサリのバの音が足んねえ
何も忍bazz腎臓擦り潰し麺打ち
腰のある麺打ち
ブラック徳島という店に入った
そこから抜きつ抜かれつして帰ったら2時だった
それからギターを失くす夢を見て
血合いの側をアミに押し付けた
百舌が枯木で啼いている

こんなのはまだ序の口ですよ

手に取るように手に取る
クリックするようにクリックする
眺めるように眺める
でも打つように書く

人々は恐れのあまり気を失うんです

空の青
撮れる自分を撮りながら
撮れない自分を撮っているのか

そのあとそれを諸国家の力で克服したように見せかけて

「はやくおきすぎたあり」
ありはにわからはいだしていえのなかにはいってみましたがなにもありませんでした
ストーブははるがいちばんあったかいな
といういえのしゅじんのこえがきこえました
おしまい

そこで本当の終わりが来るんです

免疫力をつけるには寝るのが一番です
相模原事件を扱った辺見庸の月というのを読みましたが、震災以来よく見られる、厳粛さを勘違いしたジャーナリストの浅さのようなものを感じます
放射能やコロナを神の位置に置くと晩年を身辺整理しやすくなるので彼らはそうしているだけです
ご自愛ください

こんなのはまだ序の口ですよ

風邪の表情

人々は恐れのあまり気を失うんです

雪の山がごつごつしているなあ
遠くにあるのに

そのあとそれを諸国家の力で克服したように見せかけて

周章テル乞食ハ貰イガ少ナイ

そこで本当の終わりが来るんです

ピダハンよりも随分前に書かれたボルヘスの「ブロディーの報告書」は、ひとまとめにして把握されたくないホモ・サピエンスの宣教師の欲求を字にしたものだ。
権威において常に下位に置かれることを潔しとしない被造レジスタンスは、カフェの炭水化物の眠気の中で、ネフィリムの遺伝子を夢想するだけだ。
それを食べる資格はない!と夢で警告を与えられたのなら、田んぼにトラットリアを出すな。
永遠に、そうです永遠に、
と言う時の口馴れた’そうです’
親になったなら心に刻み込もう
現生人類の子供は親だけのものではないこと
鳥のマスクで逃れようとして
星座は酢飯の稲荷の黒胡麻と教え
畳まれた油揚げの襞を存立平面とする
大阪のライブハウスでそのばくてりあに這入られ、高知で発症した
番えられはなたれるまで歌留多する

こんなのはまだ序の口ですよ
スペイン風邪の年に生まれたA(百歳)は
車の中でそのように述べた

 

 

 

マスク

 

工藤冬里

 
 

マスクの中で
湿った呼気は循環する
補聴器の中では
アイルランド緑の藻が張り付いた自分の声が
ホルンのように響く
殻の中は
白茶けた岩場を往くさまよい飽きているロトの
視線だけが蒸れている絵画で
外の世界とは界面で接している
微笑みは透過しない
ピンクのプラスチックの蝶を着けたうた声は透過しない
外を愛している人はいない
外にあるものを愛しているだけだ
幸とは土の下に¥があること
ガメラの肉は思いの外柔らかかった
アジの開き運動に参加したら硬くなるだろう
マスクの内側にあらゆる色も闘争も塗り込められている
睫毛の演技で外を征服する
微笑みは透過しない
かつてはあった、あらゆるものを透過するジンの草いきれ
全ての年号は遠くなりにけり
年号の人は鼓膜を透過する声を識別できず、雷が鳴ったとしか思えない
マスクメロンの外側は地図の送信に曝されている
果肉色した絵画の中で
つり革を握る諸個人が
ひかりのあるうちに犀になって夕を歩んでいたとき、
ひかりと思っていたものは絵の具だった
フィルターで淹れられたうたは滓を残した
それはスペイン語の冷蔵庫の臭い消しに使われた
暴発的な咳が
沢山のビッグバンによる、沢山の内側を創り出した
微笑みだけは、
透過しなかった

 

 

 

spring without winter

 

工藤冬里

 
 

「冬なしの春」

 
文房具屋のノートにはもうだまされなくなった?
「うん」 低い声だった
それから
笑い転げた

着膨れした現存在が十六夜に躄(イザ)り歩く
全き春を脱ぎ捨て寒暖は灘に消える
花は自分で根を引き抜いて放浪する
これは俺の永仁の壺なのだ
私は純粋に遭難した
雨の音は私を食べている音だった
私は、私がちっぽけな存在であることを思い知らされました
私は白骨化しました

「語呂はあってるかもしれんがそれだけじゃねえ。真実を突いてんだ」フアン・ルルフォ「北の渡し」

19世紀末から20世紀初頭と比べると進歩というものは殆どなくなっていて葡萄玉くらいの雨の音で起こされ警備のバイト忘れて辞めたいけれど制服一式失くしていて辞められないまま21世紀も随分過ぎている

白について書かれた本には原研哉の「白百」があった。ハン・ガンの「すべての、白いものたちの」もその系譜に属すが、両者を比較すると白磁の苦闘のようにして白の上の白が見えてくる。

冬なしの春なら二月の手帳には「暴力革命上等」と記す

 

「冬なしの白」

 
活字吹雪の梅ヶ枝に
声色使う朗読の
〽あんたは必ず、多くの国の人々の父となる
遠い稜線は心には仕舞い易い
カニ道楽色の廃油の路地
スレッドの絡まりは鞠として蹴られ
四代目が戻ってきた
今の流れがこうなるということを予告していた
息子は息子のまま老人になり
メダリヨンは魚の額に貼りついていた
月の暦を追う時の温度
ハルは冬なしでやって来て
洋風のインド語族の白を盗む
赤い糸の貼り付く地表
なんの教訓があるというのか
九十で子を産め
執事は助けてくれる
カレー食わないのか
オチのない崖っ淵の
白亜
その白はヒンと言う
還元の石の青白
その玉を
ひとりで持っている
イチジクは
死ななければならない
べらんめえ調の真理はあるか
どうしたら種子から殺せるか
法外な埒外の清浄
近道に使うな
地表は中庭なので
怒りの赤糸が展がる
岩盤を削り事故に至る
数日後の死に向けて掘鑿していく
スリムな俺が喋る
いつまで金属を舐め続けるか
大流行は特色のひとつ
目は電子版に馴らされ
ディスプレイに血が飛び散る
白羊色てウールのことか・・・
ぎょっとして星々に振り向き
昼の不足の奪略を星々に誓う
星々に誓ったりするからだめなんだ

 

「コロナ」

 
こうなろうと思ってあの頃奈良から六甲にトンコロしたわけじゃないんですがこの子ナロー粉野郎コロッケ何個なん?とか泣かれコロッと太陽黒点コロナイダーになって熟れたナローロード

「語呂はあってるかもしれんがそれだけじゃねえ。真実を突いてんだ」フアン・ルルフォ「北の渡し」

蕗の薹幾つか採って一つ遣り
蕗の薹浮かべて春に苦さなし断頭の日の密かにくるう
蕗の薹浮かべて春に苦さなし暖冬の非に密かにくるう
これからはDJも詩も参加型だね
コミュニティのないラッパーのように

 

「歌謡ショー」

 
leprosy
India song
1918年から1919年にかけて流行したインフルエンザ(スペイン風邪)は感染者5億人、死者5,000万~1億人でした
太陽の中を人の形をしたものが歩いているのが見えます
内側を食い尽くすものが反転して
地上では外側が汎デミックの氾濫
ちなみにうちのエアコンはコロナ社製
朱鱗洞もそれで死んだ
最近平気
細菌兵器
地震併記
自身兵器
too wetな日本のジャズ
代償としてのフリージャズ
涙目のパトロン
網走番外地の歌詞の文法的破綻
その裂け目から生まれている
wet wet wet
リュウグウノツカイの死体置場のモノローグ
腐乱
焼芋
三本の同じナイフ
切干

 

「the slope of cedars」

 
同じセリフ同じ時
というフレーズが露天で聴こえて
真の命とは永遠の命のことなので
入れ替わる従兄弟丼
死ぬようには造られていないので
ロトの二人の娘のトラウマ
従兄弟の伊作のようには
ミシュランなしで結果を味わう
永絶するものがある
珍の命
朕や貂や
島々の奪い取り
レアメタル・グラインド
筆致
線の代わりに彫るパイロットが
点検を続ける
好ましい変化を遂げ続けているでしょうか
池が妨げ、溜め池が!
茨の蒔かれた茨城県
富の誘惑富山県
高い生活レベルを維持したい
塞ぐとは完全に絞め殺すこと
無理な要求を掴むこと
首が曲がっている
民族を横断する顔が
傾いている 九十年以来
杉の列
切られたトラウマ
絵の根に毛が生えている
ヒヤシンスの根はポキポキ
杉のかたちに鋳抜かれている
jubilee
send all the punks away free
視聴覚教室
元気だった頃
澄ました声の九十六歳と
白い海生哺乳類の肌の
型押し
油紙に鋏を入れる
赤の反転塗り潰し
恩讐の彼方
ササクレのない渡り廊下
マッチ棒を刺して足
暇がなくなると思っている奴
無駄な労苦がなくなるだけだ
家に興味はない
穴でいい
煮て溶かす失透白
自由の中に白の斜線がある
jubileeには斜線があるのだ
杉の斜面が

 

 

 

三つ巴

 

工藤冬里

 
 

歳を取るほど忙しくなるのは
時間が減って休息を許す余裕も減るから
狂わないで
一文字違うだけだ
ここがほんとうのはきだめなら
却って背筋を伸ばせ
水道管は殺された
涙の蛇口とか
農業は一月早まった
キウイとか
実話現代
ボルヘスの国から来た人が
共有相手が見つかりませんと言って
ドロップを呉れたが
人殺しの味もしたし
温泉で野菜売るか
と突っ込み革命
確かにナスの焼いたのしか
作らなかった母は
身罷りし父を悔やみ
カードが出てこない
よし寝よう
時間つぶそう
空耳ドンドン

映像が積み重なって
その天辺で男が歌っている
映像の天辺をどれにするか

話し方じたいは救いになれない
まやくのぼくめつはできない
あんさつされるのでコントロールできない
サタンと私達の不完全さの三つ巴
顔の上に線などない
恭しくあるべき
男が出来たのかと思われてはいけない
症例エ×ラルド
細線端
行って淫行の妻を娶れ
労働と安息の対立ではない
大抵のことは三つ巴なのだ
企業と労組の対立ではないのだ
爽××××
話し方は描線に似ている
いつからそんな書き方になった
家畜も仕事をしてはいけなかった
石組みの会堂
帆布
古城の窓が緑
亀裂
波が洗う岩礁
楽にして食べて飲んで楽しめ
過酷な奴隷状態
ねる機械
שבת sabbath
テレビのパロディー
やぎの角のドアノブ
宿舎から違う

 

 

 

二月

 

工藤冬里

 
 

私達はあと数ページで終わろうとしていたが
新しい年はもう大分過ぎていた
村山槐太がだんだらの、と呼んだ紅梅色の空を
数えていくとトーンが定まってきた
また翼か!
ウージェニーグランデが
眠くても書けることを探している
馬の首を折る
せっかちな窮乏を
ほんとうに望んでいるなら
耳を揃えて私が払ってあげます
一日百円以下で生活している人が十億人居るのですから
今は悪い時代です
私達の終わるあと数ページで
予防ではなく結果outcomeに目を向ける

 

 

 

焼肉屋

 

工藤冬里

 
 

異言語が鏡に映って一対の羽根になり
滅ぼすことにした、と読み取れたが
窓の位置が箱舟だったのか
同じ耳をした一対が入っていった
眼鏡を外すと
ルクレツィア・ボルジアだった
すべての顔は大雨に打たれる動物のようだったので
地下の湖に滑り込ませた
顎髭の似合う顔を探し当てたが
それは困っている人の顔だった
人に恋するのか動物に恋するのか
どちらかにしてくれと言われ続けたが
かえって詩をビニール袋に包んで隠しておいた
切られた空が明るくなりはじめ
持っていない資産まで取り上げられた
僕は自分がひとつの頭陀袋になったような気がした
仕合わせそうな客たちの中で僕は誰よりも食べるのが速かった
それは食事ではなくなにか別のものだった
動物を焼く前に
千円札をぽろぽろ使って
シャワーだけは仕切り直せる個室だったのに
いくら浴びてもストラングラーズのドラムのおじさんみたいな襤褸切れだった
僕は全ての服を裏返しに着た
せめて真っ新のゴミ袋くらいにはなりたかった
強い風が吹いて洪水後の地面は乾いていった
羽根が生えてしまうので紙を裏返しにすると
紙が盛り上がってきた
虫でさえ翅がありそれらは手ではない
やり方を間違うと死ぬことになる
両手一杯分の粉末をもって入っていった
さびしいから人を呼んで腎臓を一緒に食べたい
羽根の先と先の間の空間に煙は立ち込めるか
フューズ管を覗くように異言語が語る
あなたはどうしたいと思いますか
ホルモンはなかなか焦げないです
命は決して終わらない