I have come to die with you

 

工藤冬里

 
 

裏切りに関しては
誰かがやらなくてはならないなら自分が
というのは後付けで
勿体ないという萌芽から始まり
乗っ取られるまで膨らみ
引き金は口に入れられた浸されたものだったが
それは熟した実の肩を叩くような後押しだった
感情移入の間違いは静止した分子モデルによって生じる
意思決定と自由意志は点ではなく
T細胞受容体がMHC分子を識別しなくなる時の
動的な線のモデルとして塑像化される
暴徒に転じることに関しても
色変わりは同じ線的なモデルで理解することができる
ニコがチンギス・ハンの嫁になって
共に死ぬことになった、と夢想する時
点だった六十年代的意思は免疫の角を隠し
欠落からの線の旋律が生まれている
裏切りの発酵の膨らみではなくジャコメッティの消去から
残った線が
平等の持続化給付となるだろう

 

 

 
#poetry #rock musician

夏(森川義信に)

 

工藤冬里

 
 

いきなりばさばさと
折り重なって始まる
手ざわり
ジーンズからコットンまで
千分の一ミリを見分ける指先の
快楽
有名人に関心を持つと感染するので
あるべきところに置く
zoomの音声を昔のラジオぽくすると
斜面は淋しくない
だが立っているのは難しい
粗い絆創帯を押さえつけようとしても
雑草の土手に憤怒は盛り上がる
池の端は夏がせり上がってきていた
鬱を超えて 
虫達と共に
アニソンのように 
置き去りにされた 
サンドイッチのレイヤーの隙間から左右を睨めつけていた
非望の詩人はビルマで戦死した
香川の観音寺の生家にあるいしぶみの手ざわりが
きっとこの夏だ
一句
土手の百合
勾配故に根に持たず

 

 

 
#poetry #rock musician

水面

 

工藤冬里

 
 

水から上に出ている顔の部分は
裏のようでもあり
また泛子(ウキ)のようでもあった
数えれば十一だろうということは分かっていた
家族だからだ
人殺しや出産のものがたりは
水面より下で起こった
そこが表なのかもしれなかった
それでも裏を裏返すのではなく
表を「表返し」たこの水の上で
わたしたちは真理を享受するのだ
善悪を裏返すのではない方法で
わたしたちは呼吸しなければならない

母は四人で
長男は異母と寝ていた
次男と三男は人殺しで
長女はグレていた
そのようにして
排他的階級制度の最下層に居たが
裏を裏返して咲くのは花だけで
表を表返した水の上では
四男の末は王になり
十一番目は総理になった

古いラジオ放送の音質で
百舌がキチキチと啼いて
背の高い女と背の低い女が向き合ってはなしている
十一人の平和な住まい
殺しのない安全な家
ステップファミリーの心休まる平穏な場所で再び生きること
とはいえ雹によってフォロワーの多いアカウントは倒れ
東京は完全に破壊される
全ての水のそばで
椅子からずり落ちてゆく
すっかり変わってしまった水の面が昭和のようだ
裏が表として水の中にあり
表が裏として水の上にある

 

 

 
#poetry #rock musician

獄中で詩を書くということ

 

工藤冬里

 
 

名前を呼ばれるとは死刑執行されるということなので
いつも一瞬飛び上がり
目を閉じて
覚悟する
誰も共にいない
描かれたことのない例外を、或いはその例外が全てであるような囚獄を生きている
成し遂げることが不可能なのであれば
アルシーヴ化も不可能である
これを詩にしてみよう
名前を呼ばれる
とは
死刑執行される
ということなので
いつも
一瞬
飛び上がり
目を閉じて
覚悟する
誰も共にいない
描かれたことのない例外を、
或いはその例外が全てであるような囚獄
を生きている
成し遂げること
が不可能
なのであれば
アルシーヴ化も
不可能
である
まだ詩になっていない
名前を呼ばれるとは死刑執行されることなので
いつも一瞬飛び上がり
目を閉じて
覚悟する
誰も共にいない
描かれたことのない例外
を、或いはその例外が全てであるような囚獄
を生きている
「成し遂げられた!」と言えないので
自分をアルシーヴ化できない
まだ詩になっていない
名前を呼ばれるとは死刑執行されるということなので
いつも一瞬飛び上がり
目を閉じて
覚悟する
誰も共にいない
描かれたことのない例外を、或いはその例外が全てであるような囚獄を生きている
成し遂げることが不可能なのであれば
アルシーヴ化も不可能である
詩にならなくても良い
名前を呼ばれるとは死刑執行されるということなので
いつも一瞬飛び上がり
目を閉じて
覚悟する
誰も共に居ない
描かれたことのない例外を、或いはその例外が全てであるような囚獄を生きている
成し遂げることが不可能だったのであれば
自分のアルシーヴ化は不可能だと分かった
名前を呼ばれたら
わたしは
死刑執行される
わたしは飛び上がり
目を閉じて
覚悟する
あなたが共にいないのは
描かれたことのない例外
その例外が全てであるような囚獄を
わたしは生きている
成し遂げられた、
と言えないわたしは
自分をアルシーヴ化できなかったことを知る

 

 

 
#poetry #rock musician

夜の立体駐車場

 

工藤冬里

 
 

夜啼く鳥の囀りが
立体駐車場に反響し
ブラックバードに似たその高音は
西洋に合わせた管弦の
千切れた胡弓のようだ
浅い夜
あなたのしようとしていることを済ませなさい
と言われて出てきた
モールに人気はなく
非常ボタンを押して歩く
立体駐車場の音響的結構は
ホタルの眠る長い夜を消毒してゆく

十一人は鳥のマスクをして食卓の主人を囲み
2メートル間隔で横坐りしていた
上座は奥の左だったがオットセイ達は気にしてないふりをしていた
みんなシャワーを浴びてるから体はきれいだけど
足はこんな風に洗い合いっこするのよ
先生、オットセイなのでシャワー浴びないし足無いんですけど
と言う俺を見上げて先生は
アガペーなのかアッカンベーなのか
困ったような顔をされて
あと一日で死ぬオットセイ
と仰った
まさかわたしじゃありませんよね
はいお口あーんして
介護士の感染はこのショッピング・モールもガラガラにさせた
俺に這入ったくすりには虹色の未来が入っていた
それで俺は部屋を出て
モールの管理人に知らせに来たのだ
ブラックバードが
啼いてますよと

 

 

 
#poetry #rock musician

ADHD夫

 

工藤冬里

 
 

鳥蹄魚の目は泪というような人ではなかったが
真っ向から対立しない限り
脱ぎ捨てる
迷いがない
呟く
ADHDによる経済的な損失はこの三月から五月までの自粛の間だと 二十万くらいだと思う
夫の律法に従うと
柿の葉の濃い緑のひかりが室内に入って
明るく黒い 
ゴミ屋敷の手綱を引く
根掘り葉掘り

葉掘り

明らかに語調を合わせるための付け足しであるが
夫は明らかに葉を掘り続けている
情報を漏らす
コロナ出たのは三津の方らしいよ
目先の岬
鬱勃とラスボス
内密あんみつ姫
漏らすならお襁褓をさせなければならない
すいみん薬を飲ませて
日暮れには寝かしつけた
すると数時間後にお襁褓を履いた千体のアトムが出て行った

 

 

 
#poetry #rock musician

黒犬

 

工藤冬里

 
 

1. 死
自分の周りに竹林の仕切りが出来ていきなり音声が曇った
その倫理上の差を時間に置き換えて
風があっちからこっちへ吹いてくるちょっとの間だよ、

黒犬の歌い出しの前の
安藤昇が喋った
時間はチョコレートの板で立てられた河川敷の塀となっている
ほんとうに菓子の硬さであいうえを見上げた
がしがしと言葉は
階段を作ることができるほどに
切り出された

2. 復活
囚獄には鼠がいる
夢を囓り映像を分ける
子供を起こすように
呼ぶと
細胞のレユニオンが鬱勃と興る
居た堪れない死に方をした眠りから
お客さん終点ですよ
自分の作った器にもう一度会いたいと願
われないなら
仕返しを





無駄になってしまう
ティルス銀貨一枚は給料四日分だから百万くらい
街金マチウ書シロンが居たのに会計係だったということは
妹が居たということだ

3. 生
全世代が届かぬ高みから落とした刈り上げがキモい
その金で妹は
轡を噛ませた言葉の走りに賭ける
決着は何番目でも漲る体力が面白い
あのアニメなんだっけ
同時に多々ある理不尽
字が書けないからわかんないや
ひどい扱いを
受け
ない
よう
には
されなかった
相当な抑圧
を不安ごと
乗り越え
生計を立てる
大人の皆さん
とはあまり言わない
親の皆さんとは言う
全世代が抑圧を乗り越えることができる
戦中派の帰路は
あまりに単純だ
一緒にいる
というだけで
では一緒にい
ない
なら
どうなるのか小僧デイヴィッド

会計係の妹よ
生涯にわたって
年齢にかかわらず
生きている限り
日が
四分三十三秒の大人しい音無しの音沙汰を
風があっちからこっちへ吹いてくるちょっとの間だよ、

 

 

 
#poetry #rock musician

秘技ねずみ返し

 

工藤冬里

 
 

実際的な知恵とは七年間の貯蔵の為の
想定外を排した高床式とねずみ返しであった
あとは防虫ハーブ素材だがそれはミイラ化の経験値がものを言った
知恵は近視眼的にその部分を拡大し
あとは見えなくなった
フクシマについての見事な省察を著わしたのも記憶に新しいジャン・リュック・ナンシーはアガンペンに反論し、
「政府はこの例外化の哀れな執行者に過ぎない」と書いた
それでツァフェナト・パネアは政府批判の陽動に乗らず淡々と事務を熟した
金銭のペーペー化と例外的奴隷状態は前触れに過ぎぬ
琴線に触れるzoomコメントがねずみ返しだ

 

 

 
#poetry #rock musician

 

工藤冬里

 
 

死んでも床に物を置かないと誓約した部屋に持ち込まれた異物は
ごくごく基本的な飲み物
拙は坐って
なんだかんだで
から始まる都々逸を考えようとしていました
成し遂げられた
成し遂げられた
と言ってはみたが
なんだかんだで
死に漏れる
なんだかんだの傍で長い時を過ごしたら
to know nandakanda was to love nandakanda
当てはめて(五字冠り)
なんだかんだで
喜ぶ毎に
昇る螺旋に
嵌まりたい
対抗馬を認めない程
アーモンドアイ
速かったですね
毎日
人生全体で
裏表のスイッチはない
専用の場所から他のものを排除する
本来の家
死んでも床に物を置かない
何処から過度になるのかという問いを立てる
死に面して命を愛さないなら
やり過ぎてなかったということになる
磁極が入れ替わっても例外はない
善悪を愛して善悪を憎む
入れ替わることが多々ある
例外はない
なんだかんだで
まともになれず
多々あることだと
入れ替わる
なんだかんだで
抜け道探す
神田の外は
外神田
植え付けられて敏感に反応する
間違った考え方で口実を設けない
なんだかんだで
活けられました
枯れる口実
探す花
愛して避ける
善悪を愛するなら伝えようとする
王道愛せと
言われてみても
練馬で下りれば
あとは庭
死んでも床に物を置かないと誓約した部屋に持ち込まれた異物は
ゴクゴク99.99%基本的な飲み物
耳に穴
引き剥がす事はできない

 

 

 
#poetry #rock musician

20/05/2020

 

Tori Kudo

 
 

having been being caught up
There are ones that have been catching up with
me that hasn’t been working since
plums, cherry blossoms, wisteria
and fireflies at last
Even if they caught up
I would leave me just being overtaken
All of us will have been being rolled in the last picture scroll
Plums, magnolias, cherry blossoms, wisteria, jasmine,
then final fireflies
are chasing me with sickles
before my reaching the refuge city

 

 

 
#poetry #rock musician