川岸で女たちは見つかる

 

工藤冬里

 
 

うっすらとはみ出してゆく
盤の外へ雪崩れて
水平の斜面を氷河のように

ガス抜きを見抜けても
本体に属していない党派性など
ボンベごと爆破された方がよい

不安は和らがない
サメに喰われるので街路は進めない
薬剤では治せない

はみ出た貝の中身のように絶望し
どこから始めてよいのか信号待ちして
探りながら
閉店だらけの街道の
雨に濡れた舗道をゆき
川岸で女たちは見つかる

晴れた日も雨の日も
はみ出たまま
碁盤の街を潰してゆく

 

 

 

#poetry #rock musician

fantasizing a clean conscience

 

工藤冬里

 
 

過渡的であることに甘えきってぶら下がっているわけだがそれには二種類ある
前に寄せるか後ろに寄せるかのどちらかだ
それは曖昧なので共闘のふりができるがそれだけに厄介である
いつか追われ地下に隠れることになる
幼児期から迫害者の顔をして
原因も結果もない娑婆の中で
期限切れの缶詰を開け続ける
靴底から結果は上って来る
その時間を知ることはできない

 

 

 

#poetry #rock musician

liaison officer

 

工藤冬里

 
 

二つしかないゆえに
行き来する

行き来することそのものに意味はない

二つしかないということが重要なのだ

どちらに属するかを曖昧にするために
行き来の運動がクローズアップされているが

行き来はそのままに分かれ目を通過し続けて

失うのだ

 

 

#poetry #rock musician

期日を定めて箍の外れた

 

工藤冬里

 
 

期日を定めて箍の外れた樽のように
亀の子たちの咥えられてくるソファの
そろそろ冷房もきつくなって
扇風機を消そうにも夢は更に小鳥二羽を運び
身体は箍が外れていて
九月までは
九月になれば
それまでは

箍の外れた樽のように

 

 

#poetry #rock musician