風が時間を洗っている *

 

ひとりの女と
犬と

暮らしている

犬の名はモコという

風が
時間を洗っている *

時間は
見えない

そこにいるのに

見えない
子どもを連れている

歩いて
きた

遠い道を歩いてきた

風が吹いている
風が時間を洗っている *

モコの金色の毛が光っている

ことばは

時間は
尾をひいて

消えた

光っている
風が吹いている

 

* 工藤冬里の詩「あらゆる希望を超えて待ち望む」からの引用

 

 

 

黄ぼう

 

小関千恵

 
 

 

深夜バスの暗闇で

流れるまま書きつけていた

最後だけ ゆうれいのことば

かなしいゆうれいが 急にでてきて 元気になったら、とか 明日を見る、なんて

言って

そのまま
朝になるまでノートを握っていた

朝 光に映しても

読める文字だったので感心した

 

 

いつも光にかまけているね

そうして光の中で眠っているね

背中のいとの絡まりも見えないまま

光 さえ あれ ば かまけている わたしたちの

眠ってしまう からだの踊りよ