憶えていない

 

さとう三千魚

 
 

夕方に
帰った

帰って
冬里さんの詩

“なぜに泣かすか宗右衛門町よ”を
浜風文庫に上げた

“もらい泣きではなく死そのものをさびしく思う”

冬里さんは書いてた

それから
ビールを飲んだ

内緒で
缶ビールを飲んだ

モコが
見てた

平日は禁酒している
飲みだすとキリがないから

平日は
禁酒してる

それからメールを待ってた

こないから
ベッドに横になると眠ってた

夜中
目覚めると

横には

モコと
女が眠っていた

寝息がする

モコと
女の

寝息が
する

夢は見なかったのかな
憶えていない

最近
夢は

憶えていない

昨日のことは憶えている

日曜日の午後に
浜辺を

車で流した

曇り空の下のたいらな海を見ていた

 

 

 

#poetry #no poetry,no life