広瀬 勉
#photograph #photographer #concrete block wall
にゃーっにゃーっ。
海猫の声で目覚める。
内陸だが浜辺にいる気分になる。
この音色は2月になった合図でもある。
ぼーっと呼吸しながら、時を感じる。
大切な夢をみた気がして、時を辿る。
あぁ、そうだ。
「地球は感情の図書館だ」
夢の中で教えてもらったことを思い出す。
誰かから言われたというよりは図書館の映像に言葉が内側から入ってくる感覚、
不思議な感覚。
目覚ましのスヌーズを消し、出掛ける支度をする。
お湯を沸かし、茶葉を泳がせる。
図書館は私たちが求める資料や情報を提供してくれる。
文字と心が寄り添うことで、人生を追体験するような機会もくれる。
地球は求める感情を体験する機会をくれる。
そういうことなのか、
様々なジャンルを好む方もいるし、SFばかりを手に取るように、
きっと地球というところも。
なぜかふっと軽くなった気がした。
つぼみだったグラジオラスが咲きかけていることに気づく。
美しい生命だ。
もしかすると生まれてくる前に予約をした感情を体験することもあるかもしれない。
きっと思い出したくないようなこともあるかもしれない。
でも、今、
そう、今からはあたたかくて美しい本をたくさん借りて読む。
すべて自由。
そう決意して、あたたかい光のなかで風を感じた。
愛を感じた。
あぶなくってしょうがない
ご飯にネジを入れ
何に味をしめたか
カミソリが
ガリリと噛む
鮮血の赤飯
ぬるぬる丼
流石に死ぬぞ
「風呂場にあったから入れといた」
安全剃刀
お次に薬莢のふりかけ
「鉄分、体にいいよ」
どこで拾った
「富士演習」
おかず作れなくなり
久しいが
掃除が極端になる
一部を磨き大部を残す
ピカピカ光り
カビガビで真っ黒
衣替えも大変
あれもこれも捨てられ
本当の全とっかえだ
そんなにもあなたは
捨てたかった
カーテンが裂け
切り刻まれた隙間から
富士が白い
私は穴を掘って
そこに寝るわけだが
ウサギがカリカリ
でもその首ちょんぎって
何かにつけようとしている
可愛いからだ
歯軋りの街にダンプが
ウィドマンシュテッテン構造を
載せて月に引っ越す
少しの揺れで悲鳴をあげ
ドタバタ走って
本の山を崩す
鍛冶屋には無理だ
掃除屋も
何でも屋も無理だ
ダル絡みと言われ
脳汁を出す
どうも変だ
食卓に
洗濯物が並ぶ
山となったパンツやらシャツの間で
ヌードルすする
徹子の部屋を見ている
社会が誕生した
正真正銘
社会って奴
目覚めたばかりのコミヤミヤの頬っぺたの上
おはよって
両手で頭グリグリしたら
ふへはっ
こ、これは
社会的微笑って奴
乳児が人の顔認めてはっきり笑うって奴
新生児微笑って奴とは違うって奴
コミヤミヤ、ぼくの顔見て目細めて
静かに口の両端を逆への字に引き上げた
ぼくがパパだなんてわからない
誰だかわかんないけど顔がある
顔があるなら
誰かいる
誰かいるなら自分もいる
それで
逆への字
頬っぺたやわっと盛り上がり
顔に顔で返した
社会だ
コミヤミヤの柔らかな皮膚の上
社会が誕生したんだ
これから顔、次々現れるぞ
顔が顔を連れてくるぞ
よし、頭もう一度グリグリするか
グーリグリグリ
ふへはっ
ふへはっ
やった
正真正銘、社会って奴
ある日、料理をしないし、できもしない男が、
目に美々しい春のヤサイを、買い散らかした。
ミズナ、シュンギク、ホウレンソウ
カブラ、ジャガイモ、泥付き長ネギ
すると、男の妻は珍しく激して、かくの給うた。
「不要な食材は、ほとんど暴力である。」
なるへそ。いらんヤサイは、暴力なんだ。
こいつァ春から、目覚まし草。
Contessa, perdono!
許してたもれ。我が家の伯爵夫人。
胸が水になる高低差
monotonousな丘陵だった頃はなかった
石も柱も気球で運べ
蛇のために隙間も残して
セメントなしに3点で積んでゆく
熱水まで掘り進み円筒を下ろす
壊して、転用されたコンクリだ
今まで生まれて死んだ200億人
少しくらいは生き残ってほしい
#poetry #rock musician