広瀬 勉
#photograph #photographer #concrete block wall
柳で作った神輿をハマスの人々が担いでいたま
柳の木で作っ
柳を自分に似たものとして作った
どんなことがあっても良い決定をする事が出来る
雨は蕭々と降り人々は濡れ乍ら公民館に集まっていた
乳香を置いたりしてはならない
小麦2リットルに油や乳香を置いたりしてはならない
劣等感を感じたかもしれないが
捧げるといえばと山ばとは渡りをしない
いえばとでいいから
麦粉
血を流さない麦粉で
電線を通ってゾアルヘ
電線には蜘蛛も
貼り付いた白い空
癒して欲しいと
赦し
白い空に貼り付いた樹々の緑
シルバーの車体の奥に白その奥はピンク
雨滴
白い空に泰山木が中生代の図絵のように貼り付いている
ピンと跳ねた屋根瓦の端が
神輿を担いでいる
雨滴は透明に透明を重ねた汚れ
現実を担いでいた
一日一日の現実を担いでいた
山は白に白を重ねて汚していた
くよくよ
ルーマニアから来た
緑はた易く歪んだ
焼杉君は縦に貼られ
浪板は留められていた
雲は僅かに渦巻を帯びてきた
靴下が一番大事で
夫を殺す
夫デスノートのように緑
車たち
相手を尊重する言い方
過ちを侵させる
過ちを侵す相手を尊重する
分別は英語で
髪型といえばルール
ルールなし
ルールを作ることなく髪を切る
あ
お、ルール、髪切ったの?
寒い
胃が空
服かあ
心の房べり
病院には行けないからなあ
或る日と或る日の違いを確信
或る日は別の日に優っていると
各自が得心していなさい
完全な実現は健康だけです
イリョー行為
高齢になってくると遺された発達は
いつまで生きる雨粒
中に桐は居ない
柳と桐か
しなやかさは昔から
分別は英語で
#poetry #rock musician
おととい
かな
朝の庭で
涼しくなったな
そう
思った
モコのウンチをティッシュでひろって
ポリバケツのゴミ箱に
捨てた
モコはこのところ
温かい
サーモンと
キャベツと人参のスープと
薬と
サプリしか
食べていないけど
ウンチは
ウンチだった
涼しかった
風が通っていた
ポリバケツの蓋には
茶色のナメクジがひとり角を伸ばしていた
蓋の上に
白い道が光っていた
***memo.
2023年10月9日(月)、自宅で、
「 無一物野郎の詩、乃至 無詩!」として作った53個めの詩です。
工藤冬里ライブ「産む男」の日の朝に.
タイトル ”汚”
好きな花 ”サンカヨウ”
#poetry #no poetry,no life
―自由詩形式を使うのは
ある意味
もっとも原初的な文字の書き付けに
遡るっていうことだろうね
―そう
韻律さえ採用しない
最初期の
書きつけにね
―文章形式を採らない
というのは
すでに文章やさまざまな詩形式や
くわえて
短歌や俳句どころか
メール形式やショートメール形式や
LINE形式まで
出現してしまった後の
現代という時代においては
ひじょうに
大きな選択だと思う
―というか
自由詩形式の地点から見れば
それらすべてが
自由詩形式の枠内に
収まってしまうんだよね
―文章さえもがね
ちょっと
適切な改行の配慮やセンスのない
羅列記号伝達線として
見えるね
そういうのも
自由詩形式は包含してしまう
―ほら
欧米の定型詩を
日本語で翻訳する場合に
ほとんどの翻訳は
ちゃんと定型詩にしてないでしょ?
それ自体が
どうしようもない茶番で
許されざる蛮行なんだけれど
意味だけ伝えればいい
みたいな
ヘンな居直りが許されてちゃってる
―それでいて
形式は原詩のかたちを踏襲する
みたいなね
主語や動詞や形容詞や副詞などの配置は
まったく違っちゃってるのに
笑っちゃうよね
詩にとっては
じつは各品詞や各単語の配置そのものが
最重要で
それが動かされてしまえば
もう
まったく別のものになってしまうのに
―詩の翻訳なのに
文章の翻訳と同じでいいと
勝手に決められてしまっていて
それに従って
文章ならざる改行を施されたかたちが
提示され
詩でございます
と言われちゃうのね
―まるで
犯罪を犯した中年女性のことを報道する写真に
中学生時代の
お下げ髪の写真を使うような……
―しかも
全国放送のテレビニュースで
大々的に映しちゃう
みたいな……
―そんな粗い手つきが
共通してるよね
みたいな……
―ま
外国の詩を読む際の
いちばん正しい手順というか
所作というか
それは
やっぱり
ABCからその外国語を学んでいく
っていうことで
誰かが意味だけを伝える翻訳を
ヘンな詩のふりのかたちに並べたものを読むのとは
まったく違うと思うね
この言葉では
「花」を
こんなふうな綴りで書いて
こんなふうな音で発音するのか
なんて
そんなことに感心することのほうが
ひとつの特定の詩には
よっぽど近づいていける
―そうだろうね
文章と詩では
もう
まったくアプローチが違う
―ところで
こんな話をするつもりじゃ
なかったんだがね
つい
うっかり
つまらない話に入っちゃったね
―ま
つまらなくもなかったけれど……
それじゃ
きみの思う
「おもしろい」話に
なんとか
転じさせようじゃないか
どんなのが「おもしろい」のか
わからないけれど
―転じさせよう
って
なると
あれかな?
小津安二郎の『東京物語』みたいに
登場人物のおやじたち
三人で
「愉快、愉快」
とかいって
居酒屋で
むりに盛り上げ直そうとするみたいな
あれ?
―居酒屋で
夜も遅くなって
ずいぶん酔ってきたのに
三人で飲んでいる
あの場面ね
話が子どもの話になってさ
子どもをふたりとも戦争で亡くした
十朱久雄演じる代書屋は
笠智衆演じる平山と
東野英治郎演じる沼田の議論には参加せず
もう飲めない…と
ひとりで
ふらふらしてしまっている
―そうね
三人でいっしょに並んで飲んでいながらも
生き伸びている子どもの話には
彼は入り込みようがない
三人でいっしょに飲んでいても
彼ひとり孤独
話を合わせようとしても
ひとり孤独
座って
酔って
ひとりでゆらゆら揺れているしかない理由が
あまりに明瞭すぎて
とてもわびしい場面だよね
―十朱久雄は
むかし
テレビの子ども番組の『丸出だめ夫』で
お父さん役をやっていたよね
どうでもいいことだけど
―いや
そういうことがさ
どうでもよくないんだよ
森田拳次のマンガが原作のやつだよね
丸出だめ夫のお父さんは「丸出はげ照」といって
頭のてっぺんが禿げているが
すごい科学者なんだ
ロボットならぬ「ボロット」などを発明し
ノーベル賞を取れそうで取れないほどの天才科学者で
ちょっとおじいさんっぽく見えるが
実年齢は30代後半らしい
それでね
なぜ
十朱久雄が丸出だめ夫のお父さんを演じていたのが
どうでもよくないことか
というと
1966年から1967年にテレビ放映されていた『丸出だめ夫』を
見た子どもたちは
もちろん子ども時代に1953年制作の
大人向きの超渋い『東京物語』なんて同時代には見やしないから
『東京物語』を見るのは
だいぶ成長して大人か青年になってからに決まっている
そうして
ある時
小津のこの名作映画を見てみて
おや
この代書屋を演じているオジサンは
『丸出だめ夫』のあのお父さんじゃないか!
とrecognizeするわけよ
そうするとさ
いくら『東京物語』のこの場面が
多義的な意味性に富む「深い」場面だとしても
同時に『丸出だめ夫』のお父さんとしての十朱久雄の姿が浮かんでくるし
しかもどっちの映画の場合も
ハゲおやじだものだから
『東京物語』の中の息子ふたりを戦争で失った代書屋の
さびしい泥酔ぶりを見つつも
『丸出だめ夫』の天才科学者「丸出はげ照」が
そこにぴったり二重写しになって
こころの中ではやっぱり笑ってしまう
という内的事件が起こる
しかも
テレビ隆盛期をしっかり多量にテレビ漬けで育ってきた子なんかは
彼の娘が
映画にもテレビドラマにもCMにもいっぱい出ていた
なかなか美人の十朱幸代なのも知っていて
よくこんなオジサンから
あんな娘が生まれてくるもんだなあ
などと子ども時代に不思議に思ったりもしていたものだから
そんな疑問も
『東京物語』鑑賞中にこころに蘇ったりすると
『東京物語』の代書屋の「内なる悲劇」になんて
没入するどころではなくなる
わけだよね
―そういうのも
あれだね
間テクスト性ってやつかね
―インター・テクスチュアリティーね
―で
『東京物語』では
子どもに期待しすぎるのは親の欲だ
というところで
三人の居酒屋談義は一応の結論に達し
みんな酔いに酔って
疲れて
代書屋以外のふたりもふらふらしてきたところで
「愉快、愉快」
という言葉がくり返されるわけね
―愉快でもなさそうなのに
「愉快」
とわざわざ言うことで
無理にもこころを
「愉快」
のほうに持って行こうとしているかのようで
逆に
さびしさが出てくる……
と
まあ
映画紹介とかなら
ニッポンお得意のお涙頂戴路線へ
傾けていこう
と
する
ところ
―あの「愉快」という言葉は
映画の最初のほうでも
中学生の子どもが
「ああ愉快だね、ああ楽ちんだ」
と言うところで出てきていたけれども
もともと
学校の応援歌などで使われていたようだよね
今でも
早稲田大学や
群馬県立太田高校や
神奈川県立厚木高校の応援歌で
「愉快だね節」
というのがあって
これらは小津の映画よりも後に作られているのだけど
昔の高校などで
けっこう歌われていた元歌があったらしい
―よく知ってるじゃない?
太田高校の「愉快だね節」なんかは
こんな歌詞になってるんだよね
ああ 愉快だね 愉快だね
ああ 愉快だね 愉快だね
ああ 愉快だね 愉快だね
ああ 愉快だね 愉快だね
もしも 太高が 負けたなら
電信柱に 花が咲く
絵にかいた ダルマさんが 踊りだす
焼いた魚が 泳ぎだす
https://www.youtube.com/watch?v=3ufryMSK5Rw
一心不乱だ
クチュクチュクチュクチュ
形が動いてる
口の形だ
コミヤミヤの口、こかずとんの口
一心不乱に動いている
ミルク飲ませて40分
コミヤミヤとこかずとんは同時に目覚めた
夜中に目覚めて赤ちゃんがやることといったら泣くことだ
泣くがいい、泣くがいい
けど、3時間おきのミルク&オムツ
次回まで1時間半は寝ておきたいんだよ
しょーがない、いつもの手使うか
取り出したるはゴム製おしゃぶり
コミヤミヤとこかずとんのギャン泣いてる口にくいっと押し込む
一瞬で顔が変わった
ギャン泣きの涙、一瞬で消えた
クチュクチュクチュクチュ
動く、動く
口だけだ
目は閉じている
手足のもぞもぞも止まった
顔の上半分は微動だにいない
口だけが動いている
一心不乱
目では見られないし手では触われないものが
口なら見える
口なら掴める
乳首に似てるけど幾らしゃぶってもミルクなんか一滴も出ないから
ミルクの代用品を求めてるわけでもない
ミルクのはるか向こう側にあるもの
そりゃいったい何だ?
ぼくもずーっと以前にはわかっていたはずなんだ
ぼくだって赤ちゃんの時には
口で見えた、口で掴めた
それが今、まるでわかんなくなっちゃってんだよね
成長するってことは退化でもあるのかあ
悔しいなあ
内側に凹んだゴムの突起を
一心不乱にしゃぶりながら
コミヤミヤとこかずとんにはわかっている
よーし、ぼくにはわからないけど2人がわかってやってることを
とにかく応援するぞ
口で見る
口で掴む
クチュクチュクチュクチュ
形が動いて
一心不乱だ
2023年7月
お父さん、いまどこ?
病院だよ。
お母さんは?
トウキューで買い物だよ。
ウエハラミツキ、髪短くしたね?
そうね。短いね。
あしたあ、ハス見にいってえ、セイユー行きます。
そうか、お父さんも、一緒にハス見に行っていい?
いいですお。
女たらしって、なに?
だらしないひとのことよ。
ぼく、これからお昼寝しますお。
してくださいな。
お父さん、録画した?
コウ君、バッチリしましたよ。
お父さん、いま録画みますよ。
そうですか。じゃあ見ましょうね。
はい、分りましたあ。
お父さん、「寂しい」の英語は?
ロンリーだよ。コウ君、寂しいの?
寂しくないですお。
「菱」はタを突き出してるよね。
なぬ、おや、確かに突き出してるね。
お父さん、大好きですお。
お父さんも。
お母さん、リハビリって、なに?
傷ついた手とか足とかを元に戻すことよ
テラオさん入院したの?
そうよ。
治りますよ。ぼく祈りますよ。ほら、治りましたお!
あら、あら。
おじさん、ウエハラミツキ好き?
好きですよ。
おばさん、ウエハラミツキ好き?
好きですよ。といっときゃいいのね。
おねえさあん、ウエハラミツキ好き?
好きですよ。―小林理髪店にて
お父さん、金曜日にフクモト・リコ、録画してくださいね。
分りましたあ。
ウエハラミツキ、髪の毛短くしたお。
そうだね。コウ君よく見てるね。
お父さん、起きてください!起きてください!
いま何時?
7時ですお。
分りましたあ。
2023年8月
お父さん、きょう石原さとみ、録画してください!
はい、分りましたあ。
お父さん、ぼく、イシハラサトミのビデオ見ますお。
いま見たいの?
いま見たいですお、
分りましたあ。
お母さん、ぼく図書館行ってえ、ハス見てえ、セイユウ行きますお。
分りましたあ。
お父さん、洗濯もの外で干してる?
外で干してるよ?
ぼく、カーブミラー好きですお。
お父さんも。
ぼく、布袋草、好きですお。
お母さんも。
ぼく、遅くなってもいいですお。
ぼく、ウチダアサヒです。
こんにちは、ウチダアサヒさん。
お母さん、ぜいたくって、なに?
いらないものまで、どんどん買ってしまうことよ。
ぼく、前、オシン見ましたよ。
そうなの。
ぼく、オシン好きですお。
そうなんだ。
ぼく、責任持ちます。
そうなの。
2023年9月
お父さん、明後日ビデオ撮って。
なんのビデオ?
トリリオンゲーム。
誰が出るやつ?
フクモトリコがでるやつ。
分りましたあ。
お母さん、リハビリって、なに?
手や足を、元に戻すのよ。
タカオさん、入院したの?
そうよ。
ぼく、祈りますよ。治りますよ。治りましたよ。
お父さん、雨ですお。今日おうちに帰りたいですよお!
そしたら、まず職員さんと相談しなさい。
分りましたあ!
お母さん、お菓子食べたいですよ。
食べなさいな。
はい。
「トリリオンゲーム」、こんど最終回?
そうみたいだよ。
残念ですか?
残念ですお。
ぼく「さくら」みましたお。
そう、良かったね。
大雨で幼稚園お休みになったんだって。
そうなんだ。
接続って、つながることでしょ?
そうだね。
セツゾク、セツゾク。
ぜいたくって、なに?
いらない無駄なものをいっぱい買い込むことよ。
ぼく、ゼイタクしませんお。
そしてね。
マリちゃん、元気になりましたか?
元気になりましたよ。
ぜいたくって、なに?
いらない無駄なものをいっぱい買い込むことよ。
ぼく、ゼイタクしませんお。
そうしてね。
マリちゃん、元気になりましたか?
元気になりましたよ。
コウ君さあ、イトウサンちが無くなっていて、びっくりしなかった?
びっくりしましたおお。
ウエハラミツキ、お腹に赤ちゃん入ってるってよ。
そうなのよ。来年はじめに、生まれるんですって。
ぼく、ウエハラミツキ、好きになりましたお。
なんでウエハラミツキ、好きなの?
優しいから。
へえー、そうなんだ。前は可愛いからだったのにね。