野上麻衣
起きればとなりに人がいるようになった。
それでもときどき、目がさめた瞬間
となりに人のかたちがみえて
おどろくことがある。
わたし、どこにいる
10年以上つづけたひとりぐらしの、からだ。
大体はさきに
おやすみなさい、をいう番。
くらしはじめた頃は
ねるよー
ねるよー
とひとりでひろい家のなかをまわり
1日のおわりをつげた。
ぐーすか
すーぴー
寝息をたてるころ
となりの人はようやく布団にはいる。
となりの人はあまりにしずかにねむるので
わたしはわたしのまま
ぐーぐー
ごろごろ
起きるまですこやかなねむりをつづける。
それから、おはよう、をいう番。